たそかれの散策

都会から田舎に移って4年経ち、周りの農地、寺、古代の雰囲気に興味を持つようになり、ランダムに書いてみようかと思う。

万博会場の安全と適正さ <大阪市水道工事不正 産廃、夢洲に不法投棄>などを読みながら

2018-09-16 | 行政(国・地方)

180916 万博会場の安全と適正さ <大阪市水道工事不正 産廃、夢洲に不法投棄>などを読みながら

 

大阪府市などが中心になって2026年万博誘致で長年運動してきたようですね。私自身はあまり関心がないので、その動きはほとんど分かっていません。

 

ただ開催場所が夢洲ということは昨年あたりから話題になっていましたので、その程度の知識はありましたし、その開催目的もいまどき関心を呼ぶのかと思いつつも、意欲的なものだなと、ほんの少しだけ耳をそばだてることもありました。

 

今朝の毎日記事<大阪市水道工事不正産廃、夢洲に不法投棄 業者証言 偽造印で管理票>では、産廃不法投棄の発生源が大阪市(水道局?)で、投棄先がその夢洲、つまり大阪市(港湾局管理)ですね。むろん不法投棄したのは施工業者ですので、その責任が一番問われるべきですが、他方で、発生源であり、かつ、不法投棄を等閑視した大阪市の責任も見過ごしにできません。

 

まずは不法投棄の手口について、毎日記事が以前から調査報道していますが、今回は施工業者に取材して、その内容を具体的に明らかにしていますので、これを取り上げたいと思います。

 

産廃処理の適正さを担保するマニフェストを偽造していたことは以前の報道で明らかにされていましたが、遠藤浩二記者が今回は業者の証言を入手したものです。

<大阪市発注の上下水道工事で、産業廃棄物を適切に処分したことを示す管理票「マニフェスト」が大量に偽造されていた問題で、複数の施工業者が毎日新聞に「大阪湾の埋め立て地に、工事で出た産廃を不法投棄していた」と証言した。>

 

土木工事ではさまざまな産廃が排出され、上下水道工事では次のような処理区分になっているようです。なお、一般の工事では汚泥も排出されますが、都市下水道については例外扱いで、<掘削工事に伴う汚泥と土砂の判断区分について>で、汚泥も土砂として取り扱うことになっています。

 

さてそれ以外の産廃については<上下水道工事では、道路を掘る際に出るアスファルトと、その下地となる砕石や鉄鋼スラグなどの「路盤材」を産廃として処分場に運ばなければならない。その下の土砂は埋め立てに利用する決まりだ。>と3区分で、前2者を産廃、残りはすべて土砂として埋立利用できることになっているのですね。

 

マニフェストの本来の管理は<運搬業者を通じて処分場に産廃を運び、マニフェスト用紙に産廃の種類や量を記入。処分場で押印してもらい、そのコピーを市に提出する仕組みだ。用紙は7枚つづりの複写式で、各業者は5年間保管する義務がある。>として、これが実際の産廃の種類・量を反映していれば、適正処理が確保されるのですね。

 

おそらく排出土量は、当該施工業者が担当する区間分に応じた正立方体の形状で上下水道管の長さを乗じて推計するのでしょうね。そのような推計を前提に、実際の掘削土砂量を減らして、他方で、その分、混ぜるアスファルト・路盤材の分を増やすことができるように掘削方法も巧妙にされていたようです。

 

<地面を斜めに掘ることで掘削土砂の量を減らし、その分だけ路盤材を混ぜていたという。>やり方が計算高いですね。これで、業者としては、架空の産廃処分料金をいただき、他方で、埋立土砂量を水増しして土砂料金をいただく、一石二鳥となるやり方ですね。

 

<大阪市では、土砂は全て人工島の夢洲(ゆめしま)(此花区)に運んで埋め立てる>そうですが、こんどは<搬入の際に、大阪市港湾局は、土砂の量を計測するなどしていたが、産廃が土砂に混ぜられているのを見抜けなかったとみられる。>

 

つまり大阪市は、マニフェストの偽造文書で排出事業者として騙され、路盤混入をチェックしないで騙される、ダブルパンチを食らわせられたということでしょうか。

 

こんなことが長年にわたって見過ごされたというのはいかがなものでしょう。本当にそうだったか、大阪市は公正かつ適正な調査を行ってもらいたいものです。

 

その金額は、<市によると、2016年度の上下水道工事の産廃の処理量は、アスファルト約4万1000立方メートル、路盤材約4万3400立方メートルなど。計約5億円に上る処理費(運搬費を含む)が業者に支払われていた。>ということですが、土砂埋立処分費は支払っていないのですかね。

 

業者の証言がいくつか掲載されていますが、たとえば< ある業者は「書類さえそろっていれば市の職員が工事現場をチェックすることはなく、やりたい放題だった。路盤材に関しては全て偽造していた」と打ち明ける。偽造したマニフェストは年間1000枚近くに上ったという。>と不正を黙認していたかのような状態ですね。

 

実際、不法投棄に関与した業者の数がひどいです。<市は5月から調査。9月11日、16年度の全工事221件のうち全体の半分となる約2万3500枚に偽造の疑いがあると発表した。元請け業者177社中163社、運搬業者85社中69社が関与した可能性があるとされ、市は業者への立ち入り調査を進めている。>

 

それで、処分先の夢洲ですが、大阪府のウェブサイトでは、<大阪府では、2025日本万国博覧会誘致をめざしています。>として、<立候補表明文書>がアップされていて、そこには次のような記載があります。

 

<会場の夢洲は、大 阪の都心から約十キロメートルの近距離にあるため、既存の都市機能が容易に利用 可能です。また、会場までの鉄道延伸や道路拡幅などの整備が計画されているほか、 夢洲が人工島であることから、海上アクセスの導入も容易です。>

 

たしかにアクセスのよさは今後期待できます。しかし、台風21号による高潮高波被害や南海トラフ大地震・津波のリスクは開催機関が長い分、対応できるのか懸念されていると思います。それに加えて今回の不法投棄先というのは管理者として大阪市はいかがなものでしょう。

 

そのウェブサイト<夢洲地区>では<安全性>の箇所で、

<•         粘性土を主成分とする浚渫土砂等での埋め立てされているため、液状化しにくい地盤となっています。

            地盤沈下を見込んだ50年後でも、9メートルを超える地盤高を確保しており、津波の侵入を許しません。(平成258月に大阪府が公表した「南海トラフ巨大地震」を想定した最大津波高さに対しても43メートルの余裕高さを有しています。)>

 

とうたっていますが、割合が少ないかもしれませんが、上記の<粘性土を主成分とする浚渫土砂等>に該当しない路盤材などの混入は安全性を担保すべく厳密に管理しているといえるのでしょうか。関空においても計画以上に地盤沈下が進んでいるのではないでしょうか。

 

今回の不法投棄事件は、大阪市の管理責任が大きく問われるべきではないかと思います。大阪都構想もそれ自体は意欲的なものと思いますが、個々の現場での事業管理が適正に行われていないことの是正を早急に行ってもらいたいものです。

 

今日も別のテーマを考えていたのですが、どうもまとまらなく、ピンチヒッターのごとく上記のテーマに鞍替えしました。これにておしまい。また明日。


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