べそかきアルルカンの詩的日常“手のひらの物語”

過ぎゆく日々の中で、ふと心に浮かんだよしなしごとを、
詩や小さな物語にかえて残したいと思います。

こんなにもおだやかな美しい日に

2007年01月26日 23時25分30秒 | 慕情

もしもぼくがいなくなったら
いったいどれだけのひとが悲しんでくれるでしょう
寂しいことにだあれの顔も浮かんできやしません

もしもぼくが二度と戻らないとわかったら
いったい誰が憐れんでくれるでしょう
ほんとうに寂しいことですが
だあれの名前も浮かんでこないのです

きょうは雲ひとつない青空が広がっています
お陽さまの光がやわらかく降りそそぎ
やさしく髪をなでて吹き過ぎる風もここちよく
大気はちょうどいい頃合にひんやりと澄んでいます

まったくのところきょうという日は
さよならするにはもってこいの日です
こんなにも穏やかな美しい日に
もしもぼくが冷たい骸(むくろ)になったとしたら
あなたは涙を流してくれるでしょうか

たったひと粒でいいんです
きれいな涙をひとしずく
ぼくに見せてくださいますか
その麗しい睫毛をほんの少し
濡らしてくれるだけでいいんです

もしもぼくがいなくなってしまったら
あなたはその愛らしい瞳に
涙を浮かべてくれるでしょうか




☆絵:ラウル・デュフィ☆
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