薄幸の美少女、中将姫の伝説と古格ゆかしき双塔式伽藍が
今に残る古都奈良の名刹を訪ねて来ました。
「大和國 當麻寺」 (たいまでら)
當麻寺は用明天皇の皇子、麻呂子親王が西暦612年に建てた禅林寺を
役行者が西暦681年に當麻の地に移したのが始まりと伝わっています。
国宝 日本最古の梵鐘
梵鐘は細身の形で唐草文の様式から7世紀後半頃に造られたそうです。
中将姫は右大臣、藤原豊成の娘で大変、美しい女性であったが
早くに実母を亡くし、継母と上手くいかずに出家して當麻寺に入った。
薄幸の身の上を信仰に変えた美姫は阿弥陀と観音の化身に
助けられて極楽曼荼羅図を蓮糸で織り上げたそうです。
こうして中将姫は女性で極楽往生した最古の例として文学や芸能の
テーマとなって人々を魅了しているのです。
国宝 本堂
ご本尊は仏像ではなく當麻曼荼羅を祀ることから曼荼羅堂とも呼ばれています。
国宝の本堂は正面約21m、側面約18mの寄棟造り、本瓦葺きで
参拝者が本尊の當麻曼荼羅に描かれる西方浄土の方向に向いて
拝礼が出来るよう東向きに建てられています。
金堂
當麻寺創建時の本堂で鎌倉時代に再建された建物は正面五間、奥行き四間の
入母屋造り、本瓦葺きで白壁と木部のコントラストが美しいです。
講堂
1303年に再建された建物は装飾や開口部が少ない堂々とした和様建築で間口七間
奥行き四間の寄棟造り、本瓦葺きで唐招提寺のような天平様式となっています。
中の坊と東塔
中の坊は當麻寺最古の塔頭(子院)で中将姫が剃髪した寺院
国宝 東塔 塔高24mの三重塔
東西に二基の塔を配する双塔式伽藍は日本最古で現存する唯一の塔です。
護念院と国宝 西塔
護念院は中将姫の住居跡で西塔の塔高は25mの三重塔で東塔とともに
屋上の相輪の宝輪は通常九つのところ八つであるのが珍しいとされています。
當麻寺は當麻曼荼羅や東西二つの三重塔が古代のまま残されているのに
加えて金堂の本尊、弥勒仏像や四天王像は日本最古の塑像、乾漆像として
知られていて迫力ある姿が観られます。 また、講堂に祀られている
阿弥陀如来像は慈愛に満ちた優美な姿に心癒されます。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます