上海阿姐のgooブログ

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五月天(Mayday)ノアの箱舟ツアー ~ 欧米ビッグネームより、中華圏の“ロック”はやっぱり五月天。

2013年08月28日 | エンタメの日記
8月21日(水)にエアロスミスが上海公演を行う予定でしたが、公演の2日前になって公演キャンセルが発表されました。
エアロスミスの公式サイトにはメンバーが「上海・台北公演の中止が決定した。中国公演は長年の夢だったのに非常に残念」「いつか必ず上海・台北公演を実現させたい」といったメッセージが発せられました。
公演主催者からキャンセルの理由が正式に発表されなかったため、キャンセルの原因について関係者の様々な推測がネットニュース上に飛び交いました。「契約上、集客率が7割以上に達することが条件になっていたが、チケットの売行きが悪く条件を満たせなかった」ことがキャンセルの原因という説もありますが、別の関係者は「そのような条項は普通は契約に含まれていない。含まれていたとしても形式上のものに過ぎない。」と反論しています。また、会場の虹口サッカー場のキャパは2万4千以上とされていますが、5000枚程度しか売れていなかったとも報道されています。しかしこれについても、「最後の数日で(値下げをするなどして)大量に売りさばく方法はあったはず。たとえ5000枚しか売れていなくても、主催者は公演を放棄するべきではなかった。」という意見もあります。(参考ニュース 中国新網 網易娯楽 新浪娯楽

チケットは払い戻しされましたが、チケットの郵送料、コンサートに行くための交通費、ホテル予約などのキャンセルの手間はすべてのファンの負担となり、2日前に公演中止するのはいかがなものかと批判の声が上がっています。

8月は「欧米大物アーティスト」が次々と上海で公演を行いましたが、興行成績的に上々だったのはメタリカだけだったと言われています。あるネットニュースでは「世界に名高い欧米ロックも、中国市場では五月天(MayDay)、蘇打緑(SODAGREEN)には敵わないようだ」などとも書かれています。

五月天(Mayday)は中華圏で非常に人気があるバンドです。1999年に台湾でデビューして以来10年以上、C-POPグループの中で圧倒的な人気を持ち続けています。メンバーの兵役が終わり台湾復帰を果たした後、本格的に中国大陸進出し、今では中国のあらゆる都市でライブを成功させています。

中華圏ではマヤ暦人類滅亡説をモチーフにした映画『2012』(2009年公開)が大ヒットし、ノストラダムスの大予言的な社会ブームを巻き起こしました。そんな中、五月天は2011年末に「諾亞方舟」(ノアの箱舟)という曲を発表し、終演と再生、別離と永遠を歌ったこの曲は、2012年度台湾金曲奨を受賞するなど高い評価を受けました。

五月天は2011年12月に台北から「ノアの箱舟(NO*W*HERE)世界ツアー」をスタートし、映画『2012』で世界の末日とされた2012年12月22日には、台湾高雄スタジアムでライブを開きました。この日を境に、後続版である「ノアの箱舟 再生の明日」ツアーをスタートさせ、合計約1年10カ月に渡る世界ツアーは「40都市71公演、248万人を動員」したと言われています。今年8月17日(土)に北京国家体育場(鳥の巣)で行われた公演が第67回目の公演で、9月に台中で4公演が控えています。
■ノアの箱舟ツアー2013  ■ノアの箱舟・再生の明日ツアー2013
  

約2年間で40都市71公演というと、ほとんど毎週コンサートをやっている計算になります。そして、71公演で248万人動員ということは、1公演平均3.4万人動員したことになりますが、71公演のほとんどがサッカー場やスポーツスタジアムなど屋外大型スタジアムで行われています。
2年弱のツアーで訪れた40都市のうち約3分の2は中国の都市です。例えば2012年3月のスケジュールをみると、
2013年3月2日~3日 マレーシア、3月9日 杭州、3月16日 雲南省昆明、3月23日 貴陽、3月30日 重慶という具体に、まさに大陸横断しています。

私は第29公演2012年10月5日上海虹口サッカー場公演と、第63回公演2013年7月20日上海8万人体育場公演に参加しました。
彼らはこの2年間、ほとんどの時間をライブツアーに費やしていたので、新しいアルバムを出さない状態で上海にまた戻ってきたことになります。2013年7月20日の公演に行ったときは「去年とほとんど同じ内容なのかな」と思ったのですが、全く違う内容でした。

7月20日の上海8万人体育場の五月天ライブが、本当に素晴らしいライブでした。
どでかい屋外スタジアムが最後方ブロックまで満席、PA、映像効果も申し分なく、特製オフィシャルペンライトによる演出、超巨大モニター、移動舞台など、大スタジアムに合わせた工夫と演出がこらされています。バンドライブなのですが、年々ショー的な要素が強くなっていると思います。

■上海8万人体育場 


■五月天のイメージカラーは青。


■特製オフィシャルペンライトは自動的に色が変化。ステージ左右に超巨大スクリーンを導入。


■移動ミニステージ式車両でゆっくりスタジアムの外周を一周。これがノアの箱舟か・・・?


■アンコールから雨が降り始め、終わった頃には小雨になっていました。


五月天のライブは長いです。最低でも3時間半、長いと4時間やります。終演は早くて夜11時、遅いと夜11時半を過ぎます。もちろん地下鉄はなく、4~5万人の観客によるバスとタクシーの争奪戦が行われます。

約3時間半のライブで「五月天ワールド」に洗脳されます。
五月天の曲の歌詞はほとんどボーカルの阿信が書いていますが、とにかくいい歌詞なのです。誰にでもある恋愛、友情、別れ、挫折などをリアルかつ詩的に描き、独自の世界観を作り上げています。成長をテーマにした曲も多いかもしれません。五月天の歌詞を理解する、ただそれだけが目的だとしても十分中国語を勉強する価値があると思います。それくらい素晴らしい歌詞なのです。(五月天は「台湾のミスチルまたはGlay或はB'z」などと喩えられることが多いですが、バンドのブランディングなどはラルク・アン・シエルのやり方に似ているような気がします。)
ロックバンドに分類されますが、歌詞も楽曲もソフトで、社会的なメッセージとは距離を置いていたことが、中華圏で幅広く且つ長い人気を得られた秘訣かもしれません。

五月天と日本の縁は深く、アルバムを日本で録音したり、日本旅行のフォトブックを出版してたりします。最近は定期的に日本でもライブを行っています。中華圏では五月天のライブといえば最低でも1万5千人クラスのアリーナホール、北京や上海では3~5万人クラスの屋外スタジアムなので、千単位のホールでライブを真近に見ることができるのはものすごく貴重なチャンスだと思います。

おまけ 五月天が出ている広告

■台湾、中国大陸:ファミリマート(全家) ■中国:乳製品メーカー 蒙牛
  

■中国:カップラーメン大手の康師傅。
五月天は中国では食品のコマーシャルにやたら出ています。食品広告のデザインは全体的にいまいち。「商品が何か分ればいい」というかんじ。


■中国:コカコーラ


■台湾:カシオ G-SHOCK
コメント (23)
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