たそかれの散策

都会から田舎に移って4年経ち、周りの農地、寺、古代の雰囲気に興味を持つようになり、ランダムに書いてみようかと思う。

車の進化とは <あいおいニッセイ同和損保/1 模索(その1)>を読みながら

2018-07-17 | 事故と安全対策 車・交通計画

180717 車の進化とは <あいおいニッセイ同和損保/1 模索(その1)>を読みながら

 

さきほど見出しの会社の担当者から、弁護士特約の事件処理の支払について連絡があり、ふとこの記事について書いてみたくなりました。最近は読書する気力が弱まり、またマスコミ情報への感覚もますます鈍くなり、ざっと読んでもぴんとこない状況が続いています。今回のようなきっかけでもないと記事も素通りしてしまいそうです。

 

さて今朝の毎日記事2面に、<変革第7部 あいおいニッセイ同和損保/1 模索>がシリーズものの企業変革の中で、あいおいが登場したのです。別に私はさまざまな保険会社の弁護士特約で回ってくる交通事故案件を扱っていますので、あいおい(略称)が特にどうのといったことはありません。この記事を見て、そうなんだと驚くとともに、損保会社も最近、ディスカウントのTVコマーシャルが激しく競い合っていますが、そろそろ新たな戦略を考える時期ではないかと思っていましたので、これもその一つかと思うのです。

 

ここでは東アジアにおいてライドシェアの急速な普及と経済合理的な車利用のあり方に注目し、わが国への導入を模索する「変革」の動きを追っています。

 

まず、あいおいの担当者は、その利用の仕方を自ら経験して述べています。

<2017年2月、シンガポール・チャンギ国際空港。あいおいニッセイ同和損害保険経営企画部(当時)の建守(たてがみ)進(44)は、走ってきた自家用車のナンバーを確認し、後部座席に乗り込んだ。行き先は告げなかったが、やがて目的地のホテルに到着。支払いをせずに降りた建守のスマートフォン画面には「25SGD(シンガポールドル、約2000円)」と表示されていた。>

 

決済方法も簡単です。

<利用したのは、一般の人が自家用車に客を乗せる「ライドシェア(相乗り)」。東南アジア最大手のグラブ(本社・シンガポール)が提供するスマホアプリに現在地と目的地を入力すると、近くにいる車が数分でやって来る。料金はタクシーより安く、アプリで自動決済される。>

 

車は所有するのが当たり前の時代が長く続き、レンタカーは旅行などで利用し、タクシーも普段の一時的な利用に便利ですが、免許制と事業参入が容易でありません。車の個人所有を前提とした損保会社の戦略も当たり前のように今日に至っていますが、今後も安定した所有者性が続くかどうか怪しいというのです。

 

<車を持たなくても、必要に応じてスマホで車を呼べば移動できる時代の到来。「我々が主戦場としているマイカー用の保険は減っていく」。>と担当者は今後を懸念したのです。

 

この主人公、建守氏、ライドシェアを支える構成員がどのような人たちでどのくらいいるのか、現場を見て唖然とするのです。

<雑居ビル1階にライドシェア(相乗り)の東南アジア最大手、グラブの「運転手登録場」があり、若者から年配者まで100人を超える人でごった返していた。「すごい熱気だ」。建守は目を見張った。 >運転手登録場という名称は飾り気のない名前ですが、その熱気がすごいのですね。

 

しかもその登録する人たちを構成する層が幅広く、いままでだと車を持てない、乗れない人でも可能となっているようです。

 <スマートフォンで名前や住所などを登録し、安全講習を受ければ運転手になれる。所得が低くて車を買えない人も多く、フロアに並ぶレンタカー会社のブースで借りる。今年6月、登録に来ていた元工場勤務のピーター(69)は「仕事と車を同時に得られる」と笑顔を見せた。>

 

これを見た<建守は「個人が車を買って保険を付ける時代は終わろうとしている」と感じた。>というのです。

 

自動車所有者を前提とする損保の仕組みから脱却する戦略を考える必要があると建守氏は考えたのですね。それは車所有者ではなく、ライドシェアのサービス事業体との資本提携という変革です。

<視察から8カ月後の17年10月。「個人が車を持たなくなり、自動車保険の契約相手は移動サービスの提供者になる。グラブとの関係を強化すべきです」。建守は東京・恵比寿のあいおいニッセイ同和本社会議室で、各部署の部長ら約30人にグラブへの出資を訴えた。>

 

しかし、大企業は腰が重いし、経済的な安定を好むわけですね。

<建守は部長級の会議で2回、出資の意義を強調した。だが、新興企業で赤字のグラブへの出資に、社内は慎重論が大勢だった。>

この状況を打ち破ったのはやはりトップです。

<迎えた11月10日の経営会議。慎重論は依然、根強かったが、終盤で社長の金杉恭三(62)が呼びかけた。「世界では新たなビジネスが急拡大している。挑戦しなければ生き残れない。腹をくくってやろう」。研究開発との位置づけで出資が決まった。>

 

その結果、すでに成果をあげているようです。

<関係強化が実り、あいおいニッセイ同和は今年2月、グループの海外法人を通じ、グラブが運転手に貸し出す4000台の車の保険を獲得した。金杉は4月12日、シンガポールのグラブ本社で経営幹部と握手を交わし、一段の関係強化を約束した。「グラブの保険をすべて獲得したい」。車業界の激変を乗り越えるため、金杉は意気込む。>

 

ま、東芝トップが米原子力企業を買収するような、突拍子もない(経済合理性をしっかり検討したとは到底思えない)判断とは異なり、このシステムは将来性もあり、すでに実績を上げているわけですし、しかも「研究開発」の位置づけですから、あいおいの本体が危うくなるような投資でないことは確かですね。

 

それはともかく、長々とこの内容を引用したのは、特段、この新たな車の共用方式が将来的に王道となるといったことで、取り上げたわけではありません。むしろこれは過渡期の方式であり、少なくとも車の所有という確固としたあり方に意識変革をもたらす点で、参考になるかなと思うのです。といっても、あいおいの今回の戦略も、車ごとに保険を付すことに変わりないようですので、若干の弾力的な運用を試みたものかもしれません。ま、いえば、レンタカーが始まった頃のようなちょっと先を読んだ程度かもしれません。

 

しかも上記の普及状況をみると、東アジアという途上国での事例であって、はたしてわが国にどこまで通用できるかとなると疑問です。わが国は別の意味で車の脱所有が進んでいるように思えます。また、車の安全性が自動運転で進化すれば、保険も必要なくなるのかもしれません(自動運転なんて怖いということが今世紀中に解決されるのでしょうか)。

 

どうも支離滅裂になりそうな雲行きで、そろそろ帰宅の時間となりました。今日はこの辺でおしまい。また明日。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿