正直、驚いた。
日本のスポーツ界では、一度頂点を極めた人がその座から落ちて復活するパターンは極めて少ない。2年前の東京でまさかの失速の後、高橋は数々の厳しい試練を迎えた。オリンピック選考落選、度重なるケガ、小出監督からの独立、年齢的にも限界が囁かれていた。そして、再びの東京挑戦。直前に肉離れを起こし、もはや完走さえ危ぶまれた。
東京、大阪、名古屋の三大レースの中で、他の二つと異なり東京は坂があるためタイムが期待できない。11月開催ということで一昨年のように気温が高くなることもある。2年前の高橋の東京チョイスに対しては疑問を述べたこともあった。確かに有力選手が他2レースに流れたため東京は日本人トップを取りやすい。ただ他とのタイム比較になるとかなり厳しいためどうしても序盤から無理してしまう。その結果がオーバーペースからの失速だった。
復活を再び東京にしたことに、懸念を感じた。今回はタイムを狙う必要はないとはいえ、苛酷なコースであり、復活を印象付けるには相当の結果が求められる。更に直前の肉離れ。
高橋はオリンピックやアジア大会のような夏マラソンでも素晴らしいタイムを出し、冬マラソンでは当時の世界最高タイムをたたき出した。彼女が他の日本人選手と異なっていたのは、自分でペースを作れる点だった。序盤から飛び出し、自分のペースで押していく走りは、新しいマラソンの形を創出した。その意味でも2年前の東京は、彼女らしい展開だったのだが・・・。
今日のレースはじっくりと我慢し、先頭集団についていく走りだった。ペースメイカーが離れた25km以降ペースが落ちて、トップ3人の駆け引きが繰り広げられた。ラスト勝負になれば高橋は不利。とはいえ、ロングスパートするには坂が気になるところ。厳しい状況の中、35km地点で果敢にスパート。そう、彼女は最も勇気のあるランナーだった。このスパートで勝敗は決した。2年前彼女が抜き去られた地点を今回は颯爽とトップで駆け抜けた。優勝タイムは24分台。東京の結果としては十分に評価できるものだ。海外では30代のトップランナーは少なくない。北京五輪も決して夢ではない。
日本のスポーツ界で、トップを取る選手は少なからず存在する。そうしたノウハウの蓄積もそれなりにある。しかし、トップを持続することは取ること以上に困難だ。更に、トップから落ちた後の復活のノウハウは非常に心もとない状況だ。スポーツは今や選手個人やそのコーチ陣だけでなく協会全体で強化育成せずには十分な結果を残せない。それだけにそれぞれの協会がより高いレベルを目指す必要がある。日本陸連は、アテネ五輪選考で筋を通して高橋を落とし、野口が結果を残した。しかし、それがベストの選択だったのかは検証済みとは言いがたい。実績というものへのフォローがなくていいのか、若手育成だけでなく、トップランナーへのケアが十分なのかなど課題とすべき事柄は少なくはない。
日本のスポーツ界では、一度頂点を極めた人がその座から落ちて復活するパターンは極めて少ない。2年前の東京でまさかの失速の後、高橋は数々の厳しい試練を迎えた。オリンピック選考落選、度重なるケガ、小出監督からの独立、年齢的にも限界が囁かれていた。そして、再びの東京挑戦。直前に肉離れを起こし、もはや完走さえ危ぶまれた。
東京、大阪、名古屋の三大レースの中で、他の二つと異なり東京は坂があるためタイムが期待できない。11月開催ということで一昨年のように気温が高くなることもある。2年前の高橋の東京チョイスに対しては疑問を述べたこともあった。確かに有力選手が他2レースに流れたため東京は日本人トップを取りやすい。ただ他とのタイム比較になるとかなり厳しいためどうしても序盤から無理してしまう。その結果がオーバーペースからの失速だった。
復活を再び東京にしたことに、懸念を感じた。今回はタイムを狙う必要はないとはいえ、苛酷なコースであり、復活を印象付けるには相当の結果が求められる。更に直前の肉離れ。
高橋はオリンピックやアジア大会のような夏マラソンでも素晴らしいタイムを出し、冬マラソンでは当時の世界最高タイムをたたき出した。彼女が他の日本人選手と異なっていたのは、自分でペースを作れる点だった。序盤から飛び出し、自分のペースで押していく走りは、新しいマラソンの形を創出した。その意味でも2年前の東京は、彼女らしい展開だったのだが・・・。
今日のレースはじっくりと我慢し、先頭集団についていく走りだった。ペースメイカーが離れた25km以降ペースが落ちて、トップ3人の駆け引きが繰り広げられた。ラスト勝負になれば高橋は不利。とはいえ、ロングスパートするには坂が気になるところ。厳しい状況の中、35km地点で果敢にスパート。そう、彼女は最も勇気のあるランナーだった。このスパートで勝敗は決した。2年前彼女が抜き去られた地点を今回は颯爽とトップで駆け抜けた。優勝タイムは24分台。東京の結果としては十分に評価できるものだ。海外では30代のトップランナーは少なくない。北京五輪も決して夢ではない。
日本のスポーツ界で、トップを取る選手は少なからず存在する。そうしたノウハウの蓄積もそれなりにある。しかし、トップを持続することは取ること以上に困難だ。更に、トップから落ちた後の復活のノウハウは非常に心もとない状況だ。スポーツは今や選手個人やそのコーチ陣だけでなく協会全体で強化育成せずには十分な結果を残せない。それだけにそれぞれの協会がより高いレベルを目指す必要がある。日本陸連は、アテネ五輪選考で筋を通して高橋を落とし、野口が結果を残した。しかし、それがベストの選択だったのかは検証済みとは言いがたい。実績というものへのフォローがなくていいのか、若手育成だけでなく、トップランナーへのケアが十分なのかなど課題とすべき事柄は少なくはない。