脚と角

関西を中心に国内外のサッカーシーンを観測する蹴球的徒然草。

喜怒哀楽の真髄は蹴球にこそ有り。

Eu torco por 都南クラブ! ② ~5人から未来の5万人へ~

2008年02月17日 | 脚で語る奈良クラブ


 冒頭にある満面の笑みの矢部次郎が示すように極寒の中、奈良県社会人選手権準々決勝KFC戦は2-0で勝利。苦しみながらも準決勝、つまりポルベニルカシハラとマッチアップするファイナルを懸けた戦いの切符を手に入れた。

<メンバー>
GK1津山(HT=松石ユウジ)
DF3上西、20橋垣戸、8吉岡、2松石ヨシキ
MF5染井(HT=15澤畑)、23矢部、21西村、9中川
FW7澤田、10松野マサ

 気温はわずか2度か1度であろう寒さに包まれたこの日の葛城市新町球技場。おそらく結果を気にして頂きながらも参戦できない方が多かったであろう中、共に都南クラブを鼓舞する同志5名に恵まれ、70分間声を張り上げることができた。遠方は姫路からはるばる来てもらった知り合いや、鳥栖時代から矢部を知るサガン鳥栖サポの方、県内在住の滋賀FCのサポの方から県内のサッカービジネスを勉強する若人まで集結。まずは県リーグレベルでは初のサポーター活動となった今日の応援に参戦して頂いたことに深く感謝。寒い中本当にありがとうございました。

 試合は、冬芝の張っていないほぼ土とも形容できる悪いピッチコンディションの中、時折足を滑らせながらも、都南がポゼッションを握る。しかし、KFCの素早いチェックに思うようにボールが繋がらず、リズムに乗れない。やはり、2週連続の雪による延期が選手たちを実戦から遠ざけたのも影響したか、どうも前半は動きの硬さが目立った。シュート数では相手を上回るものの、フィニッシュの精度に難があった前半は結局0-0で終了。
 後半、GK松石とMF澤畑を投入。序盤からリズムを作った都南は、ゴール前の混戦からFW松野マサがシュートを押し込み先制点を奪取。ようやくリードを奪う。その後も時折、相手の素早いカウンターを食らうもDF橋垣戸とGK松石を中心とした堅い守備が相手のチャンスを摘み取る。特にG大阪と愛媛でプレー経験のある橋垣戸のプレーは前半から安定。ハイボールの処理も難なくこなし、最終ラインから組み立ての起点となった。前半から守備面では安心して見届けることができたと言えよう。追加点を狙う攻撃陣はMF矢部を軸にゲームを組み立て、DF上西の縦への突破も生かし、再三相手ゴールを脅かす。左からの展開からようやく澤畑が追加点を奪い試合を決定づけた。

 結果が全てのトーナメント戦でありながらも、攻撃面を中心に課題は多くあったはずだ。しかしながら、ひとまずこの日の勝利をイレブンと共にサポーターも歓喜を分かち合う。選手とサポーターの距離はほとんど無いとも言えるそのフラットな関係に喜びもひとしおだ。
 おそらく、選手たちはやりにくかったと思う。初めての光景である我々の応援の前に委縮してしまった面もあるかもしれない。でも、絶対モチベーションは高まったはずだ。サポーターも戦力。必ずチームを勝たせるべく応援を続ける。これからその相乗関係がこの大会を通して成熟されていくことを願っているし、これが奈良のサッカーシーンを変えていく最初の一歩になると確信している。
 次戦は昨季リーグチャンピオンのポルベニルカシハラ。もちろん易々と勝てる相手ではない。このゲームを乗り切れば8年連続の決勝進出、そして4回目の全社への挑戦権を得ることができる。次戦は24日(日)に同じく葛城市新町球技場。キックオフはおそらく12:00か13:00の予定。今日来られなかった皆さんの熱い声援を待っています!

 試合後、この日のサポーターとチームの顔である矢部次郎共に昼食がてらしばし談笑。貴重な「知る人ぞ知る」鳥栖時代のサイドストーリーなどに花を咲かせる。やはり前所属のクラブからのサポーターがここまで来てもらえるのも選手冥利に尽きるし、偶然この場で共に声援を送る者同志として出会えたこともサポーター冥利に尽きるといっていいのかもしれない。サッカーは本当に様々な出会いと絆をもたらしてくれるものだと実感した。
 今日の5名から未来の5万人へ。これから辿ろうとするその険しい道のりは、この日すぐ背後にそびえ立っていた二上山の如き険しさであることも強く感じた。しかし、もう登り始めたこの道を下ることなく登り続けるハングリークライマーに我々はならなければいけないのだ。