グリーンブレーカーズ by 高木肥料店

農業の現場の おはなしなどなど。

動き始めた木材需要。

2015-02-27 18:31:43 | Weblog
動き始めた木材需要。

日本を代表するスギの丸太の主産県である宮崎県。 そんな宮崎県の[主要な
国道や県道ではなく
]山間部の農道などを走行していて目につく風景が、これ。

のの 山 4

そう、伐採された丸太。

 山 5

ちかよってみると、かなりの量であることがわかります。

のの 山 6

径もけっこうでかい んですよね。

この集積してある丸太のある場所から、車を離しつつ

のの 山 3

すこしづつ・すこしづつ 遠くに離れて

ののの 山 2

ズームアウトしていくと・・・

のののの 山 1

このように、あたり一面が伐採された[数年前には予想すらできなかった
このような光景が広がります。

そう、いま宮崎県では、丸太の需要が[急・急・急増というかんじで]急増
しているのです。

そして木だけに気になるのは、この丸太の需要急増の理由ですが

 ■ ここのところの円安による外国産材のコスト高による需要減
 ■ 低質材を原料とするバイオマス発電施設[現在県内5ケ所]の稼働開始
 
そして、なんといっても

 ■ 中国向けの輸出急増

などがあげられています。この中国向けの輸出を数字で追うと

 2012年  2013年  2015年
 6000弱  23910  50000強 [立法m]

となるのだそうで、そのあまりの増加ぶりには驚かされるしかありません。

それは、「伐採された山を みるようになってきたわけだな」と、だれしも
を納得せしめる数字でありました。

つづく。


◎ そして価格ですが 県の森林市場によれば 12年度・8300円、
  13年度・10300円、そして14年度は12000円になった
  のではないかと予想されています。 → 参考資料は こちら 。


 51P4M6yKWYL__SL500_SS75_.jpg夢で終らせない農業起業」「里地里山複合大汚染







ミネラルをやっても効かない時は。

2015-02-24 10:55:47 | Weblog
ミネラルをやっても効かない時は。

ひつづきミネラルのはなしです。微量要素欠乏がでやすい今の時期の
参考としていただければ幸いです。

 ↓

「作物の栽培中に マグネシウム欠乏や石灰欠乏、ホウ素欠乏がおこ
 ったので、それらのミネラルを補給してみたのだが事態が改善しな
 かった。そこで翌年の作付けでは、ミネラル欠乏の起こる前にあら
 かじめ予防的にミネラルを補給してみた。しかし、それでもミネラ
 ル欠乏がおこってしまった」

などという、ご相談をうけることがあります。

こういった場合に考えられるのは、このシリーズですでにご紹介した
ミネラルの間の派閥争いのためと考えられます。そしてそれに加えて
もうひとつ。

 土のPHの影響

があげられます。じつはいくつかのミネラルは土のPHが中性である
7以上になると不溶化[水に溶けにくくなる]してしまうことで、結
果的に作物にされにくくなることがわかっています。そういう状況で
あれば当然のことながら

 予防的に使用しても作物に吸収されにくいために欠乏症状を示す

という状態になってしまうこともある。ちなみに下の図は、そのよう
な土のPHの影響下におけるミネラルの溶け具合をしめしたものとな
ります。

のののの 
ミネラルとPH

とはいっても、なかなかわかりにくい図だと思われますので簡単に
いえば

 ● 作物に必要なミネラルの多くは PH6.5で よく効く
 ● 土がPH7.0以上で、不溶化してくるミネラルが増える

といったかんじでしょうか。

実際のところ、ハウスの土の検査をいろいろな場所やいろいろな時
期に こなしてみれば、個人的には

 ● ミネラル不足は土がPH7.0以上の状態でおこりやすい
 ● むしろ成績の良いのは、PH5.5からPH6.5くらい
 ● 作物が小さいうちは、土のPHは、5.5くらいがよい

という見方・とらえ方を しております。

ということで今回は、ミネラル欠乏がおこる原因には[ミネラルの
あいだの派閥争い
だけではなく]作物の植えられている土のPHも
影響しているものだという、おはなしでした。

といことで次回は、その対策を。


◎ ヒトの手にもやさしいのは微酸性・・・みたいな、そんな
  せっけん類のCMがあります。
  今回のはなしも、そんなかんじでかんがえるのもよきかもし
  れませんね。

51P4M6yKWYL__SL500_SS75_.jpg 「夢で終らせない農業起業」「 本当は危ない有機野菜




花粉症の季節に思う、山林の所有者責任。

2015-02-22 16:29:10 | Weblog
花粉症の季節に思う、山林の所有者責任。

山の問題の資料として、前回にひきつづき2005年11月の当ブログ記事
の採録です。内容は当時のままですが、よろしかったらご参考に。

 ↓

『森林は私たちの生活に欠かすことのできない大切な財産です』といったよ
うな文言をよく聞かせられますか、この森林に持ち主がいるのはご存知です
か。こう聞くと、山は国民一人一人のもの、つまり国の財産である国有林だ
けだと思いがちですけれど、実際はちがいます。

このあたりが『海』や『川』といったものとは ちがっているのです。

例えば、海。「ここの海はうちの海だ」とか、「あそこはこの地区の漁業協
同組合の海」・・なんて話は聞いたこともありませんし、またありえない話
です。ところが山、山林には所有権があるのです〔個人的に考えると、海
よりも、山のほうが、より国民の生活に関係しているはずなのに〕。

現実には

 我が国の森林のうち約3割を占めているのが国有林、残りの7割は民有林

ということになります。もちろん、ここでいう個人のなかには、国以外の都
道府県・市町村等が所有する森林も含まれてはいますが、おおまかにいえば
民有林のうちの約8割が 林家や会社・社寺・団体等の、いわゆる個人の所
有ということになっております。

ちょっと乱暴ないい方かもしれませんが、この説明を簡単にいえば

 つまり日本の山のうち過半数以上が団体や個人の持ち物

ということになるわけです。

前置きが長くなりましたが、この個人の持ち物である山の荒廃が、いま問題
になっているのです。

個人所有林の荒廃を具体的にいうと、

 ○ 天然の広葉樹林の伐採
 ○ 密植されたスギ・ヒノキの管理〔枝打ち・間伐〕不足
 ○ スギ・ヒノキ伐採後の未植林
 ○ 台風後の風倒木の未処理
 ○ 山林の境界が不明確
 ○ 不在地主の増加

などが挙げられているということですね。

たとえば2000年の資料でみると、3ヘクタール以上の森林経営者でさえ、
作業実施状況間伐を実施したと回答しているのは、わずか17.7%!にし
かならないということが報告されています。
もちろん、残りの8割の山では、間伐しなくてはならないにもかかわらず、
実際の間伐作業はおこなわれていないということになります〔当然枝打ち作
業は、もっと実施されていないことになります
〕。

さらに樹木伐採後3年以上も造林が行われずに放置されている民有林は、
2003年3月末で2万5000ヘクタール。その面積は実際に伐採される
山林面積の約4分の1にもなり、4年前の調査と比較して12%も増えてい
ることが明らかになっています。

なぜにこうも管理がされていないのか・管理しないのかと思いますよね。

そういった点を所有者に問い詰めると、個人所有林の管理不足の原因や理由
として、「木材価格の低迷」 のひとことで終わらせられることがおおいの
です。つまり「手入れの経費もでない」・・。さらに「山を売却しようにも
買い手がいない
」・・という答えがつづきます。

「そんなこといっても、しょうがないじゃないか」と、まるで えなりかずき
くんのセリフ状態。

ここ数年来、花粉症の患者の増加が毎年報告され、さらには日本各地で頻発
する大雨による土砂崩れや台風による洪水、河川やダム湖への風倒木の流れ
込み被害。
これらの事象はけして偶然などではなく、放置された民有林による影響が
かなりの割合を占めてきているのではないかと、花粉症の方をみるたびに、
そして山の管理の作業実施状況の資料を見るたびに思います。

そして思うのです。。山林の管理は、災害の防止機能や水源かん養機能と
いった国民の生活に密接に関連している重大事項なのですから、ことここ
にいたっては『山の所有者に対して、山の管理に関するなんらかの法規制』 
や『持ち山にたいする所有者の管理責任』 を 考えべき時期にきている
のではないのか、と。

たとえば 車です。

自動車を運転するには運転免許を持ち定期整備や始業点検をすることが義
務付けられています。それは自動車事故を起こすと、自分が困るからという
よりも、他人に損害を与える危険があるからです。同じように自分の所有す
る山林が、自分の管理不足により他者の生命や他者〔社会〕の所有する財
産に対して害を与える危険があると予想される、または明らかに害を与えた
と判断される場合は、法による罰則があってしかるべきだと思うのです。

このまま個人所有林の荒廃がすすみ、その荒廃に対する所有者責任が問わ
れない状態が続いていくものとすれば、日本における風水害や土砂災害は、
年とともに拡大し続けていく
に違いありません。なにせ国土面積の7割以
上が『山』という、日本はりっぱな山地国 なのですから。


◎ 木材価格の低迷という環境下でも、きちんと山林管理を実施している
  山林所有者もいらっしゃいます。この方たちの努力に報いるためにも、
  「管理不足に対する罰則制」は必要だと思います。それが公平という
  ものではないでしょうか。
  そのような現状のか、一部の都道府県では、「水源の森林づくりとし
  て私有林への公的管理・支援」が実際におこなわれ、さらに「森林環
  境税の新設」などといった新税論まで唱えられる始末。この『山林所
  有者へ優遇体制』って、いったいなぜ?

 51P4M6yKWYL__SL500_SS75_.jpg夢で終らせない農業起業」「里地里山複合大汚染


スギ丸太の中国輸出で環境を守る。

2015-02-21 02:47:20 | Weblog
2005-06-14 スギ丸太の中国輸出で環境を守る。

次回の参考として、今回は2005年05月の当ブログ記事の採録です。
内容は2005年当時のものとなります。

 ↓

『スギ丸太の中国輸出で環境を守る。』

木を使わないでいると、山に入って木を切る人がいなくなる。すると、山の
手入れが行き届かなくなり、山が荒れてしまうんです。山が荒れると、川が
氾濫し、結果的に海の生産性も落ち込んでしまいます。
間伐材や山の木を使うことが、「山」「川」「海」の保全につながる・・と、
こういうわけです。

さて、2005年。
現在の日本の山の概況は・・・どうなっているのでしょう。

数字でみてみます。日本人一人当たりの国産材の利用率は30年前の3分
の1、用材自給率は30年前の18パーセントしかありません。そう、この
数字が示すように、今日本の山は荒れに荒れているといった状況なのです。

最近災害が多いはずだと、妙に納得させられてしまいますね。

そこでです。

日本の自然を守る〔自然山を保全し災害を防ぐ〕ために国産材の需要を
増やすには、いったいどうしたらいいのでしょうか。

この問題を解決するには、方法がふたつあります。

増え続ける外材の輸入を停止すること〔可能であるならこれが一番〕、それ
に、間伐材を徹底利用することです。二つの方法のうち、より現実的な間伐
材の利用例について現場では新しい取り組みが始まっています。その取り
組みについて、ご紹介しましょう。

なかでも注目されているのは、丸太材の形での中国への輸出です。

なにせ、中国の経済発展ぶりは世界の経済の牽引車・・おりしも 現地では、
北京オリンピックや上海万国博覧会の開催や住宅着工戸数の増加に伴う
空前の建設ブームが起きています・・。しかも、中国国内の環境問題もあり
ますね。耕地の砂漠化や揚子江の洪水といったさしせまった環境の危機に、
中国政府が全国的に樹木の伐採を1988年以降禁じているのは周知の事実。
しかも、昨年は、中国産の炭輸出も禁止されたばかりです。こういった中国
国内の情勢が、丸太材輸出の追い風となっています。

・・・とはいっても、驚きませんか?
ほんとうに、日本のスギの丸太が中国で売れるのだろうかと。

だって、日本の100円ショップには中国製品が氾濫しています。その中国
に日本製の100円以下の商品を輸出するようなものなんですから。
中国と日本の経済格差をかんがえれば、この商品〔日本のスギ丸太〕は、
中国ではかなりの値段になる・・と思ってしまうのは当然のことです。

ところが、なんとか採算に合うんです。

中国への国産材輸出は2003年、5800立方メートルと前年の10倍以
上の伸びを示しました。なかでも南九州・わが宮崎県がその中心で最近では 
「宮崎スギ広報員」を中国におき、PR活動も行なっているんです。しかも、
中国ですぐ組み立てることができるように、宮崎でカットして輸出する方法
さえも計画中とか。同県の民間企業にいたっては、中国の集積材工場と提携
し、新築マンションの内装材や家具用のスギ丸太輸出契約を結んでいるほど。
・・・世の中かわれば変わるものですね。

というわけで

木材不足の中国と国産材の消費減に伴う荒れた山に悩む日本・・・ここは
ひとつ、お互いの環境を守るためにも、継続していってほしい事業ではな
いでしょうか。

注〕かつて中国は、日本への備長炭輸出国でした。揚子江流域南
  部にウバメガシが自生しており、日本から技術指導を行った結果、
  品質や歩留まりは悪いが備長炭の生産が可能となり、急速に
  日本への輸出を伸ばしていたものです。その量は日本の木炭総
  輸入量の半分以上を占めていたほど。

注〕中国では砂漠化防止と洪水防止のために全国的に樹木の伐採
  が1998年以降禁じられているのにも関わらず、木炭のみならず
  木材の対日輸出量は増加していたものでした。当時、日本の木
  炭輸入関係者に聞くと、中国側売り手の説明では「伐採禁止令
  が出る前に炭に焼いておいたストック品で、違法な伐採による原
  木は使ってない」とのことであった。
  ・・・不法伐採の可能性はおおありですね。この有り様では中国
  の資源が底をつきはじめた話も、納得できる話です。
  「違法な経済活動の影響力の大きさ」を、窺えしる話ですよ。。


◎ っていうか、日本の木材市況/木材相場がいかに低下しているかを裏付
  ける悲しい現実ではあります・・ね、今回のテーマは。

 51P4M6yKWYL__SL500_SS75_.jpg夢で終らせない農業起業」「里地里山複合大汚染


栄養をとりすぎると、作物に支障が出る場合もある。

2015-02-20 16:58:53 | Weblog
栄養をとりすぎると、作物に支障が出る場合もある。


土に栄養が過ぎる状態が続く 〔土に養分が溜まりすぎる〕状態
が続く と・・・つぎのような作物の症状が表れることが まま
あります。

 ● サトイモのイモがまったくなっていない
 ● ミカンを植えたが、実がならない
 ● サツマイモのつるだけがのびる
 ● イネがのびて、穂は遅れてでたが倒伏した
 ● お花の咲く時期に花がこない

こういった状態は「樹ボケ」や「ツルボケ」とよばれてきました。

養分があればあるほど、吸っちゃう。
身体を大きくする方向へばかりに生育がすすむ。

これでは実を収穫するために作物を育てる意味がなくなってしま
うわけです。では、どうすればいいのでしょう。

最初に土の検査をやって、その作物にとって必要な養分を検査す
るという方法
があります。その後必要な養分しか与えない。という
のが、一般的な方法です。もちろん土壌検査なしでもできる方法も
ありますよ。

それが、 生育にあわせて肥料を分けてやる というやり方。

たとえば

 植付け前にある程度施して
 ↓
 樹ボケ、ツルボケにならない程度の生育をはかり
 ↓
 花芽がつきはじめた時点から
 ↓
 植物が利用できる程度に少しづつ
 ↓
 生育に合わせて肥料 を、追肥として ほどこしていく

という具合です。

ということで今回は、「栄養分をやり過ぎたら、植物にも支障がで
る」ことになるし、「その支障がでた植物を食べ続けるとヒトにも
いずれなんらかの支障がでるであろう」というお話しと、その対処
法に関するおはなしでした。

付け加えまして「有機」なら話は別だろうとかんがえているあなた。

じつは 有機の元肥一発施肥が、樹ボケ、ツルボケをひきおこす危
険性は一番高いといえるので注意が必要です。たとえ実がならない
植物〔葉物のホウレンソウやコツナとか〕であっても、硝酸が過剰
になる場合
もありますから注意されてくださいね。もちろん生ゴミ
リサイクル肥料の考え方も同様です。


◎  土のなかに家畜ふん尿由来の塩分やチッソやカリが多過ぎるよう
  になってくると、微量要素欠乏がおこるようになってきますし、ね。


51P4M6yKWYL__SL500_SS75_.jpg夢で終らせない農業起業」「本当は危ない有機野菜