座組の雰囲気によりますが、
たいがい、出の前にはハグやら握手をします。
特に、役柄が近い、
夫婦役とか、恋人役とか、親友役とは、
がっつりハグをして、舞台に上がります。
このハグの効果がどれほど大きいか。
今回、期せずして、
そんな実験ができました。
今回の私の場合、役柄が近いのは、
相方のしずえと、可愛い孫のヒカリ。
すぐ死んじゃうけど、旦那の徳造。
そして・・・北条さん。
ナオが50年以上想い続けた人。
でも、小屋入りの前に、ふと思ったんです。
ナオは北条さんをこれほど想いながらも、
指一本触れることすら叶わなかった。
その切なさをきちんとキープするのに、
本番前に、
「いえーい、原くーん、よろしくー!」
なんてノリで、ハグしてちゃ無理だな、って。
それで、原くんにも頼んで、
一切、握手もハグもしなかったのですが・・・、
これがまぁ、予想以上に、
さーびしかったのなんのって!
体を触ることは、それだけで、
安心感や安定感をもたらす。
そんな、受け入れてもらっている感覚がハグだし、
だからこそ、出の前に、みんなハグをする。
となれば、その反対をすれば、
受け入れてもらえなさとか、
不安感が出るのは当たり前なんですよね。
こんなささやかな実験でしたけど、
これはかなりの大成功でした。
何とも言えない、
不安定な気分とか、寂しさとかが、
ずっとキープできました。
たかがスキンシップだけど、
やっぱりスキンシップは偉大です。
でも実は、
これだけじゃ、いくらなんでも寂しすぎるので、
ひとつ、原くんに頼んでおきました。
「千秋楽が終わったら、ナオをハグしてやってね!」
そして、千秋楽が終わって・・・。
原くんが楽屋に戻ってくるのを、
今か今かと、手ぐすね引いて待ち構え、
顔を見た途端に、ド―――ッと突進して、
しっかりハグしてもらいました!
ははは、両手を広げて向かってくるオバサン、
かなり怖かっただろうな~
でもね、それで、ナオという愛おしい役も、
成仏したのでございます。
・・・あれ? 私、何を書いてたんだっけ?
(つづく)
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