環境問題スペシャリスト 小澤徳太郎のブログ

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スウェーデン社会民主党党綱領 「グリーンなスウェーデン福祉国家」-①

2009-01-01 09:10:54 | 政治/行政/地方分権
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新年あけましておめでとうございます。

1年前、つまり、昨年1月1日の私のブログで何を書いたのか、ここをクリックすることから始めてください。

昨年11月3日のブログで紹介した米コロンビア大学ジョセフ・スティグリッツさんは朝日新聞のインタビュー記事で、「新自由主義の終わり」「グリーンなアメリカ」を主張し始めました。この記事を読んだ後、スウェーデン社会民主党党党綱領を読むとほとんどすべての面で「スウェーデンの先進性」が理解できます。

スウェーデン社会民主党党綱領における「環境認識」 
については一昨日のブログで紹介しましたが、重要なことですので、もう一度掲載しておきます。 
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労働運動の発展:平等観の拡張
1970年以降、環境政治や平等問題が社会民主主義の政策においてより重要な要素になってきた。環境論議は、非搾取的な経済を求める社会民主主義の古典的な要求と連動している。また、平等を進める政策は、社会民主主義の包括的平等を志向するイデオロギーから、当然発展してくるものである。こうした二つの議論は、社会分析をさらに深化させることにもなった。

a 環境
民主主義の状況と経済を分析するにあたっての中心的問題は依然として労使間での権力と資源の分配の問題である。しかし、環境問題が示しているのは、民主主義的な経済もまた搾取的になりうるということである。それはどのような場合かと言えば、経済が今日の福祉のために生み出す資源のその量的な側面だけが目標として掲げられ、自然資源のうえでどれほどのコストがかかったのか省みられない場合である。環境面での要求は、所有のあり方を問わず、また生産の帰結がどのように配分されるかにかかわりなく、経済権力をめぐる議論にもう一つの重要な次元を付け加えるものである。

環境政策はさらに、再分配にかかわるまた別の政策原理、すなわち世代間の再分配という原理も含んでいる。今日の世代は、自らの福祉のためだからといって、来るべき世代の生活の基盤となる資源や物的環境を疎かにする権利はない。こうした観点からすれば、社会民主党は環境政党でもある。

以下省略
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以上がスウェーデン社会民主党党綱領に示された「環境認識」です。このような「環境認識」に基づいて、社民党は21世紀前半にめざすべき「新しい社会」の構築を模索してきました。その大筋がこの党綱領に書かれています。それでは、今日から同党党綱領に記載されている「グリーンなスウェーデン福祉国家」の記述を3回に分けて紹介します。


グリーンなスウェーデン福祉国家―その1
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地球の資源を賢く活用することは、人類の未来のための条件である。もし来るべき世代が、フレッシュな空気できれいな水のある、自然豊かで、多様な生物種に満ちた世界に生きたいと願うのであれば、経済発展は、環境的持続可能性との調和を図らなければならない。

しかし今日、自然資源とエコシステムは、長期的にみた持続可能性の限界を超えて使われており、これを止めないならば環境的崩壊の危険もある。環境的に持続可能な発展への調整が不可避であるが、これは世界社会全体の責任であり、また社会民主党にとってはあらゆる国際的なつながりのなかで追求するべき目標である。

当面求められるのは、資源節約型で効率的な生産、エネルギーシステム、輸送システムを採用していくことで、これは社会的公正を求める要求とも一貫するものである。そのためには今日用いられている資源の量を大幅に削減する必要があるが、このことは今度は、生産および消費のパターンを変えることになる。

新しい経済的合理性、社会計画における新しい方向性が求められていくし、個人が資源の使用にかんして、責任を負っていくことが求められる。
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