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コロナ対策下で上演されたミュージカル「マイ・バケットリスト」中国語版の上海公演

2020年07月13日 | エンタメの日記
2020年7月現在、中国では日常的な生活はほぼ通常のペースに戻っていますが、エンタメイベントは「観客を定員の30%以内とする」等の感染予防ルールを遵守しなければならないため、公演の再開ぺースは遅いです。映画館はいまだに再開されず、アリーナクラスのコンサートは年内の開催は難しいのではと言われています。
そんな中、6月頃からエンタメ公演としては比較的早く再開を果たしているのが演劇とミュージカルです。
先日、上海文化広場で上演されたミュージカル「マイ・バケットリスト」を観てきました。


「マイ・バケットリスト」の原版は韓国ミュージカルで、2014年の韓国初演以降、何度もキャストを変えて再演されています。2017年以降は日本でも上演されています。
登場人物は少年2人のみというコンパクトなミュージカルで、様々なキャスト・組み合わせで上演されており、K-POPグループのメンバーも多くキャスティングされています。

2017年に上海で中国人キャストによる中国語版で上演されました。2020年7月の上海公演は中国版の4巡目の公演と言われており、これまでに多くの都市で上演されている人気作です。

ミュージカル「マイ・バケットリスト」中国語タイトル「我的遗愿清单」(我的遺願清単)
上演期間:2020年7月7日〜12日(全8公演) 会場:上海文化広場  チケット:380元/280元/180元/80元
キャスト:ヘギ(中国語版の役名は”劉宝”):方書剣、周可人、張博俊
カング(中国版の役名は“楊暁宇”):丁輝、張智涵、周継琛


この中の、方書剣、張博俊、丁輝は湖南テレビのミュージカル男性歌手のオーディション番組「声入人心」に出場していました。
ヘギ(劉宝)役のメインキャスト、方書剣。1998年生まれ、上海音楽学院在学中。カング(楊暁宇)役メインキャスト、張智涵。1995年生まれ、上海音楽学院卒。


ストーリー:余命宣告を受けた少年(ヘギ)と不良少年(カング)が、ヘギの「生きているうちにやりたい100のこと」を実現させるため、ときに衝突しつつ、生きる意味を見つけていく、というストーリーです。登場人物は主役の少年2人のみで、歌、演技、ダンスがバランスよく配分されたミュージカルです。

中国版のキャストは、ボーイズグループのメンバーや若手俳優ではなく、国立音楽大学で声楽・ミュージカルを専門に学んできた歌手が演じています。
本格ミュージカルの歌唱法で表現しているせいか、かなり真面目な演出になっていると思いました。
主役の二人は元同級生の「少年」という設定ですが、中国キャストの場合、ファッション、表情、仕草などが少年らしさに欠けるような気がしますが、歌唱力は高く、スタイル・ルックスは良いしダンスも上手いです。キャストの実力・芸風からすると、ポップな演目よりも古典ミュージカルの方が合っているように思います。

会場の「上海文化広場」は2016年6月に再建されたミュージカル・演劇専門の劇場で、上海市にある劇場施設の中では非常に設備の整っている劇場です。

まず、入口で、中国政府がビッグデータをもとに個人の移動履歴をチェックする「健康コード」を提示します(感染発生地域に行っていないことを証明するため)。同時に、劇場側が行う実名制オンライン登録を完了させたかをチェックします。




次に、入口でチケットをスキャンします。電子チケット(QRコード)形式になっています。スクリーンショットにより保存できない「動的QRコード」を採用しています。マスク着用が必須のため、入口で5枚10元(約160円)で使い捨てマスクを販売しています。マスク価格はかなり良心的です。地下鉄ではマスク着用が必須なので、マスクを持参していない人はほとんどいないと思います。


定員の30%しか観客を入れてはいけないため、一列ごとに空席を作り1席ずつ間隔を空けています。観客席は2010席ありますが、3分の1しか観客を入れないと、かなり閑散とした雰囲気になります。熱気には欠けるし、観客が立てる小さな音まで響いてしまいます。
2階席から見た客席:


1席ずつ間隔を空けるため、使用しない席にはテープが貼られています。テープに書かれた文字は、このミュージカルのテーマ・メッセージである「どんなことでもまだ実現できる!」。


使用しない列は立ち入りできないようにされています。


上海文化広場は公式Weiboでも、劇場側がコロナウィルス予防のため様々な対策を講じている様子を細かくアップしています。
https://weibo.com/shculturesquare

ここまでの対策ができる恵まれた条件を備える劇場はごく少数です。設備の整わない古い劇場や小さな劇場は、コロナ対策基準を満たしつつ商業公演を打つことは人的な面でも資金的体力の面でも難しく、演劇・ミュージカルの世界全体をみると依然として厳しい状況が続いています。
コメント (2)
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