望子のただいま稽古チュッ!

稽古、公演、プライベート
・・・オバサン役者、木村望子の日々。

ウラ話・稽古場編・・・たかが小道具、されど・・・(その4)

2013-09-13 00:05:52 | 舞台・ウラ話

そしてもうひとつ、

たぶん誰も気づかないであろうけれど、
ここだけは、ゆるがせにはすまい、と、
私がこだわったのが、


 <手紙> でした。


老人がアメリカに暮らす妹、文代に、
1年前に送った、長い長い手紙です。

自身が認知症であるとわかった老人は、
自分の意識がしっかりしているうちにと、
はじめて妹に手紙を書きます。



父親に反発して家を出た息子、政伸への思い。

仕事に明け暮れ、父親として、
やさしい言葉のひとつも、かけてやらなかった後悔。

早くに亡くなった妻への詫び。

そして、音信不通の政伸が見つかったなら、
それなりの財産を渡したい、という親心。


彼の人生が凝縮したような手紙です。


・・・なーんて、
わかったようなことを書いてますが、

これ、お芝居ですから(笑)

ホントに手紙なんてありませんから。

文代のセリフから、こういうことが書かれているって、
想像できるだけなんですね。



この台本を読んだとき、
最初に「うーーん」と考えたのが、
この手紙でした。

何度か、台本を読むうちに、

ここの小道具はどうする、とか、
ここでの衣裳は早替えか?とか、

そんなことも考えたりするんですが、

そのとき、まず、
(こりゃ、難物だな)
と思ったのが、この手紙でした。


稽古では白い便箋を使っていたんですが、
さて、どうしよう、
とずっと考えていました。

本番も白い便箋で、というのも、ありです。
あえて、字が書いてないものを読むのは、
よくやることですから。

でも、主宰に指示されない限り、
それはやりたくなかった。



この手紙は、父親を恨んでいる息子、
政伸に渡して、読ませます。

だからこそ、思いがこもった手紙を、
政伸に手渡したかったんですね。

政伸役の2人だって、
白い便箋を読んで泣くのは、
つらいでしょうし。

(稽古場では、そうだったんだけど)


だけど、手紙の内容の説明は、
セリフにしたら、ほんの数行。

でも、私のセリフに、
「初めてくれた手紙が、こんなに長くて驚いたわよ」

というひと言があるくらい、
長いものにしなきゃいけない。


さて・・・、どうしたものか・・・。


   (つづく)





人気ブログランキング

 ブログランキング参加中。
よろしければ、クリックを!
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

参加中。よかったらクリックを!

人気ブログランキングへ