グリーンブレーカーズ by 高木肥料店

農業の現場の おはなしなどなど。

作物を喰う蛾。大量発生中。。

2016-09-29 16:18:22 | Weblog
作物を喰う蛾。大量発生中。。

猛暑と少雨という条件のもとでは、とくに作物を食害するイモ虫が
大発生しやすい・・・という話を前回おつたえしましたが、まさに
そういう気象条件のなかにあった西日本では、作物を喰う蛾の幼虫
が大量発生し、注意報が発令されています。

9月27日現在において、その病害虫発生注意報が出されているの


 岡山・山口・徳島・香川・岡山・愛媛[瀬戸内海沿岸部ですね]
 そして 神奈川・三重・岐阜・滋賀 

の、10県となっています。そして本日29日には、あらたに佐賀
県で発令されました。

今回問題となっているイモ虫は、「ハスモンヨトウ」の幼虫。多く
の野菜類に加えて大豆や果菜類、さらにはかんきつの葉などもたべ
てしまうという汎用食性の、最終的には4センチ前後となるイモ虫
です。

 今後も1カ月は平年よりも高い気温が続くことが予想される

という気象条件がつづいてることもあり、薬剤の効きやすい小さい
うち
・さらには 産みつけられている卵からかえった幼虫が分散し
ないでいるうち
の 早めの防除 が、作物の順調な生育を助ける栽
培上のキイポイントとなりそうですよ。

 
kkkkkkkkkkkk

ちなみに、今回のように瀬戸内中心に発生していた「ハスモンヨト
ウ」が、神奈川・三重・岐阜・滋賀 などに広がった原因は、風
西から東に横断した台風16号の風に乗った「ハスモンヨトウ」の
成虫が移動先で産卵し、その卵が孵ったからだと推測されています。


◎ 夏も終わりに近づいているので、「ハスモンヨトウ」に
  かぎらず、最後のチャンスに子孫を残そうと虫たちも必死
  ・・・というところですね。

 51P4M6yKWYL__SL500_SS75_.jpg 「夢で終らせない農業起業」「里地里山複合大汚染


猛暑と少雨で・・・・元気な虫たち。

2016-09-28 18:52:55 | Weblog
猛暑と少雨で・・・・元気な虫たち。

8月後半に台風がやってくるまで]夏の高温と少雨の影響で虫、とくに
イモ虫類が激増していた2016年の西日本。そんな状況関連として、
やはり干ばつ気味で虫類が大発生していた 2013年8月の当ブログ
記事の再掲載 
となります。本年のご参考として、よろしかったら。



『猛暑と少雨で・・・・元気な虫たち。』

7月8日の梅雨明け以来、少雨の続く九州南部。8月はじめに発表された
降水量は統計史上最小の平年のわずか13パーセントという状態でした。

8月にはいっても、この天候の少雨傾向は変わらず、とくに水分をほしが
る作物であるサトイモ〔3月植え〕では、収穫量が大きく落ち込む事態に
陥っています。


 県内猛暑.jpg


これいじょうの水不足の影響を避けるために、せめてサトイモの品質を確
保しようとして収穫が前倒しされていることも、収穫量が減少している原
因なのではあるのですが・・・それでもイモの小玉化〔価格が安くなる〕
の傾向は避けられない様子であるようです。

それではサトイモとは逆に、雨のおおい気候を嫌うサツマイモの生育はど
うでしょう。8月にはいると、4月にマルチ栽培で植えつけられたサツマ
イモの収穫が始まるではないかと思ったところ・・・


のののののののののののののの ツルだけになったサツマイモ.jpg


 葉っぱはもちろんのこと葉脈もなくなって、葉柄だけ ↑

になったサツマイモ畑が、けっこう目につきます。

これは エビガラスズメ と、ナカジロシタバ という、大型のガの幼虫の
食害にあったせい。5月から6月の越冬世代の子どもである7月生まれの
第一世代が少雨と高温のために大発生したのが原因です。


 スズメガなど.jpg 


とくに左2枚の体長が9センチ近くになるエビガラスズメの、葉脈も食べ尽
くすというその旺盛な食欲ぶりには、ただただ圧倒されてしまいます。

ということで今回は、少雨と高温が 

  作物自体の収穫量の不作と品質の低下
  害虫の大発生という2次被害を受けることによる作物のさらなる減収

を招くというケースをお伝えしてみました。

・・・エビガラスズメは、幼虫が生長して 蛹/サナギ になる段階とな
ると、蛹化する場所を求めて、イモ畑からぞろぞろと這い出してきます。
もちろんイモの地上部を食べつくした場合は、老齢幼虫でなくても、這い
出して次の畑へと移動していきます。

思いのほかに早いペースで高温化のすすむわが国。

数年後の夏にはそんな南九州の今夏の光景が、全国のここかしこで見受
けられるようになっていくのかもしれません。


◎ それにしても雨です。平年であれば 気にも留めない降雨で
  ありますが、降らなくなってみるととたんに、そのありがたさが
  身に沁みるものですね。

 51P4M6yKWYL__SL500_SS75_.jpg 「夢で終らせない農業起業」「里地里山複合大汚染




“農林水産物の輸出促進”の内容は。

2016-09-27 23:26:31 | Weblog
“農林水産物の輸出促進”の内容は。

安倍首相の国会における所信表明のなかで、『三年連続で過去最高を
更新してきた農林水産物の輸出は、本年も、昨年を上回るペースです。
TPPの早期発効を大きなチャンスとして、一兆円目標の早期達成を
目指します。その先には、欧州とのEPAの年内大筋合意を目指すな
ど、「良いものが良い」と評価される経済ルールを世界へ広げ、おい
しくて、安全な日本の農林水産物を、世界に売り込みます。
』と表明
され、世間一般にも認識されはじめた農産物輸出。しかしその実態は
実際にはずいぶん印象とちがう
 ということを説明した回となります。
とくに首相の話を鵜呑みにされてる若い農業者の方々への参考記事と
して
、7月分参院選中の回の再掲載ですが よろしかったら。。

 ↓

2012年に発足した第二次安倍政権のもとで 推し進められている
「攻めの農業」。その政府の姿勢を象徴するものが “農林水産物の
輸出促進”です。

今回は 2015年に7000億円を超えを果たした、この農林水産
物の輸出の伸びと内容の実態を 2014年の12月に 発表された
2013年の統計を使ってみていくことにいたしましょう。

ののののの攻めの実態5

まずは 為替相場と輸出量の変化が合わさったこのグラフです。

当然のことながら円安は輸出に有利に働きます。おおむね認識され
ているのが

 1円の円安で 輸出量は 約25億円増加する

というもの。ということで、たとえば25円の差がつけば[円の相場
が100円のときと125円のときでは]625億円のちがいがでて
くるということになります。

つぎに注意したいのが、いわゆる “農林水産物” の内訳です。たと
えば このグラフの2013年の農林水産産物の輸出額は5505億
円ではありますが、そこから2216億円の水産物の輸出額と152
億円の林産物の輸出額を引けば、いわゆる農産物の輸出額が3137
億円[農林水産物の55%くらい]ということがわかります。

ののののの攻めの実態4

その輸出される農産物の内訳をあらわしたものが、このグラフです。

まずは半分の金額を占めるのが、加工食品です。味噌や醤油にソース
や お酒にジュースにお菓子など。合わせて1506億円とされてい
ます。さすがに日本製の加工食品は海外で人気があるのだなとおもう
のですが問題があります。

それは加工原料として使われる大豆やおコメなどの約8割が輸入農産
物で製造されていること。これでは国内の農家と農業の利益にはつな
がりません[もちろん加工業者の利益にはなりますけれど]。

次にとりあげるのが、輸出額が70億円となっている穀物類です。

小麦粉やインタントラーメンにうどんやコメなどがこれにあたるので
すが、これらの原料である原料小麦は よく知られているように約9
割が輸入品
ですから、ここでも 国内の農家と農業の利益には直接つ
ながるとはいえない状況にあります[加工業者の利益にはなりますが]。

それから 輸出額が 382億円の畜産物です。

海外で和牛の人気が高いのは周知の事実 ですから、そのほとんどが
和牛の輸出額によるものだと思いたいのですが、実際には

ののののの攻めの実態6

ブタや牛の皮にゼラチンなどの動物由来の副産物が73%ちかくを占
めているのがわかります。またよくよく考えてみれば、これらの家畜
のエサの大部分も輸入
されているわけですから、統計のグラフに踊る
輸入という文字をみるたびになんだか複雑な気持ちにもなってしまい
ます。

攻めの実態1 攻めの実態2 攻めの実態3

ということで 今回説明してきた円安とか原料の問題とか 農産物の
分類とかを かんがみたうえでの結論となるわけですが・・・

ひとくちに農産物輸出が伸びているという事実があったとしても

  実際のところ伸びているのは[輸入原料を使った]加工食品

であり、世間一般的に農産物輸出のイメージがある食肉に果実に野
菜におコメなどの

  生鮮農産物の輸出額は農林水産物の輸出額のうちの1割程度

であることがわかります。

以上、 今回は “大切な農業を守るためにしっかりと改革し攻めて
いかねばならない
” “2020年を1年前倒しして1兆円を達成し
ていく
”というぐあいに、選挙を控えてますます熱気をおびていく
安倍首相の街頭演説における「攻めの農業」の象徴ともいえる“農林
水産物の輸出促進”の実態を、2013年の資料をもとに考察してみ
ました。

ちなみに参考資料として では 輸入はどうなっているの回はこちら
品質さえ優秀なら輸入がふえても大丈夫の回は こちら。です。


◎ 大部分の農家のみなさんが “実感できない”と 口にされる
  ことが多い農産物の輸出増。その感触は、アベノミスが実感
  できないという、あの感覚に似ている
気がします。

51P4M6yKWYL__SL500_SS75_.jpg 「夢で終らせない農業起業」「 本当は危ない有機野菜




手入れ不足の「山」や「水路」が招く水害。。

2016-09-25 23:03:48 | Weblog
手入れ不足の「山」や「水路」が招く水害。。

河川を通じて海に流失した丸太や立ち木が、港の機能や船の航行、そ
して漁業の障害になるケースをお伝えした2007年の記事。こちら
今回は、その回の前後に掲載した記事となります。それから10余年
・・対策がなされぬままに、いまや被害は全国区となった観ありあり。
ということで、 こちらも ご参考までに よろしかったら。

 

手入れ不足の「山」や「水路」には 要注意!

手入れ不足の人口林が原因とおもわれる豪雨災害が増えています。
被害拡大のメカニズムはつぎのとうり。

 山林が大雨で崩壊 → 流木が河川に流失 → 流木が橋の橋脚に
 ひっかかり → 川の流れをせき止める → 橋が急激にダム化して
 水かさが増す → 氾濫 → 濁流が田畑や住宅地に押し寄せる 

と、いった図式です。2005年の7月9日から10日にかけて大
分県を襲い、死者は4人・行方不明者1人を出した豪雨災害は、ま
さにこの典型的なものでした。
現地の土木事務所・林業試験場の見解はつぎのように。

10日未明に降った1時間に84ミリという強雨の影響で九重町の
 山林約32ヘクタールが崩壊、玖珠〔くす〕川に多量のスギ・ヒノ
 キが流れ込み、豊後渡橋の橋脚に集積、水をせきとめる形となり
 氾濫をひきおこした。
』 

と、いうものです。

直径20~30センチのスギ・ヒノキが現場には山積み状態。数が
多すぎて流木の数もわからない
」との現場での土木事務所関係者の証
言から、この流木が本来は、管理面からいって伐採されるべき細い木
であったことが分かります。適切な間伐がおこなわれない密植された
人口林では、地表に日光さえ差し込まない状態であるために樹の根張
りが悪くなり、結果として地盤の弱体化をひきおこしてしまう
のですね。

以上、手入れ不足の人口林が原因とおもわれる豪雨災害の被害拡大
メカニズムをお伝えしました。


◎ 衰退していく一方の 農業や林業を振興すること。プラス
  して 大規模化・機械化と併せて、いろいろな業態の農家
  を維持していくこと。それはおおきな自然災害を防ぐこと
  につながります[水路の維持管理にはとにかく大人数が必
  要ですから
]。


51P4M6yKWYL__SL500_SS75_.jpg 「夢で終らせない農業起業」「里地里山複合大汚染



流木。豪雨災害の置き土産。

2016-09-25 14:45:26 | Weblog
流木。豪雨災害の置き土産。

台風や集中豪雨があった後に、おもに港での船の航行に支障をきたす
流木の問題。最近ではあたりまえすぎてニュースとして発信されるこ
とすら少なくなるほどに全国各地で問題となっていますが ・・・ 
今回はまだニュースとして発信されたていたころの2007年前後の
再掲載の回となります。ご参考までによろしかったら。

 ↓

『流木。豪雨災害の置き土産。』

台風や湿舌などの豪雨を伴う水害の置き土産となるもの・・・それが
流木です。 

流木.jpg

映像は2007年7月に宮崎を直撃した台風4号・5号における台風
後の海岸の様子です。このときに宮崎県の県北部の海岸では、このよ
うな情景がそれぞれの大きな川の河口付近に数キロメートルほどの長
さにわたって続いていたものでした。

山から流れでる無数の流木は、まずは海に運ばれ、その後このように
大量のごみに混じって、海岸線に打ち上げられるのです。

この流木が再び海に流れでると、船にぶつかれば船体を傷つけるのは
もとより、スクリューやシャフトといった船の動力関係部分を壊して
しまう危険性があります。またひっかかって魚網を破ることによる漁
業関係の被害を引き起こす場合もあります。

そこでこの流木の山がでるたびに、県や市町村の職員をはじめ、地域
住民や各種団体がボランティアでかたづけることになるのですが、

 数百人の作業人員がでて大量のゴミを作業し、回収された流木は
 大型トラック数10台分にも上った


などといった光景が繰り広げられることになるんですね。

残念な話しではありますが、このような光景は、もはや地方ではちょっ
と激しい水害がくる度に繰り返される日常になっています。
そしてこれからはこういった流木のニュースは、皆さんお住まいの地方
でも、そして大都市圏であっても、ふつうにおこってくることになる。

そう、それはこういった災害の原因が、「日本の国土に高い割合で存在
している人工林がある
」こと、そして「放置された人工林が日本中に増
え続けている
」ことにあるからです。

そういった意味では、海に流れ込む多量の流木が引き起こす災害は
人為的な環境破壊が引き起こす災害”、すなわち人災でもあるといえ
そうです〔水害そのものも人災の部分がおおいのかもというおはなし
は こちら 
〕。


◎ 2007年9月のニュースですが、「関東を直撃した台風9号の
 影響とみられる大量の流木などのごみが東京湾で確認されました。
 場所は千葉県船橋市日の出の千葉港葛南港区で、幅約700メー
 トル、奥行き100メートル前後の帯状になって滞留しています

 というものを記憶しております。

51P4M6yKWYL__SL500_SS75_.jpg 「夢で終らせない農業起業」「里地里山複合大汚染