脚と角

関西を中心に国内外のサッカーシーンを観測する蹴球的徒然草。

喜怒哀楽の真髄は蹴球にこそ有り。

相手にハマった2つの守備の綻び ~8節 VS神戸~

2008年04月28日 | 脚で語るガンバ大阪

 今季2度目の不参戦となったホムスタでのJ1第8節G大阪VS神戸。神戸のエース大久保が2得点と奮起し、ここまでACLも含めた約1ヶ月の無敗ロードに終止符を打たれ、1-2と完敗を喫した。
 
 守備陣の緩みとウィークポイントを巧みに突かれた試合だった。まずは緩みを突かれたポイントして1失点目。「上げる人フリー、ヘディングする人フリーですよね・・・」と39分の大久保の1点目のリプレイ時にこの日解説で入った水沼貴史氏が言った一言がそれを象徴する。大久保の頭にドンピシャのクロスを上げた古賀も、そしてヘッドで合わせゴールネットを揺らした大久保も何のプレッシャーもなくプレーできている。クロスを入れた古賀への橋本の甘い寄せと、ゴール前で最も警戒すべき相手のエースにマークが付ききれていない。結果的にポジショニングが被っていた山口と中澤が声をかけてケアすべきだったが、スルスルとファーサイドからニアに入ったボッティに釣られる形となった。結果的に大久保と競り合うことを要求されるポジションにいた倉田にこの局面を託すのは無理があった。ストライカーとしての大久保のポジショニングと決定力を考えると、ここは完全に甘過ぎた。

 57分の2失点目も最後は大久保の嗅覚を改めて感じる形にはなったが、今のG大阪の守備ラインのウィークポイントを突かれた。松代のゴールキックを競り合った後のルーズボールをフリーでボッティに拾われ、背後から遅れてきた遠藤のプレスに躊躇することなく前線の大久保にピッタリのフィードを送っている。既に大久保がボッティがボールを持った瞬間にトップギアに入っているので、神戸としてはイメージ通りの流れだっただろう。逆に言えばG大阪守備陣はその相手のイメージを読めていなかった。24分に松代のセーブで難を逃れた局面もそうだったが、メルボルン戦でも効果を発揮したかなり高めのライン設定が仇となり、そこをトップギアの大久保に巧く狙われた。最後は中澤と山口のCB2枚に囲まれながらも、ボールの軌道に合わせた最適な体の入れ方で中澤をモノともせず、逆に体勢をとっていた山口も対応できないまま、巧みに交わしてシュートを決めた。一気に攻勢に入るべく、全体的にラインを上げたところでやられたということで、ここは中盤のケアで何とか防ぐことはできたかもしれない。ゴールキックをを折り返す際に右サイドでルーカスと倉田と明神が偏った位置にポジションを取っていたことで、中央と左サイドが完全に手薄になってしまっていた。ボッティほどの選手ならばイメージ通りにプレーはできる。

 ACLを含めた連戦によるコンディションの差を差し引いても、修正は可能だった点の取られ方だけに、攻撃陣がこの2失点を帳消しにできなかったのは響いた。この日もバレーが8本のシュートを放ち息巻いたが、バーに嫌われたシュートもあり、確率の話になると正直厳しい。対照的に相棒の山崎は0本と生かされていない。G大阪のチャンスはほとんどが安田理と橋本によるサイド攻撃が起点だっただけに、ここで山崎が生きる手段も欲しいところだ。
 
 内容的に見れば、神戸に前述した守備の綻びを確実に決められただけ。あとはこちらが“決めるのみ”ではある。ゴール前でツキに見放されたと言えばそれまでだが、この高い位置で張るラインの脆さを、対戦相手の特性によって軌道修正を図れる柔軟性があれば良かった。まだ8試合が終わっただけ。実戦で熟成を試みていけば良いだろうが、9試合で9失点の守備とわずか9得点という現時点での成果は真摯に受け止めなければならない。