脚と角

関西を中心に国内外のサッカーシーンを観測する蹴球的徒然草。

喜怒哀楽の真髄は蹴球にこそ有り。

点を取らなければ勝てない

2008年01月27日 | 脚で語る日本代表


 岡田JAPANの初陣となった26日のチリ戦。0-0のスコアレスドローに終わったこの親善試合の結果をどう捉えるべきだろうか。

 “守れても点が取れない”こう形容するのが妥当だろう。そしてサッカーで勝つためには“点を取らなければいけない”これは至極当然のことだ。

 来月から始まるW杯3次予選では結果にこだわっていかなければならない。オシム前監督よりバトンを引き継ぎ、実質2週間ほどでチームの再構築を図った岡田監督はこのチリ戦である程度守備面では手応えを感じていたようだ。組織的な守備を実践する中で、危ない局面を迎えたのはむしろ「個」の力の優劣によるものだったといえる。しかし、その「個」の力は攻撃面では勝利に直結する要素とはならなかった。

 今季より国内に復帰する高原は予想通りスタメンで起用されたが、随所に落ち着いたプレーは見せたものの、まだコンディション不足は否めない。肝心な局面で大きくシュートをふかしてしまい、結局シュートはその1本に終わってしまった。
 61分にその高原に替わって投入された大久保は直後にチャンスを作るなど動きは冴えた。しかし、フィニッシュに大きく難を抱え、彼で決められたはずのこの試合を結果的に動かすことはできなかった。
 高原と共に2トップでスタメン出場を果たした巻は、ポスト役としてチャンスを作ろうとしたが、駒野の左サイドから放り込まれた絶妙なクロスに合わせられないなど結局シュートは放つことができなかった。その巻に替わって入った矢野も見せ場はないままラスト10分を終えてしまう。

 知将ビエルサが率いるチリ代表はよく日本を研究していた。立ち上がりはスローペースでじっくり日本の状況を窺い、徐々にこの日A代表初スタメンの内田サイドを重点的に攻め込むなど、確実にウィークポイントを突いてきたといえるだろう。決してベストメンバーでないながら、球際の強さやカウンター時における速いパスワークを見せるなど、確かに動きは良かった。前述したようにフィニッシュがあまりに稚拙な日本の攻撃陣を前に、戦いぶりで「収穫」を得たのは間違いなくチリだっただろう。それほどチャンスに乏しき退屈な90分間を日本は演じてしまった。

 この日スタメンで出場した選手のうち、シュートを放ったのは高原と駒野の2人だけ。交代出場の大久保が1人で4本のシュートを放つなど気を吐いたが、あれだけ決定機を決められないようではとてもじゃないが点を奪える気はしない。中盤からミドルを狙っていくでもなく、組織的な連携を見せてフィニッシュに持ち込む場面もほとんど無い。特に大久保が投入されるまでの61分間はその気概さえも希薄だった。
 ここでもう1枚、播戸を起用して欲しかったのは正直なところだった。こうなってくると前線の組み合わせがW杯予選までの最大の問題点ではないかとも思えてくる。

 基本的にオシム前監督の継続路線を貫く岡田体制。しかし、アジアカップで熟成の一途を辿っていた連動性は影を潜めている。そして、守備面ではある程度の収穫があったかもしれないが、それ以上にストライカー不在の様相を露呈した日本。高原もウカウカしていられない。もう日本のファーストチョイスはリセットされたも同然。次戦のボスニア・ヘルツェコビナ戦ではこのFWのプレーにこだわってW杯予選に繋げて欲しいところだ。