奇想庵@goo

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のだめカンタービレ

2005年08月27日 23時49分36秒 | アニメ・コミック・ゲーム
以前から読みたいと思っていた『のだめカンタービレ』に手を出した。
昨日3巻まで、今日で6巻まで読み、現在出ている半分を読了。評判どおりの面白さで、明日も買出しに行ってしまいそうだ(笑)。

音大を舞台にしたギャグマンガ・・・・・・と言っても、ストーリーの組み立てもしっかりしているし、キャラクターは非常にいい味が出ていて、万人受けするコミックだと思う。全体にスマートで、読みやすい作りだし。
言うまでもなく、マンガで音を聞かせることはできない。しかし、漫画家たちの積み上げてきた技法の集積によって、マンガはある意味もっとも音を表現できるメディアと言えるだろう。上條淳士『To-y』に衝撃を受けたが、その後も優れた音楽マンガは数えられないほど生み出されている。
ハロルド作石『Beck』は未読で、アニメを少し見た程度なのだが、アニメでは音が表現できるだけに却ってインパクトがあまり感じられなかった。歌だと、歌詞の”力”が絵を妨げる気がするので、歌よりも純粋な音がいい。となると、クラシックはうってつけだ。
さそうあきら『神童』は、歌の力を漫画的な表現で見せているが、絵のタッチがそれを許している。最近の作品で音の表現が最も素晴らしかったのは、マツモトトモ『キス』。少女マンガらしい作品だけど、シャープな線が音の世界を作り出している。「のだめ」の場合、そこまでとんがってない。それが気楽に読めるという作風に繋がっているわけだ。

もう一点、別の角度から。
少女マンガでよくみられる、「完璧な男」と「ダメ娘」のカップリング。「のだめ」はその典型なわけだけど、ユニークなのは、視点が男の方にあること。基本的に「のだめ」は、千秋(♂)の一人称的に描かれている。本来主人公となるはずの”のだめ(♀)”は、ヒロインでなくギャグメーカーとして扱われ、時折謎生物となっている。それでうまく成立しているところが、作者の腕なわけだが、読み手側にもそれを受け入れる素養があったということもできる。
で、最初にこの作品を読んで思い浮かんだのは、多田かおる『イタズラなKiss』だった。「完璧な男」と「ダメ娘」のカップリングの代表的ギャグマンガ。当時から、絵柄や展開に「古臭さ」はあったが、そうしたマイナス要素をはるかに超越した作品のパワーがみなぎるマンガだった。不幸にして、作者の急逝で未完となったが、凄い作品だし、もっと評価されるべきものだと思う。
「のだめ」はそれに比べると遥かにスマート。それは作者の計算でもあり資質でもあるだろう。

この手の音楽マンガを読んでると、クラシックに対する己の無知ぶりにあきれてしまうこともあるのだけど、でも、全然知らなくても楽しめるところに、マンガの良さがあったりもするわけで(笑)。とにかく、オススメであることは間違いない。

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