たそかれの散策

都会から田舎に移って4年経ち、周りの農地、寺、古代の雰囲気に興味を持つようになり、ランダムに書いてみようかと思う。

生活道路のあり方 <通学路に可搬型ハンプ>などを読みながら

2019-02-28 | 事故と安全対策 車・交通計画

190228 生活道路のあり方 <通学路に可搬型ハンプ>などを読みながら

 

昨日のNHKおはよう日本で、道路上に置かれた奇妙な形のハンプが取り上げられていました。途中から見たのと、他の用をしながらちらちらと見たので、あまり内容を把握できないままでした。いまどきハンプかという思いと、ようやくハンプかという思いなどが錯綜しつつ、終日仕事で忘れていて、今日も少し長めのミーティングが終わり車で事務所に帰ってくる中、生活道路を走っていてふいに思い出しました。

 

一昨日付の朝日記事<滋賀)通学路に可搬型ハンプ 速度抑制効果を実験>に、概要が掲載されていました。

 

<滋賀県東近江市五個荘地区の旧中山道で25日、路面に設置して段差をつくり、通過車の速度抑制を図る「可搬型ハンプ」の実効性を測定する実験が始まった。>

 

五個荘地区というと聞いた記憶があるなと思ってウェブ情報をみると、<近江商人発祥の地!東近江市・五個荘金堂地区を歩く>では、やはり近世・近江商人が活躍していた他の地域同様、すてきな堀割にまちなみが残っていることがわかります。まちなみ保全への取り組みがしっかりしていることがうかがえます。ちゃんとそれを担う組織もありました。<五個荘地区まちづくり協議会>です。

 

ところが、そんなすばらしいまちなみを残してきた五個荘地区の一画にある生活道路では、<朝夕のラッシュ時には多くの自動車が抜け道として利用する。一帯は制限速度30キロだが、国土交通省などの分析で大半が50キロ以上で走っていることが分かった。>というのですから、こまったものです。まちづくり協議会に交通政策をも担う機能を委ねていないところに一つの要因があるでしょう。

 

北米で私が体験したのは、地域の団体が、生活道路を交通リスク(スピード超過による事故や通り抜け道路化による交通混雑など)をいかに回避するかについて、さまざまな提案をして実現しているコミュニティーのあり方でした。それが90年代半ばの話です。すでにハンプは普通にありましたし、後で紹介します様々な物理的なスピード制御手法を各地で採用していました。当時市議会で問題に話題になっていたのは一旦通り抜けできるような分譲地(90年代に開発される計画ではほとんどなかったと思いますが)で、closing(だった記憶)という道路閉鎖措置を議会で審議して実施することがよく話題になっていて、その審議を傍聴したり、閉鎖した現場を見学したりしていました。

 

北米の道路はフリーウェイで有名ですが、生活道路となると分譲地内に入るには一つだけの出入り口で通り抜けができない構造に90年代のものはなっていた記憶です。A分譲地からB分譲地につながる道も、バスといった公共交通機関以外は通ることができず、大きな迂回をしないといけない交通システムが作られていました。

 

ところがわが国の場合、なかなかそういった生活道路をハードとシステムで守るという仕組みができないまま、今日に至っているように思うのです。

 

ようやく始まったのが可搬型ハンプという奇妙な、まさしく試験的な装置でしょうか。

<今回は、タテ6メートル、ヨコ4メートル、最大高10センチのゴム製のハンプを五個荘北町屋町~五個荘石塚町間(約1キロ)の3カ所に設置。3月15日まで置いて効果をみる。設置場所で観察していると、確かに通過車はブレーキをかけて一定の減速をしているのが分かった。>

 

どおりで、いつでも分解できますし、移動できる構造になっています。おそるおそるやるということでしょうか。残念な思いと、それが日本の現状かと改めて思うのです。

 

ところで国交省はこれまで手をこまねいていたのかというとそうでもないのですね。

 

国交省のウェブサイトでは<生活道路対策における物理的デバイス>と銘打って、平成259月に、いくつかの対策を提案しています。

 

そのうち物理的デバイスとして、<ハンプ、狭さく、シケイン>等の設置をあげています。

 

道路は通常、一定の幅員を維持することが望ましいのですが、スピードを制御するのに、一部狭隘部分をつくるアイデアはときに有効です。次の「シケイン」とは耳慣れない用語ですね。どうやら自動車レースで使われる用語で人工的にジグザクなどの構造にしてスピードを調整するようにしている手法のようですが、カーレースで使われている用語を使うのはどうかと思います。ジグザグ道路という名称があいまいであれば、たしか90年代とか2000年代ころまでに割と使われてい欧州の技術用語があったと思います。ちょっと思い出せませんが、いずれにしてもシケインはいかがなものでしょう。

 

とはいえ国交省が平成25年に提唱し、その後実施した実例を紹介しています。

生活道路対策エリアの取組(具体事例)>によると、物理的デバイスとしてはハンプの実証実験だけのようですね。シケインとか「狭さく」はないのでしょうかね。

 

ここでいろいろ書いてきましたが、私は横須賀で、2000年代初めに、ジグザグ道路に変更した実例を知っています。当時横須賀は、ネット情報を先進的に発信したりなど、さまざまな新しい試みをしていました。こういった交通政策も一つだったのでしょう。また、分譲地ではこれはたしか昭和時代の造成ですが、すでにハンプを埋め込んで一体的な道路として利用していました。多少は米軍基地からの風の便り?にも影響されたのでしょうか?先進的な気風がありました。

 

でも国交省の実証実験の対象外でしたから、具体例には取り上げられていません。

 

他の地域でもいろいろな交通対策を行っているところがあると思います。国交省の取り上げ方は少し先駆け事例に対して失礼な印象を抱きます。対策を提唱すること自体は望ましいことですが、先駆的な事例も丁寧に取り上げながら、各地に啓蒙してもらいたい思いです。

 

ちょうど一時間となりました。この辺でおしまい。

 

 

 

 


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