酔眼独語 

時事問題を中心に、政治、経済、文化、スポーツ、環境問題など今日的なテーマについて語る。
 

中国製アメリカ選手団ユニフォーム

2012-07-19 06:15:13 | Weblog
 ロンドン五輪開幕まであと1週間とちょっと、メディアは盛り上げに懸命だが〝場外〟の舌戦もにぎやかになってきた。金メダルの数を競うことになりそうなアメリカと中国が、ユニフォームをめぐってさや当てを繰り広げているのだ。まず、ジャブを突いたのは米議会。

 ≪ロンドン五輪で着用する米国代表チームのユニホームが中国製であることが分かり、米議会の怒りを買っている。

 米国繊維産業の苦境を背景に、大物議員らは「オリンピック委員会は恥を知るべきだ」などと痛烈に批判。これを受けて、デザインを手がけた米有名デザイナーのラルフ・ローレンさんは13日、「2014年のソチ五輪は米国製になる」と発表した。

 騒ぎの発端は、米テレビの報道。AP通信などによると、民主党のハリー・リード上院院内総務は「すべてのユニホームを積み上げて燃やし、最初からやり直すべきだ」と記者会見で怒りをあらわにした。

 民主党のナンシー・ペロシ下院院内総務ら他の議員からも「米国製のユニホームを着るべきだ」「我が国製造業が厳しい雇用情勢にある中で中国に外注するなんて。自滅的だ」などと激しい非難の声が上がっている。

 ユニホームはベレー帽、ブレザー、ズボンやスカートなど一式で、開会式などで着用する。ラルフ・ローレンさんは、2020年まで米五輪委と契約しているという≫=15日 読売ONLINE=。

 これに対して中国国営通信新華社がただちに反撃した。

 ≪中国製ユニホーム、米中問題に発展!? ロンドン五輪米国代表ユニホームの中国製問題について16日、中国国営新華社通信が反論の論評を掲載した。

 ラルフ・ローレンがデザインした米国代表のユニホーム。これが中国製であることが判明し、米国の政治家や国内世論から批判が相次いでいる。これに対して新華社通信は「オリンピック精神は政治とスポーツを分離するもの。しかし、米国の政治家はユニホームに政治のタグを強制的に付けようとしている」と批判。「これは偏狭的な国家主義であり、五輪精神を冒涜し、無知をさらけ出すものだ」としている。また、「今回の問題は“メイド・イン・チャイナ”という米国選挙の中で最も敏感な単語によって引き起こされたもの」だとし、「米国は、中国が提供する安価なユニホームによって、どれだけ多くの人が恩恵を受けるかを覚えておくべきだ。“メイド・イン・チャイナ”に対する米政治家の不当な批判は、非常に政治的で、偽善的なものである」と反論している≫=SANNKEIBIZ。

 中国製が幅を利かせているのは世界中とこでも同じだが、星条旗を背負った米国選手団のユニフォームまでも―となれば、アメリカとしては穏やかではいられない、ということなのだろう。

 しかし、考えてみれば身の回りの繊維製品はほとんどが中国製だ。スポーツ用品は特にその傾向が強い。ナイキ、アディダス、ミズノ、アシックス、プーマ…。ブランドはとりどりだが、付いているタグをみれば「made in China」、もしくは東南アジア産。「国産」など数えるほどだ。ラルフ・ローレンがデザインしただけでましというべきだろう。

 先日のNHKBSドキュメントウェーブの「イタリアブランドを作り出せ」では、いまやイタリアファッションはデザインから仕立てまで中国人が大進出、その数5万人―と伝えていた。

 中国製に怒り心頭に発しているようでは、新華社に「無知」とけなされても仕方がない。米国ブランドを維持したいなら、まず自国の産業界の指導からだ。
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