脚と角

関西を中心に国内外のサッカーシーンを観測する蹴球的徒然草。

喜怒哀楽の真髄は蹴球にこそ有り。

北の地へ送るエール

2007年07月12日 | 脚で語るJリーグ


 その日程の濃密さから容赦なく水曜開催が繰り返されるJ2。思えば日付変わった今日7/12時点で既に25試合を消化している。攻守に盤石の安定感を見せる札幌が変わりなく首位を独走し、建て直してきた京都がそれを追う展開。3位仙台から6位湘南までは勝ち点差がわずか5ポイントであるから、まだ予断は許されない。

 日曜によくスカパーでもJ2をじっくり観てしまうことが多い。やはり国内主義の血が疼くのか、今季はこっそりC大阪のゲームも何度か足を運んでいる。(結果的には愛媛や湘南といったアウェイチームの虜になるのだが)
 現在やはり注目したいのは京都が徐々に挽回している点。現在ではJでも屈指のエレベーターチームになってしまったが、J2のカテゴリーになると毎回昇格候補に挙げられる現有戦力は持っている。特に今季は、序盤でこそ苦戦を強いられていたが、その後は大幅に成績を落とす様子も無く美濃部体制を貫く構えだ。今季からチームに加わった徳重とケガから復帰した倉貫の存在が際立っている。DFラインもチアゴが戦列に復帰してからは非常に安定感を増した印象だ。そして今年は毎年のように影の薄かった日本人エースの田原が気を吐き、パウリーニョとの2トップが好調。このまま調子を落とさなければ、十分に昇格は狙える安定感だと思う。しかし、だからといって今の戦力がJ1で通用するわけではない。チームをひっくり返すぐらいの大補強策は必須になるだろう。

 首位を走る札幌は本当に大崩れしない。DFの要である曽田が6得点を挙げているのをはじめ、ダヴィが8得点、西谷が7得点とどのポジションもゴールゲッターが存在する。Jリーグ創生期からの選手であるMF大塚とDF西沢の二人も若いチームを支えている。突出した選手こそいないが、この安定感は柳下監督時代に築かれたベースメントを三浦監督がよく完成している証拠であるといえよう。守備的ながらも勝ち切れるサッカーは、昨年の横浜FCが今季J1で苦戦していることを考えて見れば、早くJ1で通用するか見てみたいものである。

 札幌の選手で個人的に応援する選手がいる。それはDFとしてチーム最多の25試合に出場し、左SBとCBとして活躍する西嶋弘之だ。

 柳下監督時代にトップに定着し、今季三浦監督の下ではDFラインのマルチロールプレイヤーとして、全幅の信頼を置かれている。広島から神戸を経由し、トライアウトも経験してようやく安息の地へと辿り着いた。彼は元来は中盤の選手で、時としては前線もこなすFWでもあった。
 彼とは奈良の中学時代によく試合でマッチアップした。当時から上背があり、ボールタッチも柔軟だった。10番がよく似合う選手だった。将来Jリーガーになるほどまでの突出した選手ではなかったが、彼の努力が人生を変えていったのだろう。県内屈指の名門である奈良育英高を経て、Jリーグ入りを果たした。やはり同郷からのJリーガーとして純粋にエールを送ってしまう。その彼が決して目立たぬ存在ながらも札幌の好調さを支える原動力として今、選手としての絶頂期にあるのはその出場数を見れば明らか。広島と神戸で全く出場機会に恵まれなかったのを知っているからこそ、彼についついエールを送ってしまう。そんな彼を来季J1の舞台で、敵チームとして対峙できるのを楽しみにしている。昨年、天皇杯にてそのチャンスは訪れたが、やはり彼自身の活躍で札幌を昇格に導いて欲しい。そしてJ1の舞台でガチンコでやろうじゃないか。
 
 まだ、シーズンは長い。J2も折り返したところである。前述の京都やそれ以外のチームも順位をひっくり返してくることはまだまだあり得るだろう。混戦になればなるほどそのチームの真価は問われる。今後も西嶋に注目しながら札幌がJ1に昇格してくるのを見守ろうではないか。

※(冒頭の写真は西谷選手です)


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