脚と角

関西を中心に国内外のサッカーシーンを観測する蹴球的徒然草。

喜怒哀楽の真髄は蹴球にこそ有り。

苦しむ兄貴たち

2007年07月11日 | 脚で語る日本代表


 U-20代表とアジア杯を戦う日本代表の対極的なコントラストが目に付く。2勝1分けと負けなしで決勝トーナメントに進んだ前者と初戦を後味の悪いドローゲームにて終えた後者。その雰囲気や試合内容を見ても、両チームは実に対照的だ。
 片や「調子のりJAPAN」と評され、吉田監督の存在感が霞むほど選手たちがイキイキしているU-20代表は、もしかすると99年ワールドユース以来の好成績を収めてくれるのかもしれない。チェコ戦に勝てば次戦はブラジルかスペイン。相手に不足はない。何よりも今の雰囲気そのままに力まず自然体に試合に臨めば、良い結果は生まれるだろう。是非とも決勝でアルゼンチンやメキシコあたりとぶつかってほしいものだ。

 一方、カナダから遠く離れた南国の地で、兄貴分のA代表は苦しんでいる。初戦のカタール戦で勝ち点3を落とした。激高したオシム監督が取り乱し、初戦で不甲斐無い戦いぶりを見せた選手たちをこれでもかと批判している。これまでにない異例の雰囲気がチームに漂っている。長年アジアで盤石の勝利を積み重ねてきた日本の姿はそこにはない。
 次戦のUAE戦がターニングポイントになることは明らかである。協会の小野技術委員長はあくまで2010年をオシム体制で見据えたビジョンを否定しないが、UAE戦で敗北を喫し、早々と予選リーグから敗退ということになれば、メディアや世論が責任問題を追及する前にオシム自身が引責辞任をしかねない。それぐらいにセルビアの老将は精神的に追い込まれているはずである。
 何しろ、これだけ準備期間が短く、その上結果も出せないのであれば、ただの寄せ集めチームと言われても仕方がない。スタミナ不足とフィニッシュの精度に決定的な致命傷を持つ選手に憤りを感じるオシムが、どうチームを建て直すのか注目したいところだ。

 個人的には、このアジア杯で日本代表に溜まった膿が全て出ればいいと思っている。
適材適所で本当の人選ができているか?
協会のマッチメイクはその意義が明確か?
真理を問えば、今の日本は結果を追求できるチームか否かということもである。確かにコンフェデ杯を考えれば、是非ともアジアは制したいところだ。しかしそれらを全て見越した準備のプロセスを辿れたかどうかが疑わしくなるようでは、これまでの1年間が意味を成さない。オシムジャパンが何を残せたか、その明確な答えを誰もが求めている。
 這いずってでも優勝する義務が日本にはあると思っているが、もしそれができなかった場合、これまでをリセットする勇気も必要になるだろう。アジアを獲れなかった事実を噛み締めてチームを再建するのもまた正解かもしれない。
 
 日本は勝てるチームではなくなった。カタール戦を見る限り、これから今まで以上にオシムジャパンが追い求めなければいけないものが大きく、そして困難を伴うことは明らかになった。この7月、最後にドラマは待っているのか。遠く離れた北米で戦う将来のA代表の卵たちにそのメイクドラマを見せつけてやれば、彼ら以上にA代表も調子に乗れるはずなのだが・・・


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