べそかきアルルカンの詩的日常“手のひらの物語”

過ぎゆく日々の中で、ふと心に浮かんだよしなしごとを、
詩や小さな物語にかえて残したいと思います。

星の瞬く冬空の下で

2009年12月15日 21時13分59秒 | 慕情

つくづく不思議なものですね
ついこのあいだまで
深い記憶の底で眠っていたきみが
今夜はこうして
肩を並べて歩いている
言葉少なに
日常とは少し離れたふたりだけの場所を
かたわらで
ぼくを見上げて微笑むきみは
遠く過ぎ去った季節に舞う花びらのよう

どちらからともなく戸惑いがちに
そっと指をからめて身を寄せあったのは
あながち
寒さのせいばかりではないはずです
星あかりに照らされた
凍てつく夜の片隅で
ぼくらはうすく口唇をかさねたけれど
失った時の長さにくらべれば
それはほんの些細なことなのですね

夏に生まれたぼくの手が
冬に生まれたきみの手よりも冷たいなんて
そんなことすらぼくらは
今宵はじめて知ったのですから



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