脚と角

関西を中心に国内外のサッカーシーンを観測する蹴球的徒然草。

喜怒哀楽の真髄は蹴球にこそ有り。

ベスト16を経て再出発 -日本VSパラグアイ-

2010年09月05日 | 脚で語る日本代表
 南アフリカW杯でのベスト16という結果を得て、大会後初の国際Aマッチとなったキリンチャレンジカップ2010。4日にはW杯で最後に戦ったパラグアイとの親善試合が日産スタジアムで行われ、65,157人の大観衆が見守る中で1-0と勝利。これからザッケローニ新監督を迎える新生日本代表が14年ブラジル大会へのリスタートを華々しく切った。

 

 原技術委員長が一時的に監督代行を務める日本は、新たにメンバーに選出された栗原(横浜FM)、細貝(浦和)がそれぞれCB、ボランチの位置に起用され、川島(リールセ)、長友(チェゼーナ)、内田(シャルケ)、香川(ドルトムント)、本田(CSKAモスクワ)、松井(トム・トムスク)、森本(カターニャ)といった海外組が7名揃って先発出場し、スタジアムを盛り上げた。

 
 スタメン紹介時に本田が紹介されると大歓声。
 大観衆によってW杯の興奮が喚起された。

 
 
 日本、パラグアイ共に多くのサポーターが詰めかけた。
 総勢65,157人。今年の東アジア選手権の時が嘘のよう。

 プレッシャーのない久々の親善試合。ここまでアジア最終予選などで苦しい圧力を感じていた日本代表の試合からすれば、この日の日産スタジアムは新鮮な雰囲気だった。観衆の誰もがテレビの向こうのW杯で躍動した選手たちのワンプレーに興奮を隠せない。前半から松井が再三そのテクニックで観衆を沸かし、本田が、森本がパラグアイゴールに迫る。ゴールこそ早くに生まれなかったが、彼らのプレーに歓声は途切れなかった。

 
 前半からテクニックでスタジアムを沸かせた松井。
 この日のプレーはザックにどう映ったのか。

 
 正守護神に定着した川島もはつらつとしたプレー。
 反応の鋭いセーブで何度も沸かせる。

 8分に松井が長距離をドリブルで疾走し、本田とのコンビネーションから最後は香川が倒されて絶好の位置でFKのチャンスを得る。わずかに相手GKに阻まれたが、W杯で見せたあの強烈な弾道を誰もが想起したはずだ。今後の代表チームをこの3人が牽引していくことを予感させた場面だった。15分には本田のクロスを松井がヘッドで合わせるが相手DFに当たってゴールならず。日本の得点に対する期待は徐々に高まる。

 
 
 デンマーク戦を思い出させた本田の直接FK。

 
 中村憲は堅実なプレーで細貝と中盤の底を担当。

 パラグアイもサンタクルスの右サイドからのクロスやポストプレーを軸に日本ゴールを狙うが、決定的な場面はなかなか作れない。前半の中盤は幾度もチャンスを作ったが、GK川島を中心に日本守備陣はカマーチョやバリオスらに仕事をさせない。

 
 セルビア戦以来の招集、出場となった栗原。
 ミスはあったが中澤のリードにも恵まれた。

 
 期待のかかる次期エース森本もこの日は仕事ができず。
 できれば最後までプレーを見たかった選手。

 
 サンタクルスをマークする細貝。
 今後のザックジャパンでは中盤の守備要員として重宝されそう。

 後半に入って、前半以上に中村憲、本田、香川とパラグアイゴールに迫る場面が増える。徐々に両チームが選手の交代を施してくるタイミングで先制点は生まれた。64分、中央の中村憲がゴール前に走り込んだ香川にパス。これを冷静にトラップした香川がシュートを決める。移籍したドイツでも順調にその才能を見せつける香川。南アフリカでは出番が無かったこともあり、それを払拭するかのような素晴らしい先制点だった。
 
 
 本田がパラグアイ陣内まで攻め込んでシュートを狙う。

 
 先制点は香川のシュート。
 新生日本代表を担う風格と実力を兼ね備えている。

 
 俊足から再三サイドをアップダウンした長友。
 なんと頼りになるサイドバックなんだろう。

 この後もパラグアイの得点を許さず、1-0で試合を終えた日本代表。岡崎に藤本、橋本や岩政、槙野、駒野といった選手もきっちり起用してテスト。7日に大阪・長居で行われるグアテマラ戦、そしてザッケローニ監督にバトンを引き継ぐべく、選手たちもアピールに身を注いだ試合となった。

 
 本田に代わって途中出場となった橋本。
 リーグでの連続得点を意識してか、前へ飛び出していく場面も。

 
 駒野の登場時にはこの日一番の歓声が巻き起こった。

 
 ザッケローニまでの繋ぎを担う原監督代行。
 FC東京を退いてから久々となる現場での指揮となった。

 
 

 まさにスタジアムは新生日本代表のリスタートを見守るお祭りといった雰囲気。観客席はどこか牧歌的な雰囲気に包まれており、W杯予選時の殺伐とした空気は全く無かった。W杯ベスト16という束の間の快進撃で、皆の中の日本代表へのイメージは上塗りされたようだ。しかもしっかり勝利しての新たな船出。新たな船長による舵取りで日本代表が今後どう変貌を遂げていくのか楽しみになってきた。