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アートネタなど日々のあれこれ

柴田敏雄と鈴木理策

2022-07-30 19:29:13 | 美術
アーティゾン美術館で「柴田敏雄と鈴木理策」を見てきました(展覧会は既に終了しています)。

アーティゾン美術館のジャム・セッションは、石橋財団コレクションとアーティストの作品のセッションによって生み出される新たな視点による展覧会のシリーズです。今回は現代の写真作品と絵画の関係を問う試みということで、セザンヌの作品に関心を持ち、近代絵画に通じる造形思考を持っている作家として柴田敏雄氏と鈴木理策氏が取り上げられていました。両氏の作品をメインに、コレクションのセザンヌ、モネ、雪舟、藤島武二などの作品を織り交ぜて展示…という、なんとも贅沢な展覧会です。セクションⅠは「柴田敏雄 ―サンプリシテとアブストラクション」。柴田氏の写真はダムや橋梁などを撮った構築感のあるもので、抽象絵画のようにも見えます。「山形県尾花沢市」の水景は近代日本画のようでもあり…並置されていた藤島武二の「日の出」も色彩が美しく、ついつい見入ってしまいました。セクションⅡは「鈴木理策 ―見ることの現在/生まれ続ける世界」。モネの「睡蓮」と鈴木氏の「ジヴェルニー」に囲まれた空間はマイナスイオンが漂ってきそうでした。クールベの「雪の中を駆ける鹿」と鈴木氏の「white」のシリーズの並びは白が目にも鮮やか。「水鏡」のシリーズも美しかった…。セクションⅢは「ポール・セザンヌ」。柴田氏も鈴木氏もセザンヌの絵画に大きな影響を受けているのだとか。セザンヌの描いたサント=ヴィクトワール山を挟んで柴田氏の赤い橋、鈴木氏の白い山の写真の並びが圧巻。セクション IVは「柴田敏雄 ―ディメンション、フォルムとイマジネーション」。フォルムが強調された作品で構成されています。面で構成されたような不思議な感じの作品が並びます。空を切って、風景を静物のように撮るらしいです。そしてここでは円空仏も登場…。セクション Vは「鈴木理策 ―絵画を生きたものにすること/交わらない視線」。写真的な絵、絵のような写真が並びます。ボナールの絵の温かみが鈴木氏の写真と呼応しています。「りんご」の写真を見るとセザンヌのりんごを思い出したりも。セクション VIはなんと「雪舟」。雪舟の「四季山水図」と柴田氏のモノトーンのダム、鈴木氏の雪景の並びが実にスタイリッシュ…。そんなわけで、何とも贅沢かつボリューミーな展示でお腹いっぱいに…見るというのはどういうことか、そして絵画の眼、写真の眼の違いを体感できました。ストレートで強い写真の眼、抽象的で柔らかい絵画の眼…。

この日は帰る道すがら、渋谷の「THE ROOM COFFEE & BAR」に寄ってきました。暑い日だったのでアイスカフェオレが美味しかったのですが、かかっていたBGMがめっちゃお洒落…オーディオセットも立派だし、壁一面にアナログレコードのジャケットが飾ってありました。このカフェ、実はDJの沖野修也さんのプロデュースだったらしいです…。
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