べそかきアルルカンの詩的日常“手のひらの物語”

過ぎゆく日々の中で、ふと心に浮かんだよしなしごとを、
詩や小さな物語にかえて残したいと思います。

記憶の小片

2006年12月31日 20時05分53秒 | 慕情

あのころの日々を
ガラスの小壜にいれて
やわらかな沈黙の海にそっと浮かべてみると
冬の透明な陽だまりに
ふらふらと漂う季節はずれの蝶々のように
おぼろげにふうわりと
あなたの言葉の切れ端や
あなたの好きな花の名や
あの日あなたが着ていたワンピースの色や
あなたのあまい髪の香りや
しなやか眉の形や
ちょっとしたなにげない仕草や
あれやこれやが
なんの脈略もとりとめもなく
美しい音楽で綴られたモザイクのように
つぎからつぎへと
浮かんでは消えていったのです
だからぼくは
いまもかわらぬあなたへの愛を
深く静かなため息にのせて
たおやかな風にとき放ってみたのです


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