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環境問題スペシャリスト 小澤徳太郎のブログ

「経済」 「社会」(福祉) 「環境」、不安の根っこは同じだ!

「将来不安」の解消こそ、政治の最大のターゲットだ

誰でも参加したくなる「1999年施行の新公的年金制度」②

2007-07-09 05:06:55 | 少子高齢化/福祉/年金/医療


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改革の中心は二つあります。

一つは旧制度の「給付建て」から「拠出建て」へ全面的に切り替えたこと、もう一つは、「自動財政調整方式」を導入したことです。つまり、年金受給世代に優先権を与えてきた旧制度とは180度違って、新制度では、21世紀の社会に生きる現役世代に優先権を与えたのです。


①「給付建て」から「拠出建て」へ

この制度の基本的な運用方式は、旧制度と同じ賦課方式ですが、制度改革にともなう新しい試みとして、「賦課方式」に「積み立て方式的な要素」が少々加えられました。新制度は、旧制度の「給付建て賦課方式」ではなく「拠出建て賦課方式」ですから、最初に、労使で折半する拠出保険料率が固定されます。固定された保険料率は18.5%で、そのうち16%が「賦課方式」の部分で、残りの2.5%が「積み立て方式的な要素」の部分です。
 
賦課方式の部分は、「概念上の拠出建て」という計算方法で計算され、現役世代が自分の支払った保険料に基づいて、年金受給年齢になったときに自分が受け取る給付を計算できるようになっています。
 
積み立て方式的な要素の部分は、民間金融機関の年金商品のなかから、現役世代が運用先を自己責任で選ぶことになります。ですから、運用成績しだいでは、現役時代に支払った保険料の総額が同じでも、年金受給世代に受け取る年金額に、多少の増減が生まれることになります。


②「自動財政調整方式」の導入

また、年金財源の安定化を図るために、経済・社会の変化に柔軟に対応できる「自動財政調整方式」が導入されました。年金財政が悪化し、年金の賃金スライド率を下げ給付額を減らすなどの変更が必要になったときには、この方式の導入によって、国会の議決がなくても給付水準の引き下げが自動的に行なえるようになりました。
 
固定された保険料率は、将来、経済・社会的状況が変わっても引き上げないことになっているので、万一、そのような困った事態が発生した場合には、年金受給世代が受け取る給付額が減ることになります。


新年金制度の特徴

ここで、新年金制度の特徴をまとめておきましょう。

①新制度はすべて就労所得に基づいているので、経済状況が良ければ年金受給額は増えるが、悪ければ減っていく。将来は、自分の生活の安心は自分の責任で確保する方向が打ち出されてきた。その結果、個人的な年金貯蓄が増えており、私的年金保険会社が活気を持ってきた。

②現役世代が支払う保険料水準は固定されるが、年金受給世代が受け取る給付水準は固定されないので、旧制度のように年金受給世代の給付水準を保障するために、将来、現役世代に大幅な負担を強いることがなくなる。つまり、この制度は、年金受給世代よりも現役世代・将来世代に重きを置いた未来志向型の制度である。

③現役世代の生涯所得が給付水準に反映されるので、受給世代に達したときに労働市場から引退するのを引き留めるインセンティブが働く。

④寿命が延びることは公的年金に対する財政負担の増加にはつながらない。

⑤旧制度と同様にすべての国民を対象にするが、新制度は将来の経済状況や人口動態の変化に対して、「自動財政調整方式」の働きで制度の柔軟性が確保される。



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 誰でも参加したくなる「1999年施行の新公的年金制度」①

2007-07-08 06:58:49 | 少子高齢化/福祉/年金/医療


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この図は新年金制度の概念図を示したものです。1999年から始まった新公的年金制度の最大の特徴は、「現役世代が生涯を通じて納めた保険料の総額が同じであれば、年金受給世代になって受ける給付額も同じである」という公平性にあります。旧年金制度に対しては、払っただけの額を受け取れない、という若い世代の不満がありましたが、新しい制度では、「拠出」と「給付」の関係が1対1となり、若者の納得が得やすいように工夫されています。

この制度の実現までの議論をリードしてきたボー・クェーンベリさん(前社会保険大臣)は、2002年1月の日本での講演で、つぎのような具体例で旧制度との相違を説明しています。

●拠出と給付について、「旧年金制度」と「新年金制度」の間には違いがあります。生涯を通じて155万クローナを納めた2人の人がいるとします。1人は勤続年数が短かったが、ダイナミックなキャリアを持っていた人です。この人の受け取る年金給付のほうが、こつこつと40年間、同じ企業で工場労働者として働いた人よりも多くなる。それが旧制度でした。新しい年金制度では、払い込んだ保険料が同じであれば、給付額も同じになるということで、より公平になります。

新年金制度では、自ら支払う保険料によって、自らの年金給付を確保していくことになりますので、日本で深刻な問題になっている「保険料未納問題」は、制度上起こりにくくなっています。
 
この制度は、旧制度の1階部分を構成していた「国民基礎年金」を廃止し、年金を「所得比例年金」に一本化したため、「現役世代の生涯所得」と「現役世代が年金受給世代になってから受け取る年金受給額」が直接結びついています。

年金の財源は、低所得者以外はすべて、現役世代が支払う「労使折半の保険料」です。子どもの保育期間や徴兵期間中など所得のない期間は、国が代わって年金保険料を払うことになっています。低所得者に対しては、税金を財源とする「最低保障年金」制度を設けました。最低保障年金の支給額は生活保護の基準となる所得の75%程度です。国庫負担(税金)は、補足年金給付の全額、出産・育児休暇時の保険料相当額および兵役期間中の保険料相当額の3種類のみです。 

年金受給開始年齢は原則として65歳ですが、61歳から70歳までの間で、自由に選択することができます。新年金制度はすでにお話したように、自分が払った保険料が、将来年金として返ってくることを実感できるように工夫された制度で、専門的には「概念上の拠出建て賦課方式」と呼ばれます。



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1960年施行の旧公的年金制度

2007-07-07 07:22:54 | 少子高齢化/福祉/年金/医療


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この図は1960年施行の旧年金制度の概念図を示したものです。国民付加年金法のもとでの年金制度は「国民基礎年金」と「国民付加年金」の2階建てからなっていました。1階部分の国民基礎年金は税金によるもので、すべての国民が、65歳になると等しく支給されました。これは基礎生活を保障するためです。
 
就労者には、「国民基礎年金」に加え、2階部分の「国民付加年金」が支給されました。国民付加年金の主な財源は、「主として雇用者の支払う年金保険料」が財源で、給付は退職前の所得の60%を保障するものでしたが、この国民付加年金を満額受給するためには、30年間の就労期間が必要でした。

この制度は、専門的には「給付建て賦課方式」と呼ばれています。給付建てというのは「給付水準(年金受給世代が受け取る年金額の水準)」を最初に決めて、その給付水準を実現するために「拠出水準(雇用者が支払う保険料の水準)」を決めることです。

つまり、給付水準の決定が拠出水準の決定より優先するということです。また、賦課方式というのは、ある年に国が支払う税金と雇用者が支払う保険料の総額を、そのままその年の年金受給世代に年金として受け渡すという方式です。
 
この旧年金制度は、経済の高度成長期のまっただなかの1960年に成立・施行され、20世紀の最後の40年間にわたって、高齢社会のスウェーデン国民に大きな安心感を与えてきました。その結果、 “スウェーデンでは制度的に、高齢者層には貧困はない”といわれています。 
 
ところが、21世紀前半社会を特徴づける「経済の低成長」や「引き続く少子・高齢化」に、財政的な対応がむずかしく、制度の持続が危ぶまれ、国民が年金の将来に不安を抱くようになりました。 80年代末頃から旧年金制度を設計した1960年当時の「社会・経済的な前提と見通し」が、大きく変わってきたからです。

「現実主義の国」スウェーデンはいち早くこの大問題への対応策を超党派で検討し、時代の要求に合わなくなりつつあった「国民付加年金制度」を、21世紀にふさわしい年金制度に改めるために、全面的な見直しをすることにしました。



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 制度上、スウェーデンの高齢者層には貧困はない

2007-07-06 07:27:29 | 少子高齢化/福祉/年金/医療


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スウェーデンで「一般国民年金法」が成立したのは1913年、90年以上前のことです。この法律は国民全員を対象とした世界初の国民年金法で、そこでは公的年金制度の理念として、 「年金制度は国民すべてに普遍的であること、国民の収入の多少にかかわらず年金額は一律に支給すること」という2つの基本原則が掲げられました。この制度は、年金保険料に基づく年金でした。国民は所得に比例して年金保険料を払っていましたが、その給付水準は十分なものではありませんでした。

「一般国民年金法」以後のスウェーデンの公的年金関連法は、1935年の「基礎年金法」、46年の「国民年金法」を経て、60年施行の「国民付加年金法」 (このブログでは、この法律に基づく年金制度を「旧年金制度」と呼ぶことにします)に引き継がれてきました。ここまでの年金法制度はいずれも「経済成長」を前提とするものでした。99年からは、「旧年金制度」に代わって、21世紀前半社会に向けた「新年金制度」が施行されています。
 
国民付加年金法のもとでの年金制度は「国民基礎年金」と「国民付加年金」の二階建てからなっていました。一階部分の国民基礎年金は税金によるもので、すべての国民が、65歳になると等しく支給されました。これは、基礎生活を保障するためです。
 
就労者には、「国民基礎年金」に加え、二階部分の「国民付加年金」が支給されました。国民付加年金の主な財源は、「主として雇用者の支払う年金保険料」が財源で、給付は退職前の所得の60%を保障するものでしたが、この国民付加年金を満額受給するためには、30年の就労期間が必要でした。
 
この年金制度には、65歳に達した国民で国民付加年金を受給する資格を持たない人、あるいは資格はあってもその額が低額の人には、一定額の年金給付を保障する「補足年金」が組み込まれていました。

明日は、60年施行の「国民付加年金制度」(旧年金制度)の概要を紹介します。



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すべての国民が一つの制度に

2007-07-05 08:28:50 | 少子高齢化/福祉/年金/医療


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先進工業国のなかで公的部門の社会保障制度が小規模なのは、日本と米国です。この対極にあるのが、スウェーデンです。ドイツ、フランス、英国などヨーロッパの主要国は、その中間に位置しています。前京都大学大学院教授で、現在、立命館大学教授の橘木俊詔さんは著書「家計からみる日本経済」(岩波新書 2004年1月)でこの状況を、下の図のように表現しています。



次の図はスウェーデンで描かれた「人生の階段」をあらわした絵です。

子どもが成長し、50歳で人生のピークに達し、それ以降は徐々に老齢化していきます。どの年齢がピークであるかは、時代によって、社会によってさまざまでしょうが、この階段は誰にでも、そして先進工業国、途上国を問わず、どこの国の国民にも共通です。

「子どものとき」そして「歳をとったとき」に、私たちは他人の助けを必要とします。けれども、歳をとることは「予測できる不安」であり、すべての人に共通する問題です。

年金制度は社会保障制度の中心となる制度で、最大の目的は、労働市場から引退した高齢者の生活を維持するための所得を保障することです。つまり上の図でいえば、人生のピークを越えた右半分の世代の所得を、社会全体で保障することです。

ここでは、国民すべてに共通する「公的年金」に焦点を当てます。このような、すべての人に共通な問題に対して、日本(ドイツやフランスも)は、産業、職業、企業、年齢などの特性に応じて、別々の共同体がまとまって対応する社会保障制度を築いてきました。日本では、たとえば年金制度における「国民年金」(主として自営業者)、「共済年金」(公務員)、「厚生年金」(雇用関係にある勤労者)、「議員年金」(国会議員)などです。
 
これに対してスウェーデンは、国民全体が一つの共同体に属していると考え、国民全体に共通する普遍性の高い社会保障制度を築いてきました。すべての人が参加する福祉制度や社会保障制度がつくられてきたのです。スウェーデンの制度は、決して特殊な考えに基づくものではなく、私たちが暮らす日本にも十分当てはまる、普遍性の高い原則に基づいているといえるでしょう。



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「国民の不安」に対応する国づくり②

2007-07-04 07:47:53 | 少子高齢化/福祉/年金/医療


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今日から、社会保障制度のなかでも、21世紀の2大問題 の一つ「少子・高齢社会」を支える年金制度を、スウェーデンがどうやって構築したのか、その大筋を見ていくことにしましょう。

少子化も高齢化も、人類にとって初めての経験ではありません。しかし、「少子化」と「高齢化」が同時に起こる「少子・高齢化」という現象は人類が初めて経験するものです。とりわけ、21世紀前半の日本では「少子・高齢化」に加えて、「総人口の減少」という他の先進工業国にない現象が加わります。

このような社会では、20世紀の経済成長のもとでこれまで無事に機能してきた「社会保障制度の持続性」が危ういものになります。ですから、「少子・高齢化問題」は国民の安心と安全が保障されるかどうか、という意味において、「社会の持続性」にかかわる問題です。つまり、少子・高齢化問題は、「人間社会の安心」を保障する年金、医療保険、介護保険、雇用保険などで構成される「社会保障制度の持続性」にかかわる大問題なのです。

6月26日のブログ「日本の少子・高齢社会②」で掲げた次の図からもわかるように、スウェーデンは20世紀後半の40年間に人口の高齢化が最も進んだ国であり、その問題の解決に真正面から取り組んできた現実主義の国です。
 


スウェーデンはいち早くこの大問題への対応策を超党派で検討し、時代の要求に合わなくなりつつあった1960年施行の「国民付加年金制度」を、21世紀にふさわしい年金制度に改めるために、全面的な見直しをすることにしました。

この年金制度改革は、「国民生活の基本的な制度の一つである公的年金制度の設計には与野党の対決を持ち込むべきではない」という現実的な考えから、野党4党と与党の社民党が協力し、20世紀の最後の10年に十分な時間をかけてまとめたものです。
 
1999年に、21世紀に向けた「新公的年金制度」が始まりました。OECDや、米国の格付け会社ムーディーズは、スウェーデンのこの年金制度改革を高く評価しています。
 
日本でも、行き詰まった公的年金制度を改革するための国会での議論が、2004年4月から本格化したので、スウェーデンの抜本的な年金制度改革に注目が集まっています。このことは、「日本の厚生労働大臣の諮問機関である社会保障制度審議会年金部会の自由討議で、委員12人のうち9人がスウェーデンの年金制度改革に触れた」という報道からも明らかでしょう。



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「国民の不安」に対応する国づくり①

2007-07-03 08:38:20 | 少子高齢化/福祉/年金/医療


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20世紀後半に日本とスウェーデンは、ドイツと共に、世界の歴史の中で経済的に成功した代表的な国でした。ここで、スウェーデンが20世紀後半に経済的に成功した原動力を考えてみましょう。いろいろな理由が考えられますが、私は両国の経済的な成功の原動力は同じではなく、むしろ正反対だと思っています。キーワードは「不安」です。

ほかの先進工業国とは異なった経済的な成功の要因として、私は「国民の不安への対応」を挙げたいと思います。スウェーデンは、米国と同じように、「自己選択・自己決定・自己責任」を基調とした自立性の高い国ですが、米国とは違って、公的な力によって国民を不安から解放するために、安心・安全・安定などを求めて経済発展を進め、協力社会(生活大国)をつくりあげた“小国”です。
 
日本は不安の解消よりも効率化・利便性を求めて「世界第2位の経済大国」と呼ばれるまでに経済発展を遂げた国です。激しい「競争」が不安を作り出す大きな原因であることは容易に理解できるでしょう。このことは21世紀に入った今でも、電車内の週刊誌の吊り広告やタブロイド版の夕刊紙をみれば容易にご理解いただけるでしょう。

スウェーデンの政治・経済に詳しい早稲田大学教授であられる岡沢憲芙さんは「スウェーデンの挑戦」(岩波新書 1991年7月発行)の中で、「人生の各段階で市民を恐怖に追い込む不安は次の7つである。生活大国の政治は、具体的政策でこうした不安から市民を解放する必要があるとおっしゃっています。

①生まれてくることへの不安(産むことへの不安)
②職を失うことへの不安
③病気になることへの不安
④社会的孤立・孤独の不安
⑤不本意に死を迎える不安
⑥老後生活への不安(年をとることへの不安)
⑦教育機会喪失の不安(

これらの不安は、先進工業国の国民であれ、途上国の国民であれ、人間社会に共通する普遍性の高い事象であり、社会の公的な力で解決されるべきものです。このような不安は、基本的には国内問題ですので、社会保障制度を充実させることで、かなりの部分を解消することができます。実際、スウェーデンはそのように対応してきました。

私たちが生きていくうえでかならず起こる不安に対して、「できるだけ不安が少なくてすむように公的な力で不安を解消する」のがスウェーデンの考える基本的な安心感でした 。これは社会保障制度を整えることであり、いま、はやりの言葉でいえば、「セーフティ・ネット」を張るということです。 「年金制度」はこれら7つの不安の⑥を解決する具体的な手段です。
 
それでは明日からは、社会保障制度のなかでも、21世紀の2つ大問題の1つ「少子・高齢社会」を支える年金制度を、スウェーデンがどうやって構築したのか、その大筋を見ていくことにしましょう。



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「保険料」と「給付」のバランス

2007-06-30 03:45:34 | 少子高齢化/福祉/年金/医療


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さて、もう一つの重要な議論は「現役世代が支払う保険料と年金受給世代が受け取る給付のバランス」についてです。

2004年の政府案は、現行の制度のこの部分を修正しようとするものです。現行制度を基本的には変えずに、労使で折半する現役世代が支払う保険料水準を段階的に引き上げる一方、年金受給世代が受け取る給付水準を引き下げることで対応しようというもので、現役世代と年金受給世代の双方に負担を強いるものとなります。
 
しかし、このような対応を今後も繰り返せば、現役世代は支払った保険料に見合うだけの年金給付額を受け取れないのではないか、年金受給世代も年金給付額が段階的に削減されていくのではないかと考えるようになり、公的年金制度への不安と不信がいっそう増大することになるでしょう。
 
2004年6月5日、年金改革関連法案は自民党、公明党が強行採決を行ない、賛成多数で大混乱のうちに可決、成立しました。成立した年金改革法は、政府・与党が「100年持つ制度」といっていた内容とはほど遠いものでした。日本の年金制度が将来、国民に安心感をもたらすか、さらに国民を不安に陥らせるかは、日本の国民の意識と現在の政治的決定にかかっています。



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「年金制度の一元化」と「納税者番号制の導入」

2007-06-29 08:49:20 | 少子高齢化/福祉/年金/医療


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日本の年金問題の議論を通じて浮かび上がったキー・ワードは「年金制度の一元化」という問題です。日本の一元化は、サラリーマンは厚生年金、公務員は共済年金、自営業者は国民年金というように職業別に分かれている現行の年金制度を一本化し、全国民が一つの年金制度に入ることを意味しています。

この点に関していえば、スウェーデンの年金制度は1960年の「旧年金制度」の最初から一元化されていました。日本で農家や自営業者を対象とした「国民年金」が誕生し、全国民を対象にした日本の「皆年金制度」が確立したのは61年、つまり、スウェーデンの「旧年金制度」が成立した1年後であったことを思い出してください。スウェーデンで「一般国民年金法」が成立したのは1913年、つまり両国の公的年金制度の歴史には、50年近くの時間的な開きがあります。 

日本の年金制度一元化のためには、自営業者の所得を正確に把握するために、「納税者番号制の導入」のような新たな制度が必要だといわれています。しかし、プライバシーの侵害につながりかねないという懸念も強く、実現の段階には至っていません。

6月23日の朝日新聞によりますと、政府・与党は22日、年金や医療保険、介護保険の個人情報を一元的に管理する「社会保障番号」を11~12年度をめどに導入し、ICチップ入りの「国民サービスカード」(仮称)を全国民に1人1枚ずつ配布する方向で検討を始めたそうです。

スウェーデンでそれに相当するのは「住民番号制度」でしょう。この制度は1968年から実施されており、10桁の統一コードを用いて税務、社会保険、住民管理、各種統計、教育などあらゆる行政機関や民間部門のサービスで幅広く利用されています。スウェーデン中央センターには、国民背番号、氏名、住所から本人や家族の所得額、保有する不動産など広範なデータが記録されています。



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大混乱する日本の年金改革

2007-06-28 07:54:38 | 少子高齢化/福祉/年金/医療


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2003年に入って、日本では新聞や雑誌に年金関連記事が多くなりました。2004年4月には国会で年金改革法案の実質的な審議が始まったので、テレビ番組でも連日のように年金問題がとりあげられました。
 
これらの報道を通して私たちが知ったことは、日本の年金制度が「国民の皆年金制度」を謳っていながら、実際は政治家の年金未納や未加入問題、さらには、年金財源があらぬ使途に費やされていた問題に象徴されるように、構造的に非常に危機的状況にあるという事実と、その解決策としてスウェーデンの年金制度(後日紹介します)が注目されていたことです。
 
年金改革の議論には、 「制度全体をどう設計するか」という議論と「現役世代が支払う保険料と年金受給世代が受け取る給付のバランスをどうするか」という二つの重要な議論があり、2004年4月の国会には政府案と民主党案が提案されました。
 
一つ目の議論である「制度設計の変更」は、政府案ではほとんど示されませんでした。民主党案は2003年に公表した「マニフェスト」に掲載されている「年金将来像――民主党案のイメージ図」と同じものです。これは、外見上、スウェーデンの「旧年金制度」(1960年の「国民付加年金制度」で、99年の新制度の施行により廃止された)によく似た2階建て構造になっています。
 
枝野幸男さん(民主党元政調会長)は、「民主党案が国会で成立した場合に、現行の年金制度が新しい一元化制度に完全に変わるのには、80年くらいかかるのではないかと思います」と述べています(民主統一同盟の機関紙「日本再生」第301号、2004年5月)。ちなみに、スウェーデンの新年金制度が旧制度に完全に置き換わるのは20年です。

民主党案の内容が外見上はともかく、実質的にもスウェーデンが「20世紀の経済成長を前提にした制度で、21世紀の少子・高齢化社会にそぐわない」という理由ですでに廃止した旧年金制度と同じようなものであるなら、民主党案は政府案よりすぐれているかもしれませんが、はたして、日本の「21世紀の持続可能な年金制度」として期待してよいものでしょうか。
 
また、2004年3月25日に放映された「NHKスペシャル――年金③」(再放送)で、笹森清さん(当時連合会長)は、「連合の主張は形からいけば、初期スウェーデン型、基礎年金は税金で、上は所得比例型」だと述べています。民主党案も連合案もおよそ45年前につくられ、1999年に「新年金制度」に置き換えられたスウェーデンの「旧年金制度」と制度設計上、どこがどう違うのでしょうか。



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年金改革行きの「終電車」に乗り遅れた日本!

2007-06-27 06:33:47 | 少子高齢化/福祉/年金/医療


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しかし残念ながら日本では、こうした不安を解消するための、つまり「安心の持続性」を維持するための、有効な対応はなされていないのが現状です。

「年金改革行きの終電車が発車するのは……」という、なんとも意表をついたタイトルの資料が、2004年9月に国際通貨基金(IMF)から出されているのをご存じだろうか、と作家の幸田真音さんは、2005年1月九日付の朝日新聞のコラム「時流自論」で次のように書いています。



このIMFの資料が示していることは、6月24日のブログで示した「最も厳しい状況にある日本」高齢社会への対応策で、米国やスウェーデン、その他の先進工業国に大きく後れをとっているということなのです。



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日本の少子・高齢社会②

2007-06-26 07:14:04 | 少子高齢化/福祉/年金/医療


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先進工業国のなかでスウェーデンと日本は、一見対極にあるように見えますがそれは20世紀後半の現実社会への対応の相違によるものです。60年代に表面化した「高齢化の急激な波」がスウェーデンの「高齢者福祉」を進展させ、1999年には世界が注目する「新公的年金制度」を生み出しました。そして、80年代に表面化した地球規模の環境問題が「緑の福祉国家」への転換を決めたのです。

小泉・前政権が始めた地域限定で規制緩和する「構造改革特区構想」という新しい試みは、袋小路に追い込まれた日本の経済状況を打開する試みであり、うまく機能すれば、それを全国に広げていくというものです。そうであるなら、人口、そして経済規模で神奈川県に相当する、世界の最先端をいくスウェーデンの試みを、日本の総力を集めて検証することは、たいへん意味のあることではないでしょうか。

まず、図をとくとご覧ください。国連は65歳人口が総人口の7%を超えると、「高齢化社会」と定義しています。7%(高齢化社会)から14%(高齢社会)に要した年数は、スウェーデンが85年(1900年にはすでに7%を超えており、14%に突入したのは70年代前半)、日本はわずか24年(7%を超えたのは1970年、14%を超えたのは94年)でした。
 
日本の高齢化人口の割合は90年代前半に米国に追いつき、90年代後半にスウェーデンを追い越しました。そして2007年には20%を上回り、2050年には35%に近づくと予測されていました。
 
ところが、2004年9月の「敬老の日」にちなんで総務省がまとめた9月15日現在の推計によれば、総人口(1億2761万人)に占める全国の65歳以上の高齢者の割合はすでに19.5%(2484万人)で、総人口、高齢者の割合ともに過去最高を更新したそうです。 

2050年のスウェーデンの推定高齢化人口の割合は、30%程度とされています。しかし、スウェーデンは長い準備期間を経て高齢化社会に適応し、高齢社会の前方に明かりが見えてきた国です。日本は短い高齢化社会を経て、十分な準備のないまま長い高齢社会のトンネルに突入したばかりです。そのためか、少子・高齢社会の真っ暗なトンネルの入り口で立ちすくんでいるように見えます。
 
日本の過去数年の調査では、「将来の生活に不安を感じている人の割合」は80%に達しています。2003年6月21日付の朝日新聞や同年9月11日付の読売新聞のアンケート調査では、自分の老後の生活に不安を感じている人が、両紙とも80%弱となっており、2003年10月13日付の毎日新聞の年金調査では、国民の90%が年金の将来に不安を感じている と回答しています。


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日本の少子・高齢社会①

2007-06-25 06:28:12 | 少子高齢化/福祉/年金/医療


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2005年12月22日に厚生労働省が公表した「人口動態統計の年間推計」によりますと、日本の人口は1899年(明治32年)に今の形で統計を取り始めてから初めて、2005年に生まれた子どもの数が死亡者数を1万人下回り、政府の推計より1年早く「人口の自然減」に転ずる見通しとなることが明らかになりました(朝日新聞2005年12月22日付)。
 
5日後の12月27日の閣議で竹中平蔵・総務大臣は、同年10月1日に実施した国勢調査の速報値を報告しました。日本の総人口は1億2775万7000人で、2004年10月時点での推計値の1億2777万6000人より1万9000人減少しました。総人口が前年を下回ったのは戦争の影響を受けた1945年を除いて初めてで、政府の予測より2年早いと報じています(朝日新聞2005年12月27日付)。
 
これらの事実は「少子・高齢化」という先進国共通の社会現象に、日本では新たに「総人口の減少」が加わったこと を示しています。

日本がいま、直面している少子・高齢社会はこれまでに人類が経験したことがないスピードと規模で進んでいます。このような未知の、しかも大規模な21世紀前半の大問題に対して、「日本の経済の活力を低下させないように国民負担率を50%以内に抑える」という90年代の経済目標は、現実への対応という意味から、はたして適切な目標設定といえるのでしょうか。

「国民負担率」とは「国民所得に占める税金と年金・医療・福祉の合計の割合」で、年金など社会保障の財源をめぐる議論にかならず持ち出される指標ですが、国際的にはほとんど使われていない、専門家の間で批判の多い日本独自のものです。ご参考までに、1996年と2007年(見通し)の日本の国民負担率を示します。


 
下の図は文藝春秋(2007年4月特別号)に掲載された「財政再建 特別鼎談 成長なくして財政再建なしの理念で編成された平成19年度予算」に掲載されているものです。鼎談では尾身幸次・財務大臣、西室泰三・財政制度等審議会会長、フリーアナウンサー・酒井ゆきえさんの3人が語り合っています。

1990年の第二次行政改革最終答申が「国民負担率は50%以下をめどにする」と提言して以来、この目標は変わることなく、「日本の社会保障制度の枠組み」を決める際の重要なよりどころとなってきました。2004年6月3日、政府の経済財政諮問会議がまとめた、中期的な政策運営と2005年以降の予算編成の方向を示す「経済財政運営の基本方針」(いわゆる「骨太の方針」第4弾)にも、この目標が90年当時のまま、盛り込まれています。
 

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2つの大問題:「環境問題」と「少子・高齢化問題」

2007-06-24 21:42:23 | 少子高齢化/福祉/年金/医療


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人類の歴史はつねに「経済規模の拡大」の歴史でした。「経済発展(成長)」という概念は、自由主義者や新自由主義者、保守主義者、民族主義者、ファシスト、ナチ、レーニン主義者、スターリン主義者など、イデオロギーにかかわりなく「共通認識」として共有していた考え方で、その必要性については、イデオロギー間にまったく意見の相違がありませんでした。つまり、20世紀には、「経済発展(成長)」は疑問の余地がないほど当然視されていたのです。

これからの50年、私たちは否応なしに人類史上初めて直面する2つの大問題を経験することになるでしょう。一つは「環境問題」で、もう一つは「少子・高齢化問題」です。このことについては、1月3日のブログ「人類史上初めて直面する2つの大問題」 でも触れました。

20世紀後半に明らかになった「環境問題」と「少子・高齢化問題」は、20世紀の国づくりではまったく想定されていませんでした。しかし、21世紀の国づくりでは決して避けて通ることができない大問題です。このことは、「経済規模の拡大」を前提とする日本の21世紀前半の国づくりに大きな疑問を投げかけることになります。「資源・エネルギー・環境問題」が、「これから50年後の社会のあるべき姿はいまの社会をそのまま延長・拡大した方向にはあり得ない」ことをはっきり示しているからです。

環境問題解決への具体的な行動は、経済的に見れば地球規模での「経済の拡大から適正化」への大転換であり、社会的に見れば20世紀の「持続不可能な社会(大量生産・大量消費・大量廃棄の社会)」から21世紀の「持続可能な社会(資源・エネルギーの量をできるだけ抑えた社会)」への大転換を意味します。このことはおよそ半年間かけて検証してきました。

今日からしばらく、もう一つの大問題「少子・高齢化問題」を検証していきましょう。米国を除くすべての先進工業国が共通にかかえる「少子・高齢化問題」から派生する問題のなかでは、周知のようにとりわけ、 「年金制度の持続性」が緊急の課題です。年金はいうまでもなく、生産活動から離れた世代への支払いですから、経済的にはコストでこそあれ、経済発展に寄与する要因ではありません。

サミット参加8カ国(G8)のなかで、 「少子・高齢化問題」の影響をいちばん強く受けるのは、私たちの国、日本であることは明らかです。なぜなら、日本は先進工業国のなかで少子・高齢化の速度がいちばん速く、しかも総人口が減少し始めた国であるにもかかわらず、この大問題への対応がたいへん遅い国だからです。

そして、日本のあらゆる社会的・経済的な仕組みが経済規模の拡大を前提につくられており、21世紀になっても、国の政策は「経済拡大(経済成長)」ばかりを考え、表面的にはさまざまな分野で変化しているように見えても、基本的な法体系や社会制度にほとんど抜本的な変化が見られないからです。

いま、日本に求められているのは、「行き詰まった年金制度」を21世紀の社会の変化に耐えられる「持続可能な年金制度」につくりかえること、そして世界に先駆けて21世紀最大の問題である「資源・エネルギー・環境問題」の解決に道筋をつけ、21世紀前半にめざすべき日本独自の「持続可能な社会」をつくる勇気と強い意志、そしてすばやい行動力です。
 


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