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奇想庵@goo

Sports, Games, News and Entertainments

高橋尚子

2005年11月20日 21時17分07秒 | スポーツ
正直、驚いた。
日本のスポーツ界では、一度頂点を極めた人がその座から落ちて復活するパターンは極めて少ない。2年前の東京でまさかの失速の後、高橋は数々の厳しい試練を迎えた。オリンピック選考落選、度重なるケガ、小出監督からの独立、年齢的にも限界が囁かれていた。そして、再びの東京挑戦。直前に肉離れを起こし、もはや完走さえ危ぶまれた。

東京、大阪、名古屋の三大レースの中で、他の二つと異なり東京は坂があるためタイムが期待できない。11月開催ということで一昨年のように気温が高くなることもある。2年前の高橋の東京チョイスに対しては疑問を述べたこともあった。確かに有力選手が他2レースに流れたため東京は日本人トップを取りやすい。ただ他とのタイム比較になるとかなり厳しいためどうしても序盤から無理してしまう。その結果がオーバーペースからの失速だった。
復活を再び東京にしたことに、懸念を感じた。今回はタイムを狙う必要はないとはいえ、苛酷なコースであり、復活を印象付けるには相当の結果が求められる。更に直前の肉離れ。

高橋はオリンピックやアジア大会のような夏マラソンでも素晴らしいタイムを出し、冬マラソンでは当時の世界最高タイムをたたき出した。彼女が他の日本人選手と異なっていたのは、自分でペースを作れる点だった。序盤から飛び出し、自分のペースで押していく走りは、新しいマラソンの形を創出した。その意味でも2年前の東京は、彼女らしい展開だったのだが・・・。

今日のレースはじっくりと我慢し、先頭集団についていく走りだった。ペースメイカーが離れた25km以降ペースが落ちて、トップ3人の駆け引きが繰り広げられた。ラスト勝負になれば高橋は不利。とはいえ、ロングスパートするには坂が気になるところ。厳しい状況の中、35km地点で果敢にスパート。そう、彼女は最も勇気のあるランナーだった。このスパートで勝敗は決した。2年前彼女が抜き去られた地点を今回は颯爽とトップで駆け抜けた。優勝タイムは24分台。東京の結果としては十分に評価できるものだ。海外では30代のトップランナーは少なくない。北京五輪も決して夢ではない。

日本のスポーツ界で、トップを取る選手は少なからず存在する。そうしたノウハウの蓄積もそれなりにある。しかし、トップを持続することは取ること以上に困難だ。更に、トップから落ちた後の復活のノウハウは非常に心もとない状況だ。スポーツは今や選手個人やそのコーチ陣だけでなく協会全体で強化育成せずには十分な結果を残せない。それだけにそれぞれの協会がより高いレベルを目指す必要がある。日本陸連は、アテネ五輪選考で筋を通して高橋を落とし、野口が結果を残した。しかし、それがベストの選択だったのかは検証済みとは言いがたい。実績というものへのフォローがなくていいのか、若手育成だけでなく、トップランナーへのケアが十分なのかなど課題とすべき事柄は少なくはない。


TV観戦三昧

2005年11月12日 21時51分13秒 | スポーツ
今日は昼からロッテ―中国選抜戦。2時から東京V―C大阪戦。4時からはG大阪―浦和戦をメインに、鹿島―FC東京、千葉―磐田を。7時から興農―サムスン戦(観戦中)。

アジアシリーズはなかなか楽しくて注目している。千葉ロッテは初戦、2戦目といい戦いを見せたが、今日は若手主体で格下の中国相手にかなり苦戦。すでに決勝進出を決めているので余裕があったが、フランコ、ベニーの二人以外はレギュラーを休ませ、代わりに出場したメンバーは折角の舞台でいい結果を残せなかった。試合は緊急登板となった小宮山の好投と、チャンスでのベニーの好打で3-1の勝利。今日休んだ選手たちが明日どんな働きを見せるのかが興味深いところだ。

Jリーグはシーズン終盤になって、大阪勢が好調だから見出したが(笑)、ここにきて少しその調子に翳りが。セレッソはもともと一番好きなチームだが、前節の鹿島戦ではスコアレスドロー。相手の退場で数的有利ができたのに西沢がお粗末なプレーでイエロー2枚で退場。曽ヶ端の好守にも阻まれ、相性のいい鹿島に引き分けて4位に後退。連勝が止まり、出場停止や負傷者も増えた今節の相手は東京V。降格圏内で絶対に勝ちたい意欲に溢れているチーム。試合はヴェルディ優勢で終始。セレッソは得意のサイド攻撃が完全に不発。ヴェルディの中盤のパスワークに翻弄され、攻撃が組み立てられない。GKが当たっていたのでかろうじてヴェルディにゴールを割らせなかったが、何度も決定機を作られた。後半の中頃には2枚目のイエローカードで布部が退場し、セレッソは数的不利に。運動量も落ち気味で、守るだけで手一杯な様子。引き分けでは優勝争いから大きく後退するのは目に見えているだけに、なんとか点を取って欲しいところだが、中盤の押し上げも物足りず、このままドローかはたまたヴェルディに勝利を与えるかと思った終了間際。ペナルティエリア近くからのFKを直接古橋が決めて決勝点。執念の勝利と言いたいところだが、どちらかと言うと棚ぼたで勝ちを拾った感じ。もちろん、こうしたラッキーがもしかしたらという期待に繋がっていったりもするのだが。

ガンバは鹿島戦のドローあたりからちょっと不安を感じていたが、ここにきて大分、FC東京に連敗。ナビスコ杯決勝もスコアレスでPK戦負け。天皇杯も格下相手にかろうじてPK戦勝利。明らかに調子が落ちている。特に大黒が決定機を外しまくり。宮本の負傷など不安要素の多いまま迎えた3位の浦和戦。案の定、浦和ペースで試合がスタート。それでもしぶとく守るうちにチャンスは巡ってくる。フェルナンジーニョが上手い切り返しからゴールを決めて先制。一方その頃、鹿島はFC東京相手に先制点を奪い、更に猛攻をかけていた。千葉は磐田相手に2点を奪って優位に試合を運ぶ。前半終了間際、FC東京今野の奇跡的なシュートが決まり同点に。
後半に入っても浦和の攻勢が繰り返された。このまま逃げ切るのはほぼ不可能と誰しも感じていた。千葉は磐田に続けざまに失点し追いつかれ、鹿島も決定的な場面でもシュートを決められず、ずるずると時間を消費した。ガンバはトゥーリオが上がりっぱなしの隙を突いてアラウージョが2点目のゴール。これで勝負あったかと思ったが、すぐにFKから浦和がゴールを挙げ1点差に戻す。更なる猛攻にも守備陣が集中を切らさず、なんとか2-1で逃げ切った。一方、ガンバを追う鹿島と千葉は同点で終わり、ガンバは2位鹿島との勝ち点差を3に広げた。
他の地域はともかく、関西ではさっぱり盛り上がりのないJリーグ。1試合平均の観客動員などでは既にプロ野球ともいい勝負をしていたりするが、関東圏と地方だけの人気で全国的な人気になってない感じを受ける。もともと関西は野球のみならず様々なスポーツに関心が高く、熱心なファンが多い。関西で盛り上がらずJリーグの成功はない。だから、だから、だから、鹿島よ、負けてくれ(ぉぃ。マジにJリーグ始まってから関西のファンはしらけっぱなしな所もあるから、そろそろ結果を出させるように協会の方でサポートしてくれないと(だからマテ。

夜は注目の興農―サムスン戦。興農の先発が立ち上がりボロボロ。四球、死球、四球でノーアウト満塁から、大きなファールフライを取って犠牲フライ。更に返球が乱れて2点目も。更に犠牲フライでノーヒットで3失点。2回も四球とエラー絡みで失点し、4-0。このままずるずるといくかと見えたが、投手が代わってから好投でリズムを作り、興農は5回に集中打で3点を返した。流れは興農に移ったが、宣監督の巧みな継投で4-3で逃げ切った。1点を争う好勝負でなかなか見応えがあった。明日は千葉ロッテ―サムスンの決勝戦。初戦のように簡単には勝たしてくれないだろう。いい試合を楽しみたいものだ。


千葉ロッテマリーンズ

2005年10月27日 19時05分33秒 | スポーツ
普段は見なくなった野球だが、ポストシーズンになると興味を持ってしまう。特に、今年は千葉ロッテがプレーオフに出場し、応援がてらの観戦となった。
阪急ブレーブスのファンだったが、時代の変遷の末にもうさすがに今のオリックスには愛着を持てない状況。そんな中で95年に爽やかな旋風を巻き起こしたボビーの監督復帰でかなり注目はしていた。2年目の今年、交流戦で素晴らしい野球をして、ロッテ強しの印象を深めたが、その後のレギュラーシーズンではソフトバンクの前に常に2位に甘んじることとなって悔しい思いもした。シーズン最後の直接対決4連戦は3連勝で勢いを感じたがあと一歩力及ばず、かえって力の差を感じてしまった。

西武とのプレーオフは見逃したが、ソフトバンク戦は2戦目を除いてテレビ観戦した。初戦の勝ち方が良く、その勢いで3連勝できそうだったが、完璧な試合運びの3戦目9回裏に流れを失い、その時点で4戦目の敗北は確信した。後が無くなった最終戦、後が無くなったが故に気持ちの立て直しができると予想したが、厳しい試合を制したのは半分は運だったと思う。それほどの力の差はなかったし、サブローがブレーキとなって、チームにいい流れを呼び込むことはできないでいた。正直、里崎のあのタイムリーは奇跡のような一打だ。ソフトバンクは城島を欠いたことで松中の負担が増え、万全の実力を発揮できなかった。

日本シリーズ。地力の差はそんなに感じていなかったが、いくつかの理由から千葉ロッテの勝利は想像できた。阪神も千葉ロッテもチーム力としてはそんなにずば抜けたものではない。阪神はセリーグをかなり楽に勝ちあがったが、今シーズンはどのチームも決め手を欠いてそれに助けられた部分も大きかった。打線は1番の赤星とクリーンナップトリオ、投手陣もJFKと呼ばれたブルペンが良かっただけで、絶対的な強さは存在しなかった。千葉ロッテは、投手陣は優秀だが、打線は決して安定して得点力があるわけでもなく、本来はつけいる隙はあったのだが、プレーオフを戦う中で成長し、勢いを持ってシリーズに挑むことができた。
その上で、やはり監督の差が短期決戦では如実に現れる。シリーズの1勝はシーズンの1勝とは意味が異なる。更に、勝ち方、負け方などもシリーズの流れを大きく左右してくる。序盤から大量失点というわけではなかったのだから、もっと早く信頼できる投手をつぎ込む必要があっただろう。監督の経験の差が出たとも言えるだろう。
また31年ぶりのリーグ優勝という千葉ロッテに対し、阪神が受けて立つ側に回ってしまったことも心理的に大きな影響を及ぼした。確かに阪神は2年前に日本シリーズを戦った経験を持っていたが、監督も代わり、パリーグにはプレーオフ制度が導入され、何より対戦相手のチームカラーが全く異なる。もっと貪欲なチャレンジャーの気持ちが必要だった。

ロッテは川崎球場のイメージがまだ強かったりする。あの10・19、近鉄とのダブルヘッダーを始め、数々のドラマが繰り広げられた。有藤、白、得津、落合、リー、レオン、水上、西村、愛甲、横田、平井、高沢ら野手陣、村田、仁科、伊良部、荘、園川ら投手陣。個性的な選手は多かったが、チームは強くはなく、万年Bクラスという有様。千葉に移り、ドアマットチームからの脱却は1995年ボビーが監督就任してもたらされた。「がんばろう神戸」をスローガンに優勝を目指すオリックスの前に大きな壁となって立ちふさがり、黒木、初芝、堀、小坂らが素晴らしい働きを見せた。しかし、わずか1年でボビーが去り、再び下位低迷を始める。そして悪夢の18連敗。記録更新となる試合、神戸でのオリックス戦をTV観戦していたが、誰もが連敗ストップを予感した瞬間、エース黒木がよもやの同点被弾。マウンドで涙する黒木の姿は今も目に焼きついている。

もうひとつ。やはりロッテと言えばあの応援。千葉に移った頃からオリジナリティの強い応援がチームを支えるようになった。弱いチームだからこその愛着と言えるのか、低迷期に彼らの存在がプラスのチームイメージに繋がっていた。思えば、阪神も長い間弱かった。プロ野球応援のベスト3は千葉ロッテ、阪神、ソフトバンクだろうが、ホークスだって強くなるまでに時間が必要だった。今回のボビー招聘はファンの強い要望を受けてのものだし、ファンの想いがチームを強くするまさに典型と言えるものだ。

プレイオフの是非についてはいろいろと語られている。シーズン1位の意味が薄れることや、セとパの間でシステムが違うことによる影響(今回は阪神が待たされる形となった)など。ただこの制度が導入されたのは、今も埋まらないセとパの間の格差を少しでも縮めようという努力からだ。交流戦の実施など、徐々に変わりつつあるかもしれないが、ジャイアンツ一極偏向主義がある限り、パリーグは努力し続けなければならない(或いは1リーグ制を取るか)。プレイオフの問題点は改善されるべきだが、こうした努力をそうした背景抜きに批判しても意味はない。西武と千葉ロッテの日本一はこうした努力の成果とも言えるのだから。


サッカーにおける戦術の意味

2005年06月04日 00時18分20秒 | スポーツ
コメントを頂いたのでそれへの返答。

一にも二にも戦術だよ、戦術。日本のように絶対的に身体能力に劣る国は戦術(組織力)なくして勝てない。個人技に秀でた選手がいなくとも、組織力があれば勝てることは去年ユーロ2004でギリシャが証明してくれた。逆に選手個々の身体能力が高くても勝てないことは過去のW杯でアフリカ勢(ナイジェリアやカメルーン)が証明している。

言っとくが、ジーコは監督じゃない。自分の考えた戦術に合う選手を使うのが監督の責務だと思うが、ジーコの薄らハゲは上手い選手なら同タイプの選手でも構わず招集する。さらに鹿島アントラーズ系の選手も招集されやすい。本山なんてホントいらねぇって。とっととジーコを更迭しないとドイツへ行けなくなるぞ川淵三郎くん。


サッカーは監督の能力が試合に反映されるスポーツだと言われている。つまり、サッカーにおいて、戦術は非常に重要な要素だ。その前提は揺るがないとして、もう少し深く見てみたい。

まず監督と選手と戦術の関係。監督が選手を選べる代表チームの場合であっても、監督の戦術を100%選手に反映させることはできない。理想の戦術はいくらでも思い描けるが、選手は有限でしかも常に万全というわけでもない。日本の場合は、まだサッカー先進国とは言えず、代表クラスの能力の持ち主も限られてくるため、監督の理想的な戦術を押し付けることは不可能だ。そこで考えられるのが次の二つ。一つは今いる能力の高い選手を集めて、その中で最良の戦術を構成していく方法。もう一つは、能力はやや低くても自分の戦術に合った選手を選んで、育てながら戦術を構築する方法だ。もちろんはっきり二分されるわけではないが(それぞれの長所を取り入れるだろうが)、どちらかと言うと、ジーコは前者のタイプで、トルシエは後者だろう。
最近は海外でプレイする日本人選手は増えたが、残念ながら海外で大きく成長したと言える選手はほんのわずかだ。それを思うと、未だ日本サッカーは、代表チームに育成の要素が必要だと思う。その考えから、ジーコの監督就任以降ずっと不満を呈していたわけだが。

次に優れた戦術があれば勝てるのかという点。やはり、そこには戦術をこなしえるだけの能力が必要となる。ユーロで勝ったギリシャには、堅い守備と共に、シンプルな戦術で点を取る能力を持った選手がいた。スピードや高さ、ラストパスやシュートの精度が高かったことが快進撃を生み出した。
一方で、戦術だけでは計れない部分もあると思う。例えば、フランス。個人の技術・能力の高さのみならず、戦術的にも高いものを持っていると思われる。クロスバーやポストに当たってゴールにならなかったシュートのいくつかがもし決まっていれば、勝敗の結果が異なっただろうという試合が何試合もあったが、そうした部分は戦術の優劣だけでは決まらない。
昨年のアジアカップでは、日本は技術力の高さを生かしてスタミナを保ち、それが高温の中国での試合を終盤で優位に立たせる要因となった。

現在の日本代表の戦術力不足は明白だし、ジーコではドイツW杯出場さえ黄信号が点るようになってしまった。ただ予選に関しては、もう今更監督を変えたところで戦術面でプラスの効果が出ることはない(精神面ではまた別だが)。そうであるならば、ブレイクスルーが期待できる選手を使った方がいい、というのが前回の記事の内容だった。私にとっては、ジーコジャパンは見ていて楽しくないので、変わって欲しいという気持ちを込めたものだったのだけどね。


日本代表に欠けるもの

2005年05月29日 15時54分31秒 | スポーツ
ワールドカップドイツ大会最終予選も残り3試合。現状は、バーレーンと当確圏内の2位の座を争っている。そして、次戦はアウェイでのバーレーン戦だ。
ジーコジャパンについては、過去に何度も不満を評してきたし、現在もその思いは変わっていない。ただ戦力的な面から監督が誰でも予選突破は確実と見ていたが、それが危ういかもしれないと思い始めてきた。

現在の日本代表には魅力的な選手が少ない。中田、中村、小野ら、テクニックの高いスマートな選手はいるが、それ以外のタイプの選手に人材が揃っていない。特に、闘志を前面に出すアタッカーと、運動量豊富にグラウンド全体を駆け回る汗かき役がいないのが気になる。前者は、ゴン中山や最近では大久保のようにチームのムードを変えられる力を持った選手だ。FWでは大黒のセンスは光るが、ちょっと地味な印象だ。後者は、北沢や森島のように中盤で汗をかくタイプ。最近はスマートな選手ばかりで、あまり見当たらないタイプだが、大事な場面では最も頼りになったりする。

内に秘めた闘志なんてものはプロには必要ない。表現してこその闘志だし、それがチームの力に繋がっていく。そんな点でもファンを惹きつけるチームを作って欲しいものだ。


イランvs日本戦感想

2005年03月28日 15時48分49秒 | スポーツ
各スポーツにはフィロソフィーが存在する。
例えば、アメリカンフットボールでは全てが勝利のために優先され、終了間際に確実に追加点が取れる場合でも得点を狙わずに時間を消費して勝利を確定することを優先する(日本では徹底されていないが)。そのため得失点差などはあまり重視されない。
サッカーの場合、得点機会の少なさもあって、負けないことが最も大切にされる。勝利か敗北かの二択ではなく、引き分けの重要性が常に認識されるスポーツだ。

イラン戦、日本は勝利を望んで敗北した。ジーコが望んだからだが、その背景には、日本の未熟さがある。日本は未だに引き分け重視の戦い方を身に付けていない。アジアではトップクラスの力を持つ日本は、アジア相手には引き分け狙いにいかなくてもなんとかなってきた。ただ欧州や南米の強豪相手には、時に大差の敗戦を喫した。これまで引き分け狙いの戦い方をしてこなかったチームにいきなりしろと言ってもできるものではない。
以前にも書いたが、アジアでは地力に勝るのでW杯出場はできるだろう。前回のW杯はホームで、しかも相手国にも恵まれた。その後もアジアカップ優勝などあったが、アジアでの結果はあまり意味はない。世界と戦うことが今の日本に求められているのだ。そのためには、格上相手との戦い方を身に付ける必要があると以前から指摘してきた。イランは日本とほぼ同じ力量で、今回はアウェイということもあり、引き分け狙いの戦い方を試してみるいい機会とも思ったが、その選択肢は選ばれなかった。

何度も言うが、アジア相手であれば、技術力の高さがスタミナの持続をもたらし、90分戦った時には相手チームはバテていることが多い。それが幾度もの終了間際のゴールに導いた。アジア相手ならそれが通用する。しかし、世界の強豪相手には全く逆の立場になる。今のジーコジャパンに失望しているのは、求めるものの高さが違うからだ。今の道の先にはアジアの強豪という称号しか待っていない。


プロボウル

2005年02月14日 14時21分37秒 | スポーツ
NFL2004年度シーズンの最後を飾るプロボウル(オールスター戦)が行われた。
フットボールの場合、他のプロスポーツに比べてオールスター戦の魅力に欠けるきらいがある。MLBやNBAはシーズン途中に行われるが、NFLの場合シーズン最後。それ以上に、個人のスーパープレイが見やすいスポーツと、システム(戦術)が重視されるスポーツの差のせいか。
激しく、厳しいスーパーボウルの試合の後、南国ハワイの地で行われるのんびりしたフットボールは、気楽に見れる反面、フットボール特有の集中度がなく、盛り上がりに欠けてしまうのが特徴だ。もちろんスター選手たちの普段見られない姿が見れたりする部分は楽しいけど。

で、今年のプロボウル。シーズンの優勢をオールスター戦でもそのまま示してAFCが勝利。代替選手が多かったのは残念だが、攻撃では、San Diego、Indianapolis勢、守備では、Pittsburgh、Buffalo勢の活躍が目に付いた。

まあでも心は既に来シーズンに向けられているか(笑)。もうどんどんと2005年度シーズンに向けて動いている。New Englandの三連覇を阻止するチームはどこか。もう待ち遠しくて仕方ない。


生まれついた星の下

2005年02月14日 13時37分16秒 | スポーツ
藍、涙の世界一! /W杯女子ゴルフ

女子ゴルフ、初めてのW杯で、日本の宮里藍・北田瑠衣組が優勝を飾った。
3日間それぞれ違ったプレイ方式で行われ、最終日は二人の合計ストロークがチームの成績となる。二日目を終わって首位タイ、期待が高まる中で、宮里がバーディラッシュで独走。しかし、北田がインに入ってスコアを一気に落とし、一時は首位に並ばれる事態も。それでも17番で二人がバーディを決め、突き放すことに成功し、勝利をつかんだ。
宮里は難コースを67で回り、この日のベストスコア。苦しんだ北田をカバーし、日本の優勝に大きく貢献した。宮里の試合をテレビで見たのは、一昨年の秋、アマチュアでプロの試合に勝ち、話題となった時からだが、当時からも激しく成長している。プレッシャーをはねのける強さや、どんな状況でも自分のプレイができる精神力は一段と磨きがかかった。

それにしても、こういう大舞台で優勝できるというのは、本人の実力はもちろん、めぐり合わせや強運も必要だ。自分の目の前に訪れたチャンスを確実にものにできる者をスターと呼ぶが、彼女はまさにスターだ。貪欲に上を目指せば、その姿は人を魅了する。彼女の今年の活躍が今から本当に楽しみだ。


オンサイドキックの成功率

2005年02月11日 19時17分03秒 | スポーツ
先日のスーパーボウルで、Philadelphiaが選択したオンサイドキックについて考えたことを書いてみたい。批判というより、こういったことを考えることもフットボールの楽しみなんだって視点で読んでもらいたい。

フットボールは合理性を重視したスポーツだ。例えば敵陣ゴール前1ヤードに攻め込んでいても、必要であればニーダウンで時計を進めることを選択する。日本の試合では少ないが、リードしているチームが残り時間を消費できるのであれば、イートザボールをしてそれ以上プレイせずに試合を終了させる。勝つために戦っているのであって、無駄に点を取ることは美徳とされないスポーツだ。合理性に従ってセオリーが生まれ、セオリーを大切にするスポーツでもある。

改めてPhiladelphiaがオンサイドキックを蹴った場面を振り返ってみよう。
PhiladelphiaがTDを奪って、24-21に詰め寄った。残り時間は1分48秒。残りタイムアウトは、Philadelphiaが二つ(New Englandは三つ)。
NFLでは前のプレイ終了から40秒以内にプレイしなければならないので、タイムアウトがなければ、ランプレイ3回で120秒つまり2分消化できる。従って、Philadelphiaが残りタイムアウトがなければオンサイドキックを蹴る以外に選択肢がない。残りタイムアウトが1つの場合80秒消費されることが確実で、その他の部分での消費と合わせると、再び攻撃権を得たときの残り時間は20秒を切っている可能性が高い。よって、この場合もオンサイドキックを選択した方が合理的であると考えられる。
しかし、今回は2つのタイムアウトを残していた。通常NFLでは、特に後半は、タイムアウトはディフェンスで使うことがセオリーだ。オフェンスではタイムアウトがなくてもある程度時間を止められるのに対し、ディフェンスではそれが困難だからだ。

まずここで、オンサイドキックを選択し失敗した場合と、オンサイドキックを選択せず深く蹴り込んだ場合を比較してみよう。前者の場合、New Englandは敵陣45ヤード前後で攻撃開始。後者の場合、おそらくタッチバックを狙って蹴るので自陣20ヤード付近からの攻撃開始が予想される。
New Englandがこのシチュエーションでランプレイ以外の選択肢を取る可能性は皆無と言っていい。ショートパスに定評があるといっても、成功率は100%ではないし、インターセプトのリスクを考えると、パスを投げることはセオリーに反する。New Englandにとって、この場面ではファーストダウンを取ることも重要だが、それ以上に時間を消費することが重要だ。
Philadelphiaのディフェンスは24点の失点はしたものの、決して弱いわけではなく、ランプレイも出された場面もあったが、この状況ではスリーアンドアウトにできる確率は高い。私の判断では、Philadelphia陣45ヤードであれば65%、New England陣20ヤードであれば70%の確率でスリーアンドアウトできる。自陣に近ければファンブルへの警戒も強くなり、敵陣であればわずかではあるがパスの可能性があるため5%の差をつけた。

続いて、Philadelphiaディフェンスが攻撃をうまく止めた後のことを考えてみよう。スリーアンドアウトになれば当然New Englandはパントを蹴る。ランで5ヤード前進してパントを蹴った状況を分析してみよう。敵陣40ヤードからパントを蹴る場合、普通に蹴ればタッチバックとなる可能性が高い。ただそれだと時間の消費も乏しい。パントブロックやビッグリターンをされないように気をつける必要はあるが、高く、浅めに蹴って、インサイド20を狙うのが基本だろう。この場合のPhiladelphiaの攻撃開始地点を自陣15ヤードと設定してみる。対して、自陣25ヤードからのパントの場合を考える。単純に考えると、40ヤードのパントを蹴って5ヤード程度リターンされて、Philadelphia陣40ヤード。実際にはリターンのリスクを恐れてサイドラインに蹴り出したり、高く蹴ってカバーを優先すると思われるので、30~35ヤードのパントでリターンなしの可能性が高い。この場合の攻撃開始地点は自陣40ヤードと設定する。

共にタイムアウトは消費済みで、残り時間は50秒前後となる。FGレンジをNew England陣30ヤードとすると、前者は55ヤード、後者は30ヤード進む必要がある。キッカーの能力の高さを考えてFGレンジを35ヤードと見なせば、50ヤードと25ヤードで丁度半分となる。タイムアウトがないので、サイドラインに出るか、パス失敗、ボールをスパイクして時計を止めることが必要となる。私の想定では、50~55ヤード前進してFGを蹴れる確率を15%、25~30ヤードの場合を45%とする。サイドラインは守備に警戒されパスを決めるのは困難だ。中であればある程度パスを通せるだろうが時間が消費する。50秒前後では、中へのパスは3、4回決めると急いでも時間がなくなるだろう。ただし、Philadelphiaが敵陣まで進めば、New Englandは今度はTDのリスクに対応する必要が出てくる。New EnglandはFGを決められても同点。TDを許せば残り時間から考えて敗戦確実だ。Philadelphiaが自陣にいる間はそのリスクは非常に低いが、New England陣に入れば可能性が徐々に高まる。

では、スリーアンドアウトに成功し、FGを決める確率を計算してみよう。オンサイドキックを蹴った場合は、0.65×0.15=0.0845。蹴らなかった場合は0.7×0.45=0.315。オンサイドキックを蹴って成功した場合、FGを蹴れる確率はモメンタムの獲得も考慮して90%とすると、x×0.9+(1-x)×0.0845≧0.315。x=0.2826・・・。オンサイドキックの成功率が28%以上ならこの判断は正しかったわけだが、現実の成功率は約20%(ネット上で調べた限りではデータが見つからなかった。ただこの程度と言われているようだ)。この差をどう捉えるかは人それぞれだと思う。

今回の計算では、スリーアンドアウトの確率は比較的自信があるが、ドライブしてFGを蹴れる確率については非常に悩んだ。最初は30%と70%としたが、徐々に確率を下げていった。もちろんこの数字をどうするかで計算全てが変わってくるのだが。
オンサイドキック選択の背景には、HCアンディ・リードがオフェンスマインドのコーチであることが挙げられるだろう。私自身はあの場面で深く蹴るだろうと予想していたし、ベリチックなら深く蹴ったのではないかと想像する。もちろん結果がどうなったかは分からない。ただこういうチョイスを色々と考えたりできることが、フットボールの面白さじゃないかと今回改めて思った。というわけで、来シーズンの開幕を今から首を長くして待つことにしよう(笑)。


日本対北朝鮮(W杯アジア最終予選)

2005年02月10日 15時26分52秒 | スポーツ
まずは、北朝鮮チームの健闘を称えたい。格上相手にアウェイで99%狙い通りのサッカーをしてみせた。攻撃面では、すぐれた技術を見せてくれた。肉体的精神的強さも見事だった。

1次予選の初戦と同様、ロスタイムでゴールを決め、危機を脱した日本チームも素晴らしかった。最後まで諦めない集中力がゴールを呼び込んだ。大黒の得点感覚が光った場面だった。

というわけで、2-1で日本が勝利したわけだが、個人的には1-1で終わったほうが今後面白かったかなと思っていた(笑)。4チームで上位2チームが予選突破、3位チームもプレーオフがあるなんて緊張感に欠けてつまらないし。実力的には、イラン=日本>バーレーン>北朝鮮と見ているので、予選突破はまず間違いないだろうし。

北朝鮮はいい部分もあったが、付け入る隙はかなり目立った。特にGKはひどかったし、DFがボールを奪った後のパスミスも目についた。後半得点を取るまではいい展開を見せたが、最後は体力が尽きていた。経験の乏しさもあちこちで見られた。
#9キム・ヨンスだけは技術・戦術的に別格の印象を受けた。体調が万全ではなく、途中からの出場だったけど、彼は日本のトッププレイヤーと比較しても実力的に見劣りしない。

日本は体力面(一試合を通じての体力配分を含む)ではアジアで1、2を争う力を持っているので、終了間際でのこうしたゴールは運ではなく実力。ただ一次予選のバーレーン戦も同様だが、もっと楽に勝てる試合を自ら苦しくしてしまった感も強い。
ひとつ疑問に思ったことは、ジーコが試合前日だったかに海外組を先発で使わないと明言したこと。情報は重要な駆け引きの要素なのに、前もって漏洩するのはどうか。
日本代表については以前も書いたが、国内組海外組問わず成長を感じない。プレッシャーがあるのは分かるが、オマーン戦の経験は生かされてないわけだし。ジーコの采配も、点を入れられ同点になってから動いたわけで、完全に采配ミスと言っていいだろう。

次戦はアウェイのイラン戦。アジアカップの対戦は、共に引き分けで予選通過ということで、無理をしない試合をした。今度はイランはホームなので勝ちにくるだろう。日本は引き分けで十分。守りを固めつつ、セットプレーやカウンターなどで得点を狙うことが理想なわけだが、そういう戦いは日本は経験が乏しく苦手といっていいだろう。早くサッカーのセオリーをこなせるレベルまで成長して欲しいんだけどね・・・。
アジアレベルなら地力で勝ってるから、戦術が徹底してなくても勝てたりするし、体力面の優位性のお陰でなんとかなってる。ただ世界のトップと戦うことを考えれば、こういうサッカーをいくら続けても差は縮まりはしない。ここ数年の停滞にかなり危機感を覚えているんだけど、杞憂と言っていいのかねぇ。