微妙な心の変化を描くことが主題とされる作品にしては、十分に描けていると思えない内容だった。前回、卵食いのラルンガによって精霊の守り人は殺されることを知ったチャグム。彼は一人で村を抜け出し王宮へ帰ろうと決意する。村の少女ニムカの案内で村から逃げ出したチャグムとそれを追うバルサ。追いついたバルサは短槍をチャグムに渡し、行きたければ自分を倒してから行けと言う。そして、チャグムは短槍を手にバルサへ駆け出す。
精霊の守り人の死をチャグムに話さなかったことが二人の信頼を壊す要因だった。それについては前回の感想にも書いたが、ディスコミュニケーションによる軋轢はテーマとしては悪くないがその描き方には大いに疑問の余地がある。自らの死に直面するという状況は普通では滅多にありえるものでないが、この作品内ではこれまで何度も彼は遭遇している。それでも死の恐怖があって当然だが、聡明な彼がそこから逃げ出すことに何の意味があるのか理解できない。これまでバルサの庇護があって生きることができたのに、そこを去る理由は何か?それがバルサへの反発であるなら、少なくとも見る者にそこまでの彼の思いが伝わってこなければならない。だが、あまりに唐突に見える。一方のバルサにも反発を受けるだけの原因があり、その一端は描かれてはいるがここまでの反発を生むものには見えない。コミュニケーションに互いに欠けていたが故に齟齬が生じた結果だとしても、その齟齬と行動の結果との乖離が大きく納得できないものとなっている。非常に大切な場面のはずがこれまで描いてきたものと繋がっていない印象で全てが台無しになっている。
そもそもこれまでの話の中で、バルサとチャグムは語るべきことを十分に語っていなかったが故にこの結果に至ったようにも見える。沈黙が美徳のような描かれ方には共感しにくいものがある。言葉を擁してなお伝わらないこともある。機会はいくらでもあったのに言葉が足らずに生じた齟齬は物語としては許容しにくいものだと感じる。
このディスコミュニケーションはバルサとシュガとの関係にも言えることだ。王の追っ手からチャグムを守るという契約は既に果たされている。ラルンガを討つ手が見つからない中でシュガからチャグムを守るという行為は彼女の思い上がりに見えてしまう。そうでないという理由を見る者に示すことができていない。作り手と視聴者とのディスコミュニケーションもまたそこにあると言えるだろう。
精霊の守り人の死をチャグムに話さなかったことが二人の信頼を壊す要因だった。それについては前回の感想にも書いたが、ディスコミュニケーションによる軋轢はテーマとしては悪くないがその描き方には大いに疑問の余地がある。自らの死に直面するという状況は普通では滅多にありえるものでないが、この作品内ではこれまで何度も彼は遭遇している。それでも死の恐怖があって当然だが、聡明な彼がそこから逃げ出すことに何の意味があるのか理解できない。これまでバルサの庇護があって生きることができたのに、そこを去る理由は何か?それがバルサへの反発であるなら、少なくとも見る者にそこまでの彼の思いが伝わってこなければならない。だが、あまりに唐突に見える。一方のバルサにも反発を受けるだけの原因があり、その一端は描かれてはいるがここまでの反発を生むものには見えない。コミュニケーションに互いに欠けていたが故に齟齬が生じた結果だとしても、その齟齬と行動の結果との乖離が大きく納得できないものとなっている。非常に大切な場面のはずがこれまで描いてきたものと繋がっていない印象で全てが台無しになっている。
そもそもこれまでの話の中で、バルサとチャグムは語るべきことを十分に語っていなかったが故にこの結果に至ったようにも見える。沈黙が美徳のような描かれ方には共感しにくいものがある。言葉を擁してなお伝わらないこともある。機会はいくらでもあったのに言葉が足らずに生じた齟齬は物語としては許容しにくいものだと感じる。
このディスコミュニケーションはバルサとシュガとの関係にも言えることだ。王の追っ手からチャグムを守るという契約は既に果たされている。ラルンガを討つ手が見つからない中でシュガからチャグムを守るという行為は彼女の思い上がりに見えてしまう。そうでないという理由を見る者に示すことができていない。作り手と視聴者とのディスコミュニケーションもまたそこにあると言えるだろう。