脚と角

関西を中心に国内外のサッカーシーンを観測する蹴球的徒然草。

喜怒哀楽の真髄は蹴球にこそ有り。

地域1部の厳しさ -VSアイン食品-

2010年09月19日 | 脚で語る奈良クラブ
 あと2試合を残すところとなった関西リーグ。Div1、Dvi2共に最終順位争いが過熱している。Div1では長居で2試合が行われたが、首位の三洋電機洲本が5位・ラランジャ京都に1-4と大敗。前節からの連敗で優勝を自力で決められなかった。その後に行われた2位・アイン食品と3位・奈良クラブの対戦は前半を終えて2-0としていた奈良クラブが2-4とまさかの逆転負け。ここで奈良クラブが勝利すれば、三洋洲本の優勝も決まった訳だが、全ては最終節に持ち越されることとなった。最終節で三洋洲本が勝利すれば、アインの戦績に関係なく優勝が決定。しかし、三洋洲本が負けてアインが勝利すればアインの逆転優勝となる。

 

 前期日程でも同じく長居での対戦だったこのカード。その際は不運な判定のPKで先制され、終了間際に嶋のシュートで追いつくという展開だった。08年の全社関西大会で、当時奈良県リーグだった奈良クラブがアインに勝利したことを思い起こせば、相性は決して悪くない。しかしながら、そういった数字上のデータで安心するには早すぎたようだ。
 奈良クラブは、畑中が仕事のために、そしてCBの橋垣戸光が負傷のために欠場。前節に続いて若手の金城、そしてFWとして今季コンスタントに結果を残している嶋がサイドハーフの位置に据えられる。橋垣戸光、畑中、大塚を欠くベスト布陣が敷けないものの、前半に奈良クラブが発揮したサッカーは今季ベストともいえる内容だった。

 
 小柄ながらケガ知らずの金城が2試合連続のスタメン。
 再三のドリブル突破で攻撃を作る。

 キックオフ早々の3分に見事なダイレクトパスの連続で相手DFを翻弄すると、最後は右サイドから走りこんだ嶋が右足を一閃。先制点をねじ込んだ。ここまでアイン戦は3試合3得点という相性の良さ。彼の推進力がチームを導き、アイン守備陣の裏を突くスピードある攻撃で前半は再三の決定機を演出する。30分には滑り込みながらシュートを放つも惜しくも相手DFに触られてゴールならずという場面もあった。42分には今季絶対的なエースの座を射止めた檜山が追加点となるシュートを決めてリードを広げる。この試合運びで残り45分を戦えれば完璧だった。

 
 嶋は今季5得点目。
 サイドハーフとしても生きる速さは大きな武器。

 
 檜山は7得点目を記録。
 必ず結果を出してくれる信頼感溢れるエースに成長。

 ところが、後半の奈良クラブの失速ぶりは顕著だった。57分にアインに1点を返されると、守備が決壊。全くプレスが効かなくなって中盤でもミスを連発。その6分後には同点に追いつかれ、66分にはGK村松の処理ミスをかっさらわれ、シュートを決められていよいよ逆転される。またも追加点を狙いに前がかりになった際のカウンター対処で甘さを露呈することになってしまった。こちらが追いつくための1点を追いかけるという急転直下の展開を強いられるが、ゴールは前半以上に遠く、76分には勝負を決定づけられる4点目を献上することになった。

 
 DFリーダーとしてその経験値を還元する三本菅。
 しかしながら、守備陣の連携はこの1部の土俵ではまだ厳しい。

 
 キープ力と相手へのチェックで存在感を発揮した李。
 二列目からシュートも狙うがゴールならず。

 まさに厳しい現実、これで2位すら完全に遠ざかった。最終節のラランジャ京都戦で勝利しても、阪南大クラブの結果次第で最終順位が決まるという展開。まだ今季は2敗目で、これは三洋洲本とアインに並ぶ数字だが6試合の引き分けがその足を引っ張る。リードを広げる、または逃げ切るといったDiv1での「試合巧者」になるにはまだ時間はかかりそうだ。特に練習環境がままならない中で、トップメンバーとサブメンバーの実力差が埋められていない。サブメンバーの経験値が低く、なかなかそちらを底上げする練習試合も行えていないのが苦しいところ。しかし、この壁を乗り越えていかないとチームは強くならない。それ以上のカテゴリーは目指せない。その意味でも来季へ繋がる強烈なしっぺ返し。これを糧に来季はもう一歩上を目指したいと思う試合巧者アインの教示だった。

 
 今季出場機会が減った若手選手をどう即戦力にしていけるか。
 今後の大きな課題がこの数試合で滲み出た。

 
 県リーグ時代からチームを支えた松野がこの試合を最後に退団。
 奈良県1部リーグのAtleticoへ移籍する。
 昨季のチーム得点王、得点に拘るプレーで得点を量産。
 ありがとう、本当にお疲れ様でした。