たそかれの散策

都会から田舎に移って4年経ち、周りの農地、寺、古代の雰囲気に興味を持つようになり、ランダムに書いてみようかと思う。

便利と環境倫理 <プラスチック危機 ケニアの挑戦 ポリ袋使用、まさかの逮捕>を読みながら

2018-07-30 | 廃棄物の考え方

180730 便利と環境倫理 <プラスチック危機 ケニアの挑戦 ポリ袋使用、まさかの逮捕>を読みながら

 

私たちは常に快適さを求めてきたように思うのです。それが最大多数の最大幸福につながる、美しい?見えない糸があると幻想しているわけでもないのに。

 

便利さを追求するのが人間であり、企業であるかもしれません。それを辞めたら発展、進化はないのかもしれません。しかし地球の歴史は一歩前進二歩後退してきたかもしれません。

 

昔であったら神を怖れぬということで、自然災害やたたりという事象が時折、人間の傲慢さを自省させるような事態が起こったのかもしれません。

 

毎日新聞が連載している「プラスチック危機」も、プラスチックの普及とともに、なんども繰り返された警告かもしれません。化学物質などの毒性について閾値が取り上げられますが、社会としての許容能力も似たような目安があるように思えるのです。そろそろ危うい状態に近づいていないでしょうか。

 

先進国といわれる中で、EUはかなり以前からプラスチック使用に自主的に抑制するスタンスをとってきたと思います。わが国はたとえば、東京ゴミ戦争といわれた70年代にはすでに大きな問題とされていたのに、効果的な対策がとられないまま、適当な分別処理・リサイクルでごまかしてきたように思います。

 

途上国はというと、私が80年代後半訪れたボルネオ島で見た光景は、先住民の集落ですらポリ袋をはじめプラスチック製品が出回り、集落のはずれには捨てられたプラスチック容器などで埋め尽くされていました。集落の人数も数十人程度ですので、それほど環境に影響を与えるほどではないですが、こんなへんぴなところでもと驚いた次第です。

 

それからすでに30年が経過しました。わが国も、途上国も、プラスチック製品、そのゴミ化はさらに急速に拡大しています。ほんとにこれでいいのと思うのです。

 

私自身、便利なもの、きれいにするもの、それは反面で、環境に多大な負荷を与えるものと思ってこの30年あまり生活を送っています。その両天秤をどのようにバランスをとるか四苦八苦しつつ、ときに忘れてしまうこともあります。

 

それでもいくつかは実践してきたように思うのです。きれいにする一つ、クリーニングはできるだけ利用しません。30年以上前、クリーニング店で利用しているトリクロロエチレンなどの処理が適切に行われていないことを知ってからです。ワイシャツにシワがあることの方がよいと考えるからです。化粧品はもともと使わないのですが、女性にはできるだけ利用を控えめにしてもらいたいと思う一方、それはだめ出しを受けるかもしれませんね。

 

さて本題のプラスチックです。どんどん増えてきて、いつの間にか私も相当量使っていて、いくら容器包装プラスチックとして分別排出しても、わが国の現状では適切なリサイクルが行えているとは言えないのですから、やはり排出抑制というか、使用を控えるべきでしょう。

 

スーパーでもコンビニでもどこでも、マイバッグを持ち歩いていると、少なくてもポリ袋はいりませんね。私は有料で良いという立場です。これも消費者の中には猛チャージする方もいるでしょうね。ま、私個人には力がないので、相手にはしないでしょうが、行政がそのような企てを考えていれば、それこそ目の敵にされ、消費税増税並の反撃を食らうでしょうか。

 

プラスチック製品は多様で、その中には医療用具などとても有益なものもあるでしょう。問題の多いプラスチックですが、いずれも功罪相半ばするのが真相に近いと思う中、有益性の高いものに限って利用促進する一方、ポリ袋を含めあまり必要性の高くないものは使用制限を考えてもよいのではと思うのです。

 

むろん最終的には個人の選択にかかる部分も少なくないと思いますが、行政、企業、研究者の指向性として、一定の基準を検討する機会を設けてはどうかと思うのです。

 

そのような思いは、途上国と言われるケニアの新たな実験で、先進国と言われるわが国も考えてもらいたいと思った次第です。そのケニアの挑戦は、毎日朝刊記事<プラスチック危機ポリ袋「ノー」 ケニアの挑戦(その2止) ポリ袋使用、まさかの逮捕 厳罰立法、市民の怒り後押し>で驚きと怒りの現状を伝えています。

 

ポリ袋禁止新法による逮捕です。

<「まさかと思ったよ。路上で果物を売っていただけなんだから」。南東部モンバサで昨年10月、マーティン・マシラさん(27)ら4人が警官に現行犯逮捕された。警官はマシラさんが売ろうとしているリンゴが入ったポリ袋を指して「禁止されたのを知らないのか」と詰問し、連行した。マシラさんは翌日裁判所に出頭。初犯のため情状酌量を認められて釈放されたが、裁判官からは「次からは収監か高額な罰金を覚悟するように」とクギを刺された。>

 

消費者の苦情と業者の嘆きです。

<「レジ袋は無料だったのに、なぜ金を取るんだ」。首都ナイロビから約30キロ離れたキテンゲラの大手スーパーでは、商品の持ち帰り用に再利用できる袋を10~40円相当で販売したが客の不評を招き、当初、苦情が殺到した。

 ナイロビの青空市場でトマトやタマネギを売る女性(35)は、持ち帰り用の繊維でできた薄い袋を店に置くが、仕入れ代はポリ袋の6倍高い。客が逃げるので売り物の値上げはできず、1日600円ほどだった利益は半減。「ポリ袋の禁止には反対しないが、安価な代用品がないと商売にならない」と嘆息する。>

 

賛否両論あるものの、禁止法は着実に社会に浸透している様子です。

<法施行に反対する立場の人たちからは、ポリ袋禁止に伴う経済的損失を指摘する声もある。ケニア製造業者協会(KAM)によると、ポリ袋製造業者が廃業に追い込まれ、数千人が失業。関連業界など「間接的な影響」も含めると10万人の雇用に影響が出たと試算し、政府はさまざまな弊害を考慮し、段階的に導入すべきだと訴えてきた。

 こうした声に対し、政府顧問を務める環境専門家ピーター・オデンゴ氏は、社会的なコストは多様な側面から検討されるべきだと「反論」する。「プラごみによる汚染は人々の健康を脅かし、ケニア経済の多くを占める観光収入の減少を招いてきた」>

 

新法のビフォー・アフターは<プラスチック危機ポリ袋「ノー」 ケニアの挑戦(その1) 「世界で最も厳しい」禁止法>によれば、

 

新法施行前は途上国で見かける悲惨な実態がありました。

<禁止法ができるまでケニアのスーパーでは年間1億枚のレジ袋が無料で配布され、使用後には無造作に路上などにポイ捨てされていた。この結果、大量のごみが川や水路などにたまり、水の流れをせき止めてたびたび洪水が発生。また、家畜が誤ってポリ袋をのみ込むことも問題となっていた。「食肉処理場では10頭に2~3頭の割合で牛の胃袋からポリ袋が見つかっていた。街の景観はもとより、食の安全を脅かし、災害を引き起こしてきた」。国家環境管理庁のゼファニア・オウマ副局長(監視指導担当)は、プラごみの不法投棄がもたらしてきた深刻な被害をそう語る。>

 

それが見違えるような美人?のまち景観となったのです。

<だが、この1年で景観は見違えるようになり、家畜の誤飲も減ったという。当初は戸惑っていた市民も布製のエコバッグなどを持ち歩き始めた。>

 

むろん一国だけでは解決する問題でもないですし、ポリ袋だけの問題でもありません。これから持続性あるプラスチックゴミ対応を消費者、事業者、行政のいずれもが真剣に検討していかなければならない問題です。

 

そろそろ1時間となりそうです。この辺でおしまい。また明日。

 



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