奇想庵@goo

Sports, Games, News and Entertainments

三連覇なるか?

2005年09月07日 15時45分08秒 | アメリカンフットボール
NFLがいよいよ開幕を迎えようとしている。
今シーズンの最大の注目は、New Englandの三連覇の可否にある。チーム数の多い北米メジャースポーツでは連覇することの困難さは容易に想像がつくが、特にNFLでは39回のスーパーボウルの歴史において三連覇したチームは存在しない。過去、Green Bay、Miami、Pittsburgh(2回)、San Francisco、Dallas、Denverが連覇を経験し、三連覇を目指したものの成し遂げられなかった。

私が見てきた挑戦は、San Francisco以降。QBジョー・モンタナ率いる49ersはまさに黄金時代で、昨日引退したWRジェリー・ライスを始め、RBロジャー・クレイグ、FBトム・ラスマン、Sロニー・ロットといった綺羅星のような輝きを放っていた。私が初めて見たスーパーボウルだったCincinnati戦はモンタナ・マジックによる奇跡的な逆転勝利だったが、翌年のスーパーボウルは、ジョン・エルウェイのDenverを完膚なきまでに叩きのめし、まさに「最強」といった感じだった。その49ersの野望を打ち砕いたのは、NFCチャンピオンシップゲームのN.Y. Giants戦。あの”LT”ことLBローレンス・テイラーがモンタナを襲い、司令塔の負傷退場によって49ersの自慢の攻撃力が押さえ込まれて、スーパーボウル目前で敗れ去った。

ジミー・ジョンソンHCによって生まれ変わったDallasが、QBトロイ・エイクマン、RBエミット・スミス、WRマイケル・アーヴィンの”トリプレッツ”を軸にNFLを席巻した。対抗したのは、QBスティーヴ・ヤングが率いるSan Francisco。”ツイン・ピークス”の2強時代で、3年連続NFCチャンピオンシップで顔を合わせた。スーパーボウルはNFCが連覇を続けていたので(当時12~14連覇、16連覇まで続く)、これが事実上のNo.1決定戦とまで思われていた。
Dallasは、2年連続でSan Franciscoを破り、スーパーボウル連覇を成し遂げたが、3度目の戦いで敗れ、三連覇の夢は潰えた。San Franciscoは打倒Dallasのために高額でDBディオン・サンダースを獲得するなど、執念の末の勝利だった。Dallasは翌年もスーパーを制しただけに、四連覇を阻まれたと言ってもいいのかもしれない。

この2回と異なり、Denverの場合は、スーパーボウル連覇後にQBジョン・エルウェイが引退を発表した時点で三連覇の夢は消えたと言ってもいいだろう。RBテレル・デーヴィスやTEシャノン・シャープら素晴らしい選手に支えられての連覇だったが、エルウェイという中心があってこそ。結果、Denverは6勝止まりでプレイオフ進出もならずに終わった。

ビル・ベリチックHC率いるNew Englandの強さは特筆すべきものだ。就任後5年間にスーパーボウル制覇3回。ウェーバー制ドラフト、フリーエージェント、サラリーキャップ制が完全に浸透し、戦力の均衡が図られた今のNFLにおいて、これだけのチームを作り上げた実績は文句のつけようがない。
コーチ陣の優秀さが、接戦をものにする勝負強さとなり、決して攻守において抜きん出たものではないチームを安定した強さに導いている。QBトム・ブレイディは、Coltsのペイトン・マニングやFalconsのマイケル・ヴィックのような華やかさはないが、勝てるQBこそ最高のQBという考え方が正しいとすればNFLNo.1のQBと言えるだろう。
ブレイディを除くと、チームにスターと呼べる選手は少ない。昨シーズン加入したRBコーリー・ディロンは一流だが、攻撃陣で他に名だたる選手がいるわけではない。守備は、LBテディ・ブルスキがチームの顔といった感じだが、今シーズンは負傷のため十分に働けるか不明だ。ビッグネームだったCBタイ・ローは放出され、ベテランLBテッド・ジョンソンは引退。しかし、昨シーズンもCB陣に負傷が相次ぎ、WRトロイ・ブラウンがDBとして起用されるという非常事態だったにも関わらず優勝を果たした。そういう意味では、ブレイディを除き、負傷者などがあってもチーム力を落とさない戦い方を身に付けていると言えるだろう(ブレイディが負傷欠場したシーズンはスーパーボウル出場を果たせず)。
むしろ注目すべきは、これまでチームを支えてきた攻守のコーディネイターが抜けた点だ。オフェンシヴ・コーディネイターのチャーリー・ワイズはNotre Dameの、ディフェンシヴ・コーディネイターのロメオ・クレネルはClevelandのヘッドコーチに就任した。チーム力を考えた場合、この二人の抜けた穴の大きさはかなりのものがある。対戦相手も打倒New Englandで今まで以上に研究を重ねているだろうし、穴を埋めるだけでなく、更なる成長も見せなければ勝ち続けることは不可能だ。特に接戦でこれまでのような勝負強さを見せられるかが、鍵となってくるだろう。

AFC Eastは全8地区の中でも一、二を争う激戦区だ。わずかでも隙を見せれば、プレイオフ進出さえ厳しい。更に、スーパーボウル出場に執念を見せるマニングの挑戦も楽しみだ。そして、毎年必ず現れるシンデレラチームの勢いもまた、三連覇の脅威となる。それら全てをねじ伏せることができるのか?いよいよ開幕だ。