脚と角

関西を中心に国内外のサッカーシーンを観測する蹴球的徒然草。

喜怒哀楽の真髄は蹴球にこそ有り。

奈良クラブの平日

2008年06月13日 | 脚で語る奈良クラブ
 奈良県社会人リーグ1部を戦う奈良クラブ。今月より練習拠点をYANAGI FIELDにて確保することができた。現在練習は平日の火・木・金の3日間、午後8時から行われている。一体どんな様子なのか途中からとなったが覗いてきた。

 

 ケガで戦列を離れている矢部選手を含め、この日の練習参加はわずか6名。話には聞いていたが常識的に少ない。写真を見ても分かるように、もちろん全員がフィールドプレイヤーでGKはいない。クロスからのシュート練習では数分間筆者がGKに入ったほどだ。この全員が参加できないところが社会人サッカーの厳しいところと言いたいが、“上を目指す”のであればそこは打開していきたいところ。所属選手がどう自分のスケジュールに折り合いをつけて、少しでも参加できるかが今後の大きな課題となる。ここについては後に語るとして、少ない人数ながらも、矢部選手のコーチングによって充実した練習が淡々と、時に和気藹々とこなされていく。
 センターサークル内でのボール回しで、ミスをした選手はゴールラインまで罰走をこなす簡単なメニューから、フィジカル面を重視した練習など少ない人数でもこなせるメニューが続く。

 

 そして、4面のコートをワイドに使ったクロスの練習だ。左サイドの金城選手、右サイドの上西選手と2トップの松野正、嶋の2人がいたため、秋本選手からのボール出しからフィニッシュのシュートまで連動されて行われた。やはり通常はフットサルコートを小分けするカーテンレールがあるため、ここにたまにボールがぶつかるのが厄介だが、ピッチのことを考えるとそんなことは言ってられない。これまでは電灯の下でボールを蹴っていたことが日常だったのだから。

 

 最後には、サッカーバレーをメンバー替えながら数セット行い練習終了となったが、どうやら昨日の練習は9人ほど参加していた模様。しかし、これだけの環境が揃っていながら、人数がこれだけしか揃わない、いや、むしろ練習参加メンバーが固定化されているのはサポーターとして正直寂しいのが本音だ。
 
 「環境うんぬんじゃないんだと思う。奈良のサッカー選手は、それだけじゃ意識は変わらない。ほとんどの選手が、まだ週1でサッカーをできればいいと思ってる選手が多いんかな。結局奈良クラブも全く新たにゼロから興したチームじゃなくて、“都南クラブ”の延長線上という印象がどこかにあるんかもな。」
 練習終盤、筆者に語ってくれた矢部選手の言葉にハッとさせられた思いだった。確かに環境は問題ない。フットサルコートであるということさえ除けば、サッカーが上達するには申し分ない環境だ。でも、それだけではまだ何も変わらない。チームを取り巻く環境が劇的に変わった訳でもない。選手も大幅に入れ替わった訳ではない。運営会社ができた訳でもない。これまでの“草サッカー感覚”から脱却すべき選手の意識改革の難しさを浮き彫りにするように言葉を振り絞る我らが矢部次郎の苦悩が見えた気がした。

 これは簡単な問題ではない。だが、徐々に志の熱い新たな選手たちが集まろうとしている状況でもある。チームとして、勝つための集団として今、奈良クラブは試合以外で難しい局面にあるのだろう。予定されている試合は待ってくれない。そしてチームも苦しみながら船出を遂げたところだ。悩むにはまだ早い。ぼちぼち行こう。我々も最大限のサポートをしていく。