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アーカイブ(公開論文集)
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今年もあと一日を残すだけとなりました。私は1973年以来、スウェーデンと日本の環境問題とその対応を同時進行でウオッチしてきました。2007年1月1日から始めたこのブログも新年には3年目に入ることになります。
スウェーデンと出会って35年、私は先月初めて「スウェーデン社会民主党(社民党)党綱領」を読む機会を得ました。そして、そこに描かれていることの多くがみごとなまでに現実の社会で実現されていることを知り、感動しました。私が35年間苦労して理解したスウェーデンとその環境政策とその成果(このブログでは、63回にわたって書き続けた「市民連続講座:緑の福祉国家」)がこの社民党の党綱領の中に「グリーンなスウェーデン福祉国家」のタイトルで大筋が描かれていたのです。これは私にとって大発見でした。安心と安全な社会は民主主義の国では政治家と官僚と国民が協力してつくるものなのですね。
私が参照した「スウェーデン社会民主党党綱領」は北海道大学大学院法学研究科教授・宮本太郎さんの訳によるもので、その全文が社団法人 生活経済政策研究所発行の『生活研ブックス16』(2002年12月10日発行)に「ヨーロッパ社会民主主義論集(Ⅳ)」として収録されています。
今日は今年最後のブログですので、「スウェーデン社会民主党党綱領」に書かれている「環境」の部分を紹介しましょう。
労働運動の発展:平等観の拡張
1970年以降、環境政治や平等問題が社会民主主義の政策においてより重要な要素になってきた。環境論議は、非搾取的な経済を求める社会民主主義の古典的な要求と連動している。また、平等を進める政策は、社会民主主義の包括的平等を志向するイデオロギーから、当然発展してくるものである。こうした二つの議論は、社会分析をさらに深化させることにもなった。
a 環境
民主主義の状況と経済を分析するにあたっての中心的問題は依然として労使間での権力と資源の分配の問題である。しかし、環境問題が示しているのは、民主主義的な経済もまた搾取的になりうるということである。それはどのような場合かと言えば、経済が今日の福祉のために生み出す資源のその量的な側面だけが目標として掲げられ、自然資源のうえでどれほどのコストがかかったのか省みられない場合である。環境面での要求は、所有のあり方を問わず、また生産の帰結がどのように配分されるかにかかわりなく、経済権力をめぐる議論にもう一つの重要な次元を付け加えるものである。
環境政策はさらに、再分配にかかわるまた別の政策原理、すなわち世代間の再分配という原理も含んでいる。今日の世代は、自らの福祉のためだからといって、来るべき世代の生活の基盤となる資源や物的環境を疎かにする権利はない。こうした観点からすれば、社会民主党は環境政党でもある。
b.平等(略)
c.エスニシティ(略)
d.差別(略)
以上は、「スウェーデン社会民主党党綱領」から抜粋したものですが、以下は私の35年にわたるスウェーデンの環境政策のウオッチの過程で、私自身が発見し、理解した「スウェーデンの行動原理」です。これは大変普遍性の高い原理で、閉塞感溢れる現在の日本でも応用可能だと思います。
さらに付け加えれば、
●スピード
●透明性
●包括的(総合的、ホリスティック・・・・・)
●システム思考
ということになるでしょう。これらはいずれも日本に欠落している特性です。
新年のブログはスウェーデン社会民主党党綱領に記された「グリーンなスウェーデン福祉国家」をご紹介することから始めましょう。
それでは、皆さん、よいお年を。
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今年もあと一日を残すだけとなりました。私は1973年以来、スウェーデンと日本の環境問題とその対応を同時進行でウオッチしてきました。2007年1月1日から始めたこのブログも新年には3年目に入ることになります。
スウェーデンと出会って35年、私は先月初めて「スウェーデン社会民主党(社民党)党綱領」を読む機会を得ました。そして、そこに描かれていることの多くがみごとなまでに現実の社会で実現されていることを知り、感動しました。私が35年間苦労して理解したスウェーデンとその環境政策とその成果(このブログでは、63回にわたって書き続けた「市民連続講座:緑の福祉国家」)がこの社民党の党綱領の中に「グリーンなスウェーデン福祉国家」のタイトルで大筋が描かれていたのです。これは私にとって大発見でした。安心と安全な社会は民主主義の国では政治家と官僚と国民が協力してつくるものなのですね。
私が参照した「スウェーデン社会民主党党綱領」は北海道大学大学院法学研究科教授・宮本太郎さんの訳によるもので、その全文が社団法人 生活経済政策研究所発行の『生活研ブックス16』(2002年12月10日発行)に「ヨーロッパ社会民主主義論集(Ⅳ)」として収録されています。
今日は今年最後のブログですので、「スウェーデン社会民主党党綱領」に書かれている「環境」の部分を紹介しましょう。
労働運動の発展:平等観の拡張
1970年以降、環境政治や平等問題が社会民主主義の政策においてより重要な要素になってきた。環境論議は、非搾取的な経済を求める社会民主主義の古典的な要求と連動している。また、平等を進める政策は、社会民主主義の包括的平等を志向するイデオロギーから、当然発展してくるものである。こうした二つの議論は、社会分析をさらに深化させることにもなった。
a 環境
民主主義の状況と経済を分析するにあたっての中心的問題は依然として労使間での権力と資源の分配の問題である。しかし、環境問題が示しているのは、民主主義的な経済もまた搾取的になりうるということである。それはどのような場合かと言えば、経済が今日の福祉のために生み出す資源のその量的な側面だけが目標として掲げられ、自然資源のうえでどれほどのコストがかかったのか省みられない場合である。環境面での要求は、所有のあり方を問わず、また生産の帰結がどのように配分されるかにかかわりなく、経済権力をめぐる議論にもう一つの重要な次元を付け加えるものである。
環境政策はさらに、再分配にかかわるまた別の政策原理、すなわち世代間の再分配という原理も含んでいる。今日の世代は、自らの福祉のためだからといって、来るべき世代の生活の基盤となる資源や物的環境を疎かにする権利はない。こうした観点からすれば、社会民主党は環境政党でもある。
b.平等(略)
c.エスニシティ(略)
d.差別(略)
以上は、「スウェーデン社会民主党党綱領」から抜粋したものですが、以下は私の35年にわたるスウェーデンの環境政策のウオッチの過程で、私自身が発見し、理解した「スウェーデンの行動原理」です。これは大変普遍性の高い原理で、閉塞感溢れる現在の日本でも応用可能だと思います。
さらに付け加えれば、
●スピード
●透明性
●包括的(総合的、ホリスティック・・・・・)
●システム思考
ということになるでしょう。これらはいずれも日本に欠落している特性です。
新年のブログはスウェーデン社会民主党党綱領に記された「グリーンなスウェーデン福祉国家」をご紹介することから始めましょう。
それでは、皆さん、よいお年を。
それにしても、スウェーデン社会民主党党綱領に示された理想、理念、そして的確な現実認識等々には感動ですね。
来年、お互いに、さらに学びを深めながら、さらに広く発信していきましょう。
よろしくお願いします。
政治のリーダシップでビジョンを策定、そのビジョンを実現するために官僚が一生懸命知恵を絞る、戦略と戦術など企業戦略で議論されている手法や考え方が国づくりでも可能であることを示しています。国民は選挙を通して国づくりに参加しています。
現実の延長では様々な制約が明らかになっているので、国づくりにもバックキャスト的手法が有効だということですね
そうであれば、日本でも「現状認識が十分で、しっかりした意思あれば」できるのでは?
2007年1月15日に書いた次のブログ
http://blog.goo.ne.jp/backcast2007/e/cb6992e2775e4940c0b9502d8f44cdfa
の最後の文章が今日はっきりと理解できました。すごいことです。