酔眼独語 

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「吉田調書」公開の謎

2014-08-27 09:28:04 | 国際事件
 朝日が他紙に先駆けて入手・公開、産経が2ヶ月遅れで入手し「朝日の報道はおかしい」と噛み付いている「吉田調書」にあらためて注目が集まっている。この問題への関心の高まりを背景に? 政府も従来の非公開方針から一転、公開することを決めた。公開自体は大賛成だが、一連の経緯には胡散臭さもつきまとう。

《菅義偉(すがよしひで)官房長官は二十五日午前の記者会見で、東京電力福島第一原発事故をめぐって政府の事故調査・検証委員会が、事故発生時に所長だった故吉田昌郎(まさお)氏=二〇一三年七月死去=に聞いた聴取記録(吉田調書)を九月に公表すると発表した。政府は、吉田氏が非公開を求める上申書を提出したことを理由に開示してこなかったが、方針を改めた。
 吉田調書は一一年七~十一月に十三回、計二十八時間にわたって行われた聴取の記録。所長として指揮した事故後の対応や、事故前の本店部長時代に責任者として関わった津波対策をめぐる証言が記されているという。
 吉田氏は生前、聴取の際の証言内容について、記憶が薄れたり、混同したりしている部分がある可能性があるにもかかわらず、調書が公開されれば全てが事実として受け止められかねないとして、第三者への公表を望まないとしていた。
 だが、一部報道機関が調書の内容を断片的に報道しており菅氏は会見で「『独り歩き』との吉田氏本人の懸念がすでに顕在化しており、非公開とすることはかえって、本人の意思に反する」と説明。「ヒアリング記録を公表しても差し支えない状況になりつつある」と述べた。公表時期は「九月のできるだけ早い時期」とした》=中日Web=。


 「(調書の証言が)独り歩きの懸念が顕在化……公表しても差し支えない状況になりつつある」-菅は会見でそう述べた。一見まともなようだが、ちょっと変でもある。調書の公開はさらに証言を独り歩きさせることにならないか、という疑問だ。吉田氏が発した一言一句をめぐって、あれやこれやの解釈が繰り広げられる可能性が高い。

 憲法でもなんでも、最後は「解釈」がものを言うわけで、公開後は大論争が起きるだろう。調書きちんと読むには全文・そのままの公開が不可欠だ。「人権上」の配慮などから前後を伏せたりすると、発言の真意が取れなくなる恐れがある。政府の都合のいいような内容だけ公開することにならないよう求めたい。

 もう一点はさらにうがった見方だ。「この際、朝日を徹底的にたたこう」-一部保守勢力のあいだにはそんな意図があるのではないか。「慰安婦問題」で朝日はガタガタしている。吉田調書でさらに追い討ちをかけられれば、朝日を膝まづかせることができる。メディアを安倍応援団一色に塗りつぶそうというのが裏の狙いである。

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