190108 人と金 <特殊詐欺、暴力団に包囲網 被害1日1億円の「黒幕」>を読みながら
今日も懸案の仕事になかなか向かうことができませんでした。雑多な用が舞い込み、忙しくしつつも、心わびしい感じでしょうか。
そんな中に、当然ながらお金にまつわる話が一杯あります。高齢者のお金の使い方、むろん高齢者に限りませんが、どうも平穏ではないように思えます。孤独に一人で人生を送ることができれば、他に干渉されず、好き勝手ができるかもしれません。でもさまざまな要因でその意思は社会的な干渉の的になっています。
それほど多くの事例を見てきたわけではありませんが、たいていの高齢者は戦中、戦後を生きてきた忍耐強い人で、節約をモットーとして、倹約、倹約を積み重ねてきて、ものを大事にしています。自然とお金も貯まります。むろん最近の中国人のような荒稼ぎ?をしたわけではないので、びっくりするほど巨額ではないですが、それなりに施設入所金としても使える程度には貯まっています。なにせほんとに使わない人が多いように思うのです。
そういう人は、たしかにしっかりしていると思うのですが、他方で、お金の使い方を知らないように思えるのです。近しい親族にあげること、その人が困っていたら助けることにお金を出すこと、それが唯一使い道と思っているかのように思えることもあります。むろん自分が汗水して貯めたお金ですから、他人から文句を言われる筋合いはないし、ましてや戦争を導いた国家なんかを簡単に信用できないというのもわかる気がします。
でも不思議に思うのです。たとえば特殊詐欺に引っかかる人たちです。高齢者の方が多いですね。一人暮らし、あるいはたまたま一人でいるとき、狙われることがあるのでしょうか。いずれにしても、独立した判断を求められたとき、なぜか財布のひもが緩むのですね。最近は財布に紐がついているのをもっている人は少ないようですが、私は30年近くこれ一筋ですので、あえてこの慣用句を使います。
といっても騙す手法も、現金に限りませんから、キャッシュカードやクレジットカード、プリペイドカードもありますね。そういえば最近は少なくなったようですが、振り込め詐欺は現金が機械を通じて相手に渡ってしまいますので、金銭の多様な形態はその使い方をよく理解していないと、それだけで判断を誤ることになるおそれがありますね。
こんな話を続けたのは今朝の毎日記事<クローズアップ2019特殊詐欺、暴力団に包囲網 被害1日1億円の「黒幕」>を読んだせいかもしれません。
この記事では、<特殊詐欺の被害が止まらない。全国の被害額は過去最悪となった2014年の565億円から減少傾向にあるが、17年は394億円、18年は上半期だけで174億円に上った。1日当たり1億円が詐欺グループに流れている計算だ。全国の警察は被害の抑止に向け、詐欺グループの背後にいるとされる暴力団の取り締まりを強めている。【五十嵐朋子、佐久間一輝、内橋寿明】>
特殊詐欺がグループというかチームを組んで行われていて、実際に捕まるのは現金を受け取ったり、カードを受け取ったりする末端の人間ばかりで、裏で組織を動かす黒幕は次々とメンバーを替え、まるで営業のように騙す手法も変えて、警察の裏をついているようです。
そのバックの主要な一つはどうやら暴力団ということで、今後は徹底的な取り締まりを行うようです。期待したいものです。ゴーン事件のように司法取引が有効に使える場面はないかもしれませんが、これもありかもしれません。ところで、今朝、ゴーン氏の勾留理由開示手続が行われ、報道などで騒がれたようですが、現行の制度では形式的な手続にとどまっていて、被疑事実の証拠を取り上げて審理したり、法的評価を議論したりする場としては裁判実務として(法令上は疑義のあるところですが)取り扱っていないので、たいした場になるとは想定できません。その通りだったようですね。私もそうはいいながら、何回か試みましたが、勾留取消に結びつくような成果を得ることは無理なのが裁判実務の現状でしょうか。
さて、こういった捜査側や関係機関の努力は大変なものと思うのですが、私が取り上げようとしているのは、先に述べたとおり、騙されるご本人のことです。
私は30年以上前、いくつもの原野商法被害者の事件を扱っていたことがあります。そのときもほとんどが70代前後か、それ以上の高齢者でした。騙す方は次々と手法を変えてきますので、騙されやすい人(これは自分は自信があるという人も安心しない方がいいと思います)、とくに一人で判断する人はリスクに晒されていると思っていた方がいいかと思います。
そういった第三者の違法な騙す行為は、許されないことは、刑法を含め特別刑法など詳細は知らなくても誰でも承知していることでしょう。しかし、身内というか、親族、いや法律上の親族ともいえなくとも遠い親戚の話もときに注意が必要かもしれません。
認知症になっていたりすると、その判断が的確にされないことがわかりますが、その症状があるのかどうか判然としない段階だと、困りますね。専門の精神科医であっても、判断が分かれれることが少なくないと思います。いや認知症状かどうか判然としない場合に限らず、うつ症状などさまざまな病因を原因として的確な判断をすることができない、できにくくなることもあるようです。
いやいや、病気や何らかの症状と言うより、そもそも金銭の使い方をしっかり学んだり、体験したことがない人が、戦中、戦後を生きてきた人の中に、いらっしゃるように思うことがあります。そんなことを言うと私が適切な金銭支出をしているかといえば、そんなことは自慢できそうにありません。とはいえ、社会的に見てバランスを欠く金銭感覚がときに見られるのではと思うのです。
その世代の苦労も知らないで、変なことを言うとの非難を感じつつも、私の親の世代、親類の世代、仕事で出会ったそういう世代を見ていて、感じるのです。
オレオレ詐欺を含む特殊詐欺の被害者にもそういった人たちもいるように思いますが、相続や贈与をめぐる家事紛争の中でも見られるように思えるのです。
法律は使い方を教えません。宗教も。マネーといった類いの情報では投資情報を提供しても、真の使い方を教えるというか、情報提供するものではありません。そろそろそういった情報提供を考える時代かもしれません。それは上からの情報ではなく、容易に利用できる形で提供される情報が必要とされているように思うのです。迷える羊は、私もいつか?そうなるかもしれませんが、あちらこちらできっと悩んでいると思うのです。
今日はこのへんでおしまい。また明日。
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