脚と角

関西を中心に国内外のサッカーシーンを観測する蹴球的徒然草。

喜怒哀楽の真髄は蹴球にこそ有り。

もう一つのEURO2008

2008年06月27日 | 脚で語る欧州・海外
 EURO2008本大会もいよいよ大詰め。遂にファイナリストが出揃った。ドイツとスペイン。個人的にも大会開幕前から優勝候補の筆頭として揺るぎなかったスペインの勝利を信じたいところだが、そんなことよりも今大会、別視点で個人的にEUROを楽しんでいる面もある。

 

 “やはり来たか”と思わせたのが、準決勝のドイツVSトルコの試合中にファンが乱入したところ。後半40分過ぎ、トルコのセミフが同点ゴールを決めた直後だった。日本で放映されていたWOWOWではクローゼが負傷し、顔を押さえてうずくまっている場面しかクローズアップされなかった。実況の久保田光彦氏は、警備員のタックルの様子まで完璧な実況を見せてくれたが、ここで乱入していたのが欧州一のお騒がせ乱入男のJimmy Jumpだったのだ。“まさか、もしかしてJimmy Jumpが来たか!”なんて個人的に想像していたが、後に本人のHPを見てみるとやはりその通り。しかも今回は中国のチベット抑圧に対するデモTシャツを着用していた様子。確か前回の2004年大会では、決勝戦で乱入してポルトガルのフィーゴに挑発行為をやってのけた。彼が根っからのカタルーニャっ子ということを考えれば彼の動機は当時を思い起こせば容易に想像が付く。
 それが今大会では、ドイツVSトルコだった。もちろんいつも通りの袋叩きで瞬時に場外へ。甚だ迷惑ながら、忘れた頃にやって来る彼の奇行っぷりが何とも面白いではないか。

 

 それはさておき、その他にもEUROは別視点で楽しめた。それはNIKEとadidasのプライドを掛けた対決だ。なんと今大会の決勝トーナメント進出8カ国中5カ国のユニフォームサプライヤーがNIKEという結果に。adidasは2カ国(ドイツ、スペイン)そしてPUMAは1カ国(イタリア)と、完全にここまでNIKEが大会を席巻したといっても良い。3ラインアップに及ぶEURO限定モデルのフットギアが大会に参加するスターたちの足下を彩り、勝ち進む各国の戦士たちの左胸にはスウッシュマークが光る。しかしながら、そのスウッシュマークが決勝戦で見られることはなくなった。決勝には、見事にadidasの2チームが勝ち上がるという皮肉の事態である。相変わらずスウッシュマークに世界大会のタイトルは縁が遠い。
 思えば、NIKEは2002年の日韓W杯でブラジルがトロフィーを掲げてから、長らく世界の舞台からはご無沙汰している。EUROではそのタイトルに全く無縁だ。これだけ欧州列強各国のユニフォームをサプライしながら。

 世界での強さをやはりアピールしたadidas。頂上対決はもうまもなくだ。結局最後はスウッシュマークでなく、スリーストライプが勝利を手にする。その構図から世界はまだ変わっていないのかもしれない。