上海阿姐のgooブログ

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中国演劇版「東京ラブストーリー」上海で上演 ~日本ドラマのバイブル

2011年11月17日 | エンタメの日記
11月13日(日)上海の蘭心大劇院に「舞台劇 東京ラブストーリー」を観に行ってきました。

タイトル  :経典愛情話劇 「東京愛情故事」(ラブストーリーのバイブル:「東京ラブストーリー」)
言語    :中国語(北京語)
上演日   :11月11日~19日 19:30~ (公演時間約2時間半)
チケット  :380元、280元、180元、100元
場所    :蘭心大劇院 (座席数500~700席くらい)
主催    :錦輝伝播、星尚伝播





今年の9月頃から、「東京ラブストーリー放送20周年を記念して、舞台劇版の東京ラブストーリーが11月に上海で上演される」という情報が流れていました。それと同時に9月の時点で「赤名リカを探せ」というタイトルで、ヒロイン役を募集するイベントが企画されていました。しかし「11月に上演するのに、9月にヒロインを公募してて大丈夫なの?」という声が一般からあがるほどで、結局ヒロインの赤名リカ役は、主催であるテレビチャンネル「星尚」の女性司会者・雅静(ヤージン)が演じることになりました。雅静は国立の演劇大学・上海戯劇学院の卒業生でもあります。

舞台版東京ラブストーリーが中国の制作で上演されると聞いて、面白そうだなとは思いましたが、

全11話のドラマのストーリーをどうやって舞台劇に収めるのだろう?
ドラマのイメージを損ねない舞台が果たして作れるのだろうか?

と心配もありました。実際観てみると、なかなか上手く出来ていました。

ドラマの中の名ゼリフや名シーンをつなげるような形で話を展開させ、観客は舞台上でドラマダイジェストを見ているような気分になります。
舞台セットは至って簡単なもので、主に登場人物の自室とオフィスで構成されています。背景スクリーンに夜の東京タワーや首都高を疾走するようなイメージ映像が使われ、こちらもシンプルながら作品の雰囲気によく合っていました。音楽は小田和正の「ラブストーリーは突然に」だけでなく、ドラマのサントラも使われていました。この音楽効果は大きいです。これで否応なしに「東京ラブストーリー」の世界に引きずり込まれます。

リカ、カンチ、三上、さとみの主要キャラクター4人を演じる役者さんたちは、全体的にいうと中国のテレビ局で放送されていた、中国語吹き替え版の雰囲気に非常によく似ていました。まさにドラマのごとくセリフを中心に展開される劇であり、歌唱やダンスが入るものではありません。音楽が効果的に使われてはいますが、役者が歌うわけではないのでミュージカルとは違います。
ファッション、髪型、仕草なども、ドラマのイメージをそのまま取り入れて、リカの紺ブレ、カチューシャ、チノパン、カンチのオーソドックスなスーツ、さとみのロングスカートなど上手く再現していて、相当研究したんだろうなと思わせます。
特にさとみ役は、髪型からファッション、しゃべり方、仕草まで有森也実にそっくりでした。有森也実が中国語しゃべってるのかと思うほど、さとみの雰囲気を忠実に再現していて、視聴者に嫌われるところまでそっくりでした。

一番面白かったのが、さとみが三上と別れた後、カンチと2人きりで部屋で過すシーンです。カンチに依存するさとみのセリフに、劇場全体からざわざわっとブーイングが起きたのです。

やっぱり皆、さとみが嫌いなんだな・・・

お客さんのほとんどが中国人の30歳前後のカップルだったのですが、お客さんの反応からいかに皆が「東京ラブストーリー」を愛しているかが感じられました。中国の東京ラブストーリーファンが劇場に集まって、みんなで一緒にドラマのダイジェストを見ているような錯覚に陥りました。

舞台の演出は基本的にはドラマに忠実ですが、ベッドシーンに関わる表現がほとんどないので、ドラマよりもプラトニックな面が浮き出ています。また、カンチとさとみが結婚したという結末も舞台では描かれておらず、名前を彫った校舎がなくなっても、時が過ぎ去っても、思いは永遠に残る・・・というメッセージが最後に残ります。それは、20年の時間が経っても、この日本のドラマが与えた感動は今も心の中にある・・・というドラマへの思いと重なります。

11月13日の公演を見ましたが、その翌日に日本のネットニュースでこの劇が著作権関係で問題になっているという記事を見ました。びっくりしました。上海のテレビチャンネル「星尚」の企画として舞台劇版・東京ラブストーリーを上海で上演するということは、9月頃から話題になっており、鈴木保奈美が上海に来るかもしれないという話も出ていたほどです。「星尚」は上海最大手のメディアグループSMG(Shanghai Media Group)旗下のテレビチャンネルで、上海ではメジャーなメディアの一つです。流行、ファッション、グルメ、カルチャーなどを中心とした番組を放送しており、雑誌媒体も持っています。日本のファッションや食べ物などもよく紹介しています。
9月6日に中国のネットニュースで報道された記事には「東京ラブストーリー放送20周年を記念して、星尚と錦輝メディアとフジテレビが提携して、「舞台劇 東京ラブストーリー」を制作し関連イベントを行う」と書かれています。
ニュース記事URL(新浪娯楽 2011年9月6日):http://ent.sina.com.cn/v/2011-09-06/11033408875.shtml

劇場の看板には「原作:柴門ふみ(中国語表記では柴门文)」と書かれていたので、看板を見たときは原作者の許可は取っているのかな?と思いましたが、たしかにフジテレビの名前は見当たりませんでした。

ここ最近も上海のテレビチャンネルではよく「東京ラブストーリー」を再放送しています。いま見ても面白いし、「携帯のない都市生活」というものが新鮮に映ります。「東京ラブストーリー」が放送されたのは1991年です。大ヒットしたこのドラマ、当時は多くの女性がリカの髪型の真似をし、「紺ブレ」を羽織って街を闊歩したものです。その影響力は海外にも広がり、このドラマを見て日本に興味を持った、日本語を勉強するきっかけになったという人がたくさんいます。
公演の5日前にチケットを買いましたが、その時点で100元と180元の席は全日程ほぼ完売でした。よく売れてるなと思いました。
制作から20年が経っていますが、中国の視聴者が憧れたあのドラマの中の「東京」は色褪せることなく、今も舞台化されるほどの魅力を放ち続けています。
コメント (10)
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