奇想庵@goo

Sports, Games, News and Entertainments

機動警察パトレイバー

2007年08月11日 01時51分19秒 | アニメ・コミック・ゲーム
BS2で放送中の「アニメギガスペシャル とことん!押井守」で『機動警察パトレイバー』の第1期OVAシリーズの数話と当時の関係者の証言を見た。

押井守に関しては評価はしているが特に好きな監督というわけではない。『うる星やつら』はリアルタイムには見ていなかったし、評価の高い劇場版もかなり後になってから見ている。『天使のたまご』『Maroko / 麿子』『御先祖様万々歳!』なども見たが格別に好きというわけではない。原作及びOVA版は好きな『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』も実は劇場版はそんなに面白いとは思わなかった。パトレイバーという作品においても、押井色が好きなのではなく、ゆうきまさみ・出淵裕のノリが好きで興味を持った口だ。ただ押井が加わったことで化学変化が起き、この作品が特別なものになったのは間違いないだろう。

『機動警察パトレイバー』は最初のOVAシリーズスタート時から注目していた。当時ゆうきまさみのファンだったし、企画の面白さにも惹かれていた。また、OVAの価格破壊でもあり、初めて購入したOVAが「二課の一番長い日」前後編だった。その後、劇場版は全て映画館まで足を運び、TV版も見ていたし、OVA第二期もずっと買い続けた。もちろん、コミックスも読んだし小説版も読んだ。ここまでのめり込んだのはパトレイバーとエヴァくらいだ。
では、パトレイバーを高く評価しているかと問われればなかなか答えに詰まる。インタビューで押井がアニメファンは担ぐ神輿を探していたと発言していたがその側面はあったのかもしれない。アニメ業界にとってこの作品は大きなエポックだったし、ファンにとってもそうだった。クリエイターの顔が前面に出ていたことや遊び心があちこちに見られ、またファンと一緒に育っていった感覚を共有できたことも大きい。
しかし、個別の作品の評価は異なるものとなる。1期のOVA版にしても作品ごとに出来にばらつきがあるし、TV版や2期OVA版はそれが更に下方修正となっている印象だ。コミック版もゆうきの代表作であることに疑いはないが、まとまりすぎているきらいが欠点に思えなくもない。評価の高い劇場版第2作は押井色が強すぎて私の好むパトレイバーとは少し趣が異なる。第3作は地味すぎだろう。そんな中最大級の評価をしているのが劇場版第1作だ。インタビューで出淵裕が、映画としての評価は2作目、エンターテイメントとしての評価は1作目と語ったが同感だ。日本のエンターテイメントとしてのひとつの到達点がそこにあると今も思っている。

2007年の今から振り返ると終わってしまった作品だし、現在このような作品が求められているとも思わない。ただパトレイバーは個性がぶつかることで輝きを放った稀有な作品だし、作り手の熱意が時代を切り開いたのも事実だ。インタビューでは1期OVA版はヘッドギアの面々はほぼノーギャラでという話が出ていたが、アニメに限らずいまそうした想いの届くモノってなかなか見付けられない。ファンは今も担ぐ神輿を探しているはずだ。