かつて
浴室で手首を切り
血文字でさよならと書いて
この世に別れを告げた画家がいました
ブルガリアで生まれた彼は
ヨーロッパ各地を放浪し
いつしか
モンパルナスに暮らしはじめました
絵を描きながらも酒に溺れ
家庭があるにもかかわらず
友人の妻を寝取るなどして
退廃の日々を生きてきました
放蕩の限りをつくした挙句の果て
やがて画家は精神を病み
最期は浴室を自らの血で染めたのです
血文字で書かれたさよならのあとには
友人の妻の名が記されていました
葬儀の日
パリ中のギャラリーが店を閉め
亡くなった画家のため喪に服しました
そして彼の棺のうしろには
幾千人もの人々が葬列をなしたのです
彼が成しえたこととは
いったい何だったのでしょう
残された絵はなにも語りません
ただ観るものを魅了するだけ
★photo:Alison Jerry★ ↓↓↓ ポチッっとね
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