最近、外縫線という言葉を学習した。この外縫線が膀胱経二行線(棘突起外方3寸)が関係あるように思えた。中背部~腰部の膀胱経二行線は鍼灸治療の刺針点として多用される理由も、このあたりにありそうだ。なお本ブログは、第8期、鍼灸奮起の会、第1回「上中腹部消化器症状」で紹介した内容である。
1.腹筋の構造
体幹側面には、外・内腹斜と腹横の4種の腹筋があり、これが腰部にある腰方形筋へと腱で結合している。
前壁→腹直筋
側壁→内・外腹斜筋と腹横筋
後壁→腰方形筋
これらの腹筋群は、腰部の胸腰筋膜に連結している。腰部の脊柱起立筋(棘筋・最長筋・腸肋筋)は胸腰筋膜の浅葉と中葉で包まれている。これらの胸腰筋膜と腹筋群はさらに腱で連結されている。この腱結合部を外縫線とよぶ。なお棘筋は頚棘筋と胸棘筋に細分化されるが腰部に棘筋はないので、上図では描かれていない。外縫線部は多くの筋が結合していて筋膜癒着(=重積)が起こりやすく、痛みを 生じやすい。
2.胃倉刺針
代田文誌は、胃倉が胃痙攣(現在の胆嚢症)の痛みを頓挫する名灸穴としている。
位置:側臥位。Th12棘突起下外方3寸または胃兪の外方1.5寸。腰方形筋が第1浮肋骨に付着する部。
刺針:側臥位で第12肋骨端下方、圧痛点を触知。2寸~2.5寸#4で腰仙筋膜深葉中に刺入。中背部全体に広範囲に心地よく響くように、ゆったりした雀啄手技を続ける。
3.魂門刺針
Th9棘突起下に筋縮をとり、その外方3寸。刺針要領は胃倉と同じ。
4.外志室刺針
位置:側臥位。Th12棘突起下外方で、起立筋と腰方形筋の筋溝
刺針:3寸#8を使用。横突起方向に深刺すると胸腰筋膜中葉に入る。深部には腰神経叢から出る神経枝 が多数ある。大腿外側痛には外側大腿皮神経を刺激し、陰部痛には陰部大腿神経を刺激し、大腿前面痛には大腿神経を刺激し、大腿内側には閉鎖神経を刺激する。患者の訴える症状部位は閾値が低くなっているので、患者の感覚としては症状部位に自然に響いてくれるように感じる。