酔眼独語 

時事問題を中心に、政治、経済、文化、スポーツ、環境問題など今日的なテーマについて語る。
 

中西先生のお言葉

2019-04-15 10:27:56 | 話題
 新元号「令和」が公表されて以降、皇室報道がにわかに活気づき、連日「種もみをまいた」だの「旧正田邸跡地の公園を訪れただのとにぎやかである。のんきに浮かれている場合かよ、って言いたくもなるが、まあ初体験のことなので無理もないのか。

 ところで「令和」である。すっかり「いい元号」としての地位を得たようだが、ちょっとなあーの気分もある。たとえば、考案者とされる中西進先生の発言などには首をかしげたくなることが多い。中西氏はこんなふうに言っている。

 ≪新元号「令和」の考案者との見方が出ている中西進氏(89)が14日、館長を務める富山市の「高志の国文学館」で新元号に関する企画展の解説会を開き、「(令和の考案者は)私ではないのですよ」と述べた。「(元号を)つくるのは神や天」とも語った。

 中西氏は企画展の展示資料を説明した後、自ら元号に言及。「誰かが考えたとしても、粘土細工の粘土を出しただけ」と話し、考案者について明言を避けた≫=2019.4.14=産経com。

 粘土細工の粘土を出しただけ、という後段はその通りだ。「令和」は古典(万葉集)にあった漢字をくっつけただけともいえる。だが、「元号をつくるのは神や天」というのはどうだろう。どこのどういう神様がおつくりになったのか? 天とは何か? かつて森喜郎が「日本は神の国」とのたもうて失笑を買ったが、中西先生の言い方だとまさしくこの国は「神の国」と言うことになる。

 また、中西氏は「令和」が和を命じる―とも解されるとする批判について次のように述べる。

≪新元号「令和」の考案者との見方が浮上している中西進大阪女子大元学長(89)=日本古典=は12日、万葉集の講座を東京都内で開いた。令和の「令」は発音が美しいと評価し、「命令」の「令」との指摘は当たらないと説明した。自身が考案者かどうかについては「中西進という人が考案者と言われているが、ここにいるのは違う人間だ」と明言を避けた。

 令和の典拠である万葉集に先行する漢籍「文選」に類似の文章があるとの指摘には「並ぶべくもない。冷静に見ると、万葉集が出典というのはいいと思う」と解説した≫=2019.4.12 産経com=。

 「レイ」音が美しいかどうかは個人の好み、当方は「リョウ」と発音した方が言いやすく響きもいいと感じるが…。「命令の令との指摘は当たらない」という説明はおかしい。漢和辞典を引いてみると「いいつける」「おつげ」「いましめ」などの義が上位で「よい」ただしい」「めでたい」などは下位である。ここは「指摘は当たらない」などと言うのではなく、別の説明が必要だろう。もともと「令」の字はひざまづいて神意を聴く人の形を現した象形文字だ。神のお告げには「よい」ものもあるし「不吉なもの」もある。中西さんは89歳とその道の大先達ななおだから、もう少し謙虚に世間の声に耳を傾けてほしかった。



 
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変な記事!

2019-04-12 08:54:59 | メディア
 4月10日付け読売新聞の1面にこんな記事が載った。左肩3段、見出しはこうだ「40代の地方転職支援 政府系人材会社 半年間の「試用」 大学で学び」 

 ≪政府による地方創生の一環として、大都市で働く40代前後の中堅社員の地方転職を後押しする新制度が今秋から始まる。転職希望の社員は半年間、地方大学の客員研究員として学びながら、地方企業の仕事に従事してもらうのが特徴だ。半年の「慣らし期間」を設けることで、地方転職への不安を和らげる狙いがある≫。

 結構長い記事であれこれ書いているが、制度としては極めてマイナーな印象だ。今年度は信州大など2県の大学と大学から比較的近いところにある複数の企業が参加する予定だという。募集は今秋からだそうだが、実際には何人が参加するんだろう。

 この件について、ほかの新聞やメディアではほとんど報じていない。読売の独壇場である。というか、事業主体である日本人材機構(政府主導会社)の意を受けたアドバルーン記事、もしくは宣伝記事であろう。実現可能性や実効性が疑わしいものでも、政権が打ち出す方針はとりあえずヨイショする―これが今の読売の編集方針のようだ。日本を代表する新聞がこれでは困ったのもだが、貸しビル業、興行師などとならんで新聞発行も事業の柱の一つ。体制に寄り添って損はないとの計算なのだろう。

 中面や社会面にはいい記事もある読売なだけに、1面を何とかしてほしいとの思いが募る今日この頃である。

 
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「令和」ねえ…

2019-04-01 16:15:24 | 話題
 天皇退位に伴う改元について、政府は「令和」に決まったと発表した。当方が推した「永安」は残念ながら不採用(w)だった。

 ≪ 菅義偉官房長官は1日午前11時40分ごろ、首相官邸で記者会見し、新しい元号は「令和(れいわ)」と発表した。典拠は奈良時代に完成した日本に現存する最古の歌集「万葉集」。日本で記された国書に由来する元号は確認できる限り初めてとなる。元号を改める政令は即日公布され、皇太子さまが新天皇に即位する5月1日に施行される。

天皇退位に伴う改元は憲政史上初めて。1989年1月に始まった「平成」は、残り1カ月で幕を閉じる。

 万葉集にある歌の序文「初春(しょしゅん)の令月(れいげつ)にして、気淑(きよ)く風和(やわら)ぎ、梅は鏡前(きょうぜん)の粉を披(ひら)き、蘭は珮後(はいご)の香(こう)を薫(かお)らす」(書き下し文)から二文字をとった。

 新元号は645年の「大化」から数えて、248番目。「大化」から「平成」までは、確認されている限り中国の儒教の経典「四書五経」など漢籍を典拠としており、安倍政権の支持基盤である保守派の間には国書由来の元号を期待する声があった。安倍晋三首相は記者会見して典拠を万葉集とした理由について「我が国の豊かな国民文化と長い伝統を象徴する国書だ」と説明した

≫=朝日com=。

 テレビなどのメディアでは触れていないが、発表が当初の11時30分より10分も遅れたのは不思議だ。官房長官会見は4月1日午前11時半、政府は3月中にそう公表していた。なぜ遅れたのか。NHKの特番で解説をしていた岩田明子は11時半が近づくにつれ「間もなくですね」などと言っていたが、3分遅れ、5分遅れても何の言及もなし。安倍御用達の岩田も手続きの詳細は知らされていなかったらしい。新元号を天皇や皇太子に伝えるための車が官邸を出たのは、発表時間とされた11時半、どうしてこんなことになったのか。今日の手続きは政府が新元号を公表したというだけで、法的意味はない。政令公布となれば御名御璽が必要だが、それも不要。そんなこんなで政府に気の緩みがあったのか? 何とも締まらない話だ。

 さて、肝心の「令和」。万葉集から採ったのがミソらしいが、あらかじめ選定者の数人には「漢籍ではなく国書から」と要請していた可能性が高い。漢学者や漢字学者はアリバイ的に呼ばれていたのではないか。それにしてもreiwaとは発音しにくい言葉を選んだものだ。舌や口に力を込めないときちんと発音できない。ま、慣れればそれなりになるんだろうが…。

 令は命と同様、神意にかかわる文字である。神の国、美しい日本にふさわしい、のかな?

 
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「有識者懇談会」って何するの?

2019-03-06 16:47:54 | 話題
 天皇の代替わりに伴い元号も改められるが、その新元号案について意見を述べる「有識者懇談会」のメンバーが固まったらしい。ips細胞の山中教授、作家の林真理子、NHKのキャスターを務めたこともある宮崎緑千葉商大教授ら9人が選ばれ、既に本人には打診済みという。前回は8人で女性は一人だけ。今回は女性を二人にした関係で一人増員となる模様だ。それにしても、なぜこのメンバーなのかはさっぱりわからない。


 ≪政府は新元号の原案に対する意見を聞く有識者懇談会のメンバーとして、ノーベル医学生理学賞受賞者の山中伸弥京都大教授(56)を起用する方向で検討に入った。前回一人だった女性からは直木賞作家の林真理子さん(64)、宮崎緑千葉商科大教授(61)の二人を選ぶ見通しだ。各界から幅広く人選し、法曹界から寺田逸郎前最高裁長官(71)、経済界から榊原定征前経団連会長(75)が入るとみられる。関係者が四日、明らかにした。

 政府は既に候補者本人へ起用を打診し、新元号選定の流れや懇談会の役割について説明しているもようだ。本人の意向などを慎重に確認した上で、今月中に元号選定手続きに関する検討会議を開き、正式決定する。

 教育界からは鎌田薫前早稲田大総長(71)、マスコミ界から日本新聞協会会長の白石興二郎読売新聞グループ本社会長(72)、上田良一NHK会長(69)、民放連会長の大久保好男日本テレビ社長(68)の三人が参加する見込みだ。

 有識者懇談会は、政府の元号選定手続きに規定された選考過程の一つで、「平成」に改元した一九八九年一月にも開かれた。当時のメンバー八人の内訳は、マスコミ界三人、教育界二人、学識経験者(文化勲章受章者)二人、女性評論家一人で構成されていた≫=中日web=。

 そもそも「有識者懇」って何をする組織なのか。3月4日付けの「NHK政治マガジン」に前回有識者懇メンバーだった西原春夫元早大総長の「改元30年へて新証言」なる記事が載っている。あれこれ語っているが、秘密厳守ということでメモなどは残していないという。メンバーが誰かも天皇が亡くなって懇談会が招集され、顔を合わせるまで知らなかったそうだ。それに引き替え、今回はかなりオープンな印象だ。「メンバー固まる」を各メディアが伝えていることから推して、「関係者」によるリークとみて間違いあるまい。人気取りが得意の安倍政権のこと、「意外とくだけたメンバーで面白そうじゃん」-みたいな反応を期待しているのではないか。

 先の西原は懇談会の役割について≪(記者)懇談会は、元号を選ぶ、という会議だったのか。(西原)そうです。決定して下さいという会議。事務局からそういうことで、この中で、1つを決めてほしいと、こういう感じだった。ですから、懇談会でまさに決める。その後どういう手続きなのかは、おそらく説明があったかもしれませんけども。とにかくこの懇談会で1つにして、1つを決定してほしいという要請がありました≫=NHK政治マガジン=。

 西原は決定機関と受け取っているようだが、多分違う。わずか2項の元号法には「1 元号は、政令で定める。 2 元号は、皇位の継承があつた場合に限り改める。」とあるだけ。実際の元号選びの手順は次のようになる。以下2月8日持ち回り閣議による。

 「元号法(昭和54年法律第43号)に定める元号の選定については、次の要領によるものとする。
 
1 候補名の考案
 (1) 内閣総理大臣は、高い識見を有する者を選び、これらの者に次の元号
 とするのにふさわしい候補名(以下「候補名」という。)の考案を委嘱する。
 
 (2) 候補名の考案を委嘱される者(以下「考案者」という。)の数は、若干 名とする。

 (3) 内閣総理大臣は、各考案者に対し、おおよそ2ないし5の候補名の提出を求めるものとする。

 (4) 考案者は、候補名の提出に当たり、各候補名の意味、典拠等の説明を付するものとする。

 2 候補名の整理
 (1) 内閣官房長官は、考案者から提出された候補名について、検討し、及び整理し、その結果を内閣総理大臣に報告する。

 (2)略

 ここまでは歴史学者や国漢学者らの仕事で、誰がメンバーかは明らかにされていない。西原の証言によると懇談会に提出された三案のうち「平成」が最初に記されていて、メンバーらは「これが第一候補なんだな」と受け止めたという。有識者とはいえ、古典籍などについては素人同然、響きや字面についての発言が多かったという。もっともなことだ。

 考案者グループ?からの案の提出を受けて有識者懇の出番となる。

 3 原案の選定等
 (1) 内閣総理大臣の指示により、内閣官房長官は、内閣法制局長官の意見を聴いて、新元号の原案として数個の案を選定する。

 (2) 内閣官房長官は、各界の有識者の参集を得て、元号に関する懇談会(以下、「懇談会」という。)を開催し、新元号の原案につき意見を求め、その結果を内閣総理大臣に報告するものとする。懇談会のメンバーは若干名とし、内閣官房長官が選考する。

 (3) 内閣総理大臣は、新元号の原案について衆議院及び参議院の議長及び副議長である者に連絡し、意見を伺う。

 (4) 全閣僚会議において、新元号の原案について協議する。

 4 新元号の決定
 閣議において、改元の政令を決定する

 要するに有識者懇は順位を付けて(黙示的と思われる)出された案について意見を述べるだけ。なんとなくその場の雰囲気でまとまるということのようだ。それにしても、である。今回のメンバーはあまりにも???だ。山中先生はどういう知見に基づいて意見を述べるのか。権威が大好きな林真理子は「もっと華やかでセンスがいいのはないの?」などとおっしゃるのだろうか。榊原は…。せっかく立派な方々を選んだのだから、後日、議論の様子を公開してはいかがか。

 当ブログは昨年9月、次の元号について「安永」を推したが、これは過去使われたことがあるので、安と永をひっくり返して「永安」。ええ案だなあ(w)

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「最も美しい手紙」を読みたいなあ!!

2019-02-18 17:04:22 | 政治
 いや、なかなかに麗しい友情の交換ではないか。アメリカのトランプ大統領が「安倍首相からノーベル賞に推薦された」と明らかにしたのだ。

 

 ≪安倍晋三首相が朝鮮半島の非核化や地域の平和に貢献したとしてトランプ米大統領をノーベル平和賞の受賞候補に推薦していたことが16日、明らかになった。複数の日本政府関係者が認めた。「過去の首脳会談の場で、トランプ氏に5枚ほどのノーベル平和賞の推薦状のコピーを(首相が)示した」と語った。

トランプ氏は15日の記者会見で、首相から、ノーベル平和賞に推薦した「最も美しい手紙」のコピーを受け取ったと明らかにした。米紙ワシントン・ポストは、トランプ氏の発言について「安倍氏と韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領を取り違えたのではないか」とする複数の評論家の見方を報じていた。

首相には、米朝首脳の再会談を前に膠着する朝鮮半島の非核化や拉致問題の打開に加え、日米の通商交渉に弾みをつけたい狙いがありそうだ≫=日経com=。


 朝日などの報道によれば推薦は米側の働きかけに安倍が応えたのだという。トランプの行動のどこをどう検証すればノーベル平和賞とつながるのか? 安倍の理屈は分からない。

 せっかくトランプが暴露してくれたいい話なのに、わがシンゾウ先生の歯切れは悪い。18日の衆院予算委で事実関係を問われた首相は「ノーベル賞委員会は50年間推薦者と被推薦者を公表しない」と述べて、否定も肯定もしなかった。お相手のトランプが「シンゾウありがとう」と言っているのに、ちょっとつれないんではないですか(w)。

 一方、このところ日本とのいがみ合いが目立つ韓国大統領府は「トランプ大統領はノーベル平和賞の資格十分」とほめあげる。


 ≪韓国青瓦台(大統領府)の金宜謙(キム・ウィギョム)報道官は18日の定例会見で、トランプ米大統領のノベール平和賞候補推薦に関する質問に対し、「文在寅(ムン・ジェイン)大統領はトランプ大統領がノベール平和賞を受ける資格が十分だと考えている」と述べた。

 その上で、「文大統領はトランプ大統領が朝米(米朝)首脳会談などを通じ、朝鮮半島に平和をもたらすことに大きく貢献したこと、朝鮮半島の新しい雰囲気定着にトランプ大統領のリーダーシップと決断力が決定的に作用したことなどを強調してきた」と説明。ただ、安倍晋三首相がトランプ大統領をノベール平和賞候補に推薦したとの報道があり、文大統領もトランプ大統領を推薦したかの質問には「文大統領は直接、トランプ大統領を推薦していない≫=ソウル聯合ニュース=。

 韓国は「推薦していない」とはっきり述べている。わが政府もこれくらい素直になりたい。こういう事実さえ、何のかんのと言い訳をして伏せてしまう態度では政権の「隠蔽体質」が浮き彫りになるばかりだ。

 それにしても、地球温暖化問題のそっぽを向き、中国とは貿易戦争を引き起こし、途上国に対しては移民排斥を叫び散らす。こんな人物をノーベル平和賞にふさわしいと考えている安倍の頭の中をのぞいてみたい。それよりも何よりも、「最も美しい手紙」が読みたい。まさか花柄の便せんに丸文字でトランプちゃんを推薦します―なんて書いてある訳ではあるまい。一読、豆腐もかじれないほど歯が浮く名文でしょう。そういえば安倍さんには「美しい日本」なんて著書もありました。ああ、早く手紙を読みたい!!
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さらば稀勢の里!!

2019-01-16 10:05:58 | スポーツ
 横綱稀勢の里がとうとう引退する。≪大相撲の東横綱稀勢の里(32)=本名・萩原寛(ゆたか)、茨城県出身、田子ノ浦部屋=が現役引退を決断した。進退をかけた初場所で初日から3連敗し、一夜明けた16日、師匠の田子ノ浦親方(元幕内隆の鶴)が明らかにした。2年前、19年ぶりに誕生した日本出身横綱として期待されたが、けがから復活できないまま土俵を去る≫=朝日DEGITAL=。

 横綱審議委員会から異例の「激励」決議を突き付けられた初場所で初日から無残な3連敗、もはやこれまででと観念したのだろう。その心中は察するに余りある。当ブログは昨年秋場所中に「頑張ったがここまでだ」と題して引退を勧めている。遅きに失した決断は横綱の権威を傷つけ、稀勢の里の男を下げた格好だ。横綱本人の責任というより親方や周囲の見識のなさ、場当たり的対応がこの悲惨な結末を迎えさせたと思うと残念でならない。

 思えば連続優勝後の5月場所に、怪我を完治させないまま出場したことが悪循環の始まりであった。強行出場を繰り返しては途中で休場する。ようやく全休したのは2017年の秋場所、しかしここでもひと場所だけの休場にとどめ、次の九州、初場所と出ては引っ込む醜態を演じた。昨年の大坂から名古屋まで三場所連続で全休したが時すでに遅しであった。このやり方、戦力の逐次投入という旧日本軍の「戦法」と似ている。じっと体力の回復を待ち、気力、体力が充実したところで一気に勝負をかけるという決断ができなかった。それを許さない事情があったのだろう。稀勢の里自身、自分の力をどこまで把握できていたのか。

 今場所前の稽古では気鋭の貴景勝を圧倒するなど好調ぶりが伝えられていた。しかし、稽古場と本場所は全く違う。再起が懸る横綱の調整に相手力士が本気で挑んでくるなどあり得ない。それなのに稀勢の里は「体は動いているし、いい感じで仕上がっている」などと語っていた。自分の力を測れないようではなにおかいわんやである。元横綱隆の里の鳴門親方が生きていればーと悔やまれる。現在の師匠・田子の浦は弟子の体調、力量、気力などをどこまでつかめていたのか疑問である。

 
 貴乃花来14年間途絶えていた日本出身横綱として相撲ファンの期待を一身に担った稀勢の里。その人気ゆえに引きどころを誤ってしまった。昨年の九州場所、この初場所と1勝もできないまま土俵を去る。これでは「よく頑張った!!」という声も掛けられない。白鵬と正面から渡り合って勝つだけの力があった稀勢の里。ここまでしぼませてしまったのは相撲協会だ。

 白鵬に衰えが見え、鶴竜も引退間近の雰囲気である。次の横綱候補となると高安、御嶽海、貴景勝あたりが浮かぶが稀勢の里の関脇・大関時代に比べれば力的にかなり劣る。横綱不在、さらには大関不在の心配さえしたくなる。外国人と学生出身力士に頼ってきた報いである。たたき上げの星でもあった稀勢の里。無残な末路の悔しさは後進の育成で晴らしてほしい。

 



 
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「霊長類最強の候補」に転身?

2019-01-10 16:17:27 | 話題
 レスリングの吉田沙保里が現役を引退する。8日にネットで表明し本日10日、記者会見で正式に発表した。

 ≪レスリング女子で五輪と世界選手権を合わせた世界大会16連覇の記録を持つ吉田沙保里(36)=至学館大職=が10日、東京都内のホテルで記者会見を開き、現役引退を発表した。吉田は「このたび、33年間のレスリング選手生活に区切りをつけることを決断しました。自分自身と向き合ったとき、レスリングは全てやり尽くしたという思いが強く、引退することにした」と、すっきりした表情を見せた。今後は日本女子代表コーチとして、2020年東京五輪に向けて後進をサポートするという。吉田は8日に自身のSNSで引退を表明。会見場には大勢の報道陣が詰めかけ、反響の大きさをうかがわせた。

 吉田は黒のワンピースの上に白いジャケットを着て現われ、報道陣を前に深々と一礼。マイクを手に「自国で開催される東京五輪に出場したい思いとリオ五輪で銀に終わってしまい、日々迷いながらここまできた。若い選手に女子レスリングを引っ張ってもらいたいという思いにもなった」と語った。

 津市出身の吉田は3歳のとき、父でレスリング元日本代表の栄勝さん(故人)が自宅で開く道場で競技を始めた。中学時代から頭角を現わし、女子種目が採用された04年アテネ五輪で55キロ級の金メダルを獲得。08年北京大会、12年ロンドン大会と3連覇し、同年11月にはレスリング界初の国民栄誉賞を受賞した。

 世界選手権は02年から15年にかけて13連覇。五輪を合わせた16大会連続世界一に輝き、「霊長類最強女子」の異名も取った≫=sankei com=。

 まずはご苦労さまでした。今後の身の振り方については「東京五輪に向けて若い選手をサポートする」としただけにとどまった。バラエティー番組にも頻繁に顔を出し、芸能界入りもうわさされたが、とりあえずそれはなさそうだ。だが、あくまでとりあえずだ。そう遠くない時期に仰天の転身が明かされるのではないかとひそかに期待している。

 夏の参院選に自民党公認で立候補するというのがそれだ。この参院選、自民党はどうやっても議席を減らす運命にある。6年前、安倍晋三が首相に復帰して初めての参院選では空前の議席を得ている。民主党のダメさの裏返しであった。その民主党は四分五裂、ひどい状況だがそれでも自民党が現有議席を維持するのは至難の業だ。統一地方選と重なる「亥年選挙」も自民党の足かせとなる。少しでも負けを小さくしようと画策されているのが衆院解散と抱き合わせのダブル選挙。公明党がしきりに諌めているが、火種は消えない。

 安倍は先日、郷里山口県で「平成最後の年であると同時に新しい時代の幕開け。憲法改正を含め、新たな国造りに挑戦していく」と今年の決意を語っている。今年中の改憲発議は無理、というのが世間の相場だが、安倍はあきらめていないらしい。とすれば、参院選では「衆参三分の二」の維持が至上命題であり、勝てる候補はどんなことをしても立てたいと考えるのではないか。で、吉田沙保里という訳だ。元貴乃花親方なども考えられる。

 新春の大ぼら占い、当たる確率は宝くじよりはかなり高いと思うが…(w)。

 
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稀勢の里 頑張ったがここまでだ!!

2018-09-20 16:19:06 | スポーツ
 8場所連続休場の後、「だめなら引退」の覚悟で秋場所に臨んだ横綱稀勢の里。残念ながらここまでのようだ。

 初日から綱渡りの相撲ながら6連勝、十日目には勝ち越しも決めて周囲は楽観ムードに包まれたが、この娑婆はそれほど甘くない。昨日3敗目を喫した時点では再び暗雲が漂った。

 ここまで8勝3敗、星もさることながら内容がひどすぎる。負けた相手6日目の千代大龍、中日の玉鷲はそこまで1勝しか挙げていない絶不調力士。そういう相手に勝てないようでは横綱が泣く。それに追い打ちをかけたのが11日目の逸ノ城戦。幕内最重量とはいえこの力士も不調、上位との星のつぶし合いに向けた調整台とも見られた相手になすすべなく押し出されてしまった。これほど無残な負け方はそうはない。

 あと4日、全部勝てば12勝3敗で綱の面目は保てるが、そうは甘くあるまい。平幕や不調力士にいいようにあしらわれては、星を残せたとしても横綱失格だ。

 史上最もスローな昇進で4番目の高齢出世だった稀勢の里。過去の「高齢横綱」いずれも短命、過去最高齢昇進は32歳の琴桜は8場所、31歳の三重ノ海も同じく8場所で引退、おしん横綱と言われたスロー出世の隆ノ里は15場所で引退だった。稀勢の里の横綱在位はここまでで10場所、横綱通算の成績は34勝25敗87休である。これ以上横綱の体面を汚す必要はあるまい。

 あの大横綱貴乃花の晩年を思い出す。ひざの大けがを押して優勝決定戦を制し小泉純一郎をして「感動した」とまで言わせたのだったが、その無理がたたった。稀勢の里も同様だ。昨年の3月場所、大胸筋断裂の大けがを負いながら本割、優勝決定戦と2連勝し奇跡の優勝を遂げた。だがその代償は大きかった。

 勝ち越したことで「引退は回避」の声もあるが、賛成できない。14年間途絶えていた日本人横綱として国民的声援を受けている稀勢の里だが、これ以上綱にとどまらせることはひいきの引き倒しである。

 横綱の見苦しい相撲はこれ以上見たくない。

 

 
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大坂なおみに国民栄誉賞!?

2018-09-11 18:19:10 | スポーツ
 テニス全米オープン女子シングスルで大坂なおみが優勝、日本勢として初めて4大大会の頂点に立った。おめでとう。

 この大会の大坂はサービス、ストローク、フットワークともほぼ完ぺきで、優勝すべくして優勝したと言っていい。今年3月、BNPパリバでツアー初優勝を飾ってからわずか半年、一気にここまで駆け上がったのは見事としか言いようがない。

 20歳の若さ、体力、プレースタイルを考えると年間グランドスラムさえ射程に入ってきたように思える。人間的にも成長しているようで、あの決勝の雰囲気の中で自分を見失わなかったのはすばらしい。

 で、国民栄誉賞を上げちゃいましょう。

 この国民栄誉賞、きちんとした決まりや資格がある訳ではなくほとんど時の政権の気の向くまま。支持率が低迷気味の時、人気取りとして国民栄誉賞を出す―などというありがたくない言い方もある。要は官邸や首相の取り巻きとか、あるいは首相自身が「大坂、どうなの?」と言い出すかどうかである。

 授与に値する成績であるのは間違いない。なにせ、男女を通じて史上初の快挙なのだ。過去に女子スポーツで顕彰された高橋尚子や吉田沙保里、伊調馨と比べても何ら劣るものではない。でもどうかな? アテネ、北京と2種目連覇を果たした北島康介はなぜか受賞していない。羽生結弦との違いは何なのだろう。

 大坂の受賞は今回はないのだろう。でもこれがグランドスラム達成となれば…。自民党政権に大坂に国民栄誉賞を与える度量があるかどうか。ちなみに国民栄誉賞の第1号は台湾籍の王貞治である。

 

 
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次の元号は〇〇で決まり!!??

2018-09-08 09:09:42 | 社会
 今年は年明けから異常気象が続いている。日本海側では1月末、大寒波と大雪に見舞われ大混乱。草津白根山、新燃岳が火を噴き、硫黄山も250年ぶりに噴火した。これらは序章でしかなく、6月には大阪で震度6、7月の七夕豪雨では広島・岡山を中心に200人以上が亡くなる平成最悪の水害に見舞われた。7~8月は熱波が襲い40度超えが続出、熱中症による死亡も相次いだ。12号台風は東から西へと逆走、21号台風は関空を沈没させた。と、その直後、北海道では震度7の大地震、緑豊かな山々が茶色に一変した光景には息を飲んだ。

 こうも天変地異が続くと「縁起直しだ。元号を変えよう!」ってことになる。一世一元制は明治に始まったことで、歴史は極めて浅い。元号をとっかえひっかえして気分一新を図り、権力者に批判の矛先が及ばないようにしてきたのがこの国の歴史である。645年の大化に始まり、1989年の平成まで元号の数は200余り。1年も持たない元号も数あり、平均は6年4か月ほど。63年の長きに渡った昭和や45年の明治などは異例の存在なのだ。

 今年天変地異が続いているのは元号を無理やり変えようという動きを天が察して、「そんなら変える理由を作ってあげましょ」と気を利かせているのだ(w)。数百年後の歴史書には「こうした異変が続いたため元号を変えることとなりました」なんて書かれていたりして…。

 前置きが長くなった。問題は次の元号である。

 政府は新元号に関し「明治」「大正」「昭和」「平成」の頭文字をアルファベットで表記した「M」「T」「S」「H」との重複を避ける方向で検討している―と共同が伝えている。昭和からの改元の際、最終候補には平成のほかに修文と正化の2案が残ったが、アルファベットの頭文字がどちらも昭和と同じSだったために紛らわしいとの意見が出て、平成に決まったという。これに従えば、次の元号候補はぐっと絞られてくる。あ行、か行、な行、や行、ら行、わ行で始まる名前、さて、何にしましょうか。


 明治以降を眺めると、あまり画数の多い文字は選ばれていない。昭和の昭が9画で最も画数が多く、明治の明、治はともに8画である。となれば次の元号も10画以内の文字から選ばれるのではないか。一押しはあ行なら安、か行なら光、な行、や行は該当なし、わ行なら和が候補になるが昭和の和とかぶるのでどうだろう。

 当方は「安永」で決まりと致しました。「光安」もあるかもしれない。変化が目まぐるしく心の安らぎを求める時代、安永こそ打ち続く天変地異を鎮めるにふさわしい元号である。漢籍や古書などで使われ、それなりに意味がある文字が求められているというが、「安永」なら出典には事欠くまい。


 元号制定委員会?の方々は多くの書物を渉猟し、ネットにも目を光らせるだろうから、しかるべき時に「安永」が選ばれなかったとしたら、私がここに記したことが原因である(w)。

 それにしても、西暦以外を使っているのは日本と北朝鮮ぐらいのもの。友人の免許証の有効期限はありもしない「平成32年6月」。来年3月以降に発行される免許証は西暦一本になるとか。元号自体も次あたりで打ち止めでいいのかなあ。

 
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