グリーンブレーカーズ by 高木肥料店

農業の現場の おはなしなどなど。

“寒波の春”には、ヒヨドリの群れ。

2013-01-25 14:18:09 | Weblog
“寒波の春”には、ヒヨドリの群れ。

『棚に停まっては 切干ダイコンさえもむさぼり、イチゴのハウスに侵入
 しては、まだ熟れてもいないイチゴの果実をつつく。しまいには公共の
 施設の花壇に植えられたハボタンさえも食い尽くしてしまう』

というふうに 一昨年の冬、異常なほど数で押し寄せ、すさまじい食欲を
みせた鳥がいました。

ヒヨドリ です。

防鳥ネットを張っていたとしても、そのネットをくぐり抜けては農作物を
繰り返し襲うヒヨドリの群れ・・・標的とされた作物の茎葉が みるみる
なくなっていくそのさまには、見ていて“恐怖”を感じましたよ。

そして、2013年01月。昨年12月からの寒波の襲来とともに、日ごとに
この鳥が増えています


ということで、まずは 一昨年のヒヨドリ被害に関する被害の様子のご
紹介です。

 被害例 1

県内有数のキャベツやブロッコリーの産地、糸島市でヒヨドリが収穫
間近の野菜を食い荒らす食害が相次いでいる。同市のまとめでは、最
近の約2カ月間で被害額が4600万円。昨年度のイノシシ被害を既
に上回った。市農業振興課は「この冬は寒さが厳しく、餌を求めて山
から下りているのだろう」とみており、畑の上を覆う防鳥網を購入す
る農家に、費用の一部補助を始めた。
同市によると、ヒヨドリ被害は、過去5年では年間600万-1千万
円で推移していた。ところが、昨年12月中旬から多発し、市全域で
深刻化。昨年度の鳥獣被害で最も大きかったイノシシの3615万円
を、2カ月程度で約1千万円超えた。
同市東でキャベツを栽培する女性(70)は「数時間おきに50羽ほ
どの群れが飛んできて一気に食い荒らすこともある。これだけの被害
は十数年ぶり。防鳥網もたるんでいると玉をつつかれ大変」と頭を悩
ませている。


 被害例 2

津奈木町や芦北町のミカン畑で、ヒヨドリによる食害が拡大している。
特に収穫期を迎えているデコポン(品種名・不知火)では、収穫量が
例年の半分以下に落ち込んだ生産者もいる。
雪が降った年末から、ハウス栽培は無事だが露地物に被害が集中、約
300トンが被害を受けていると予想。例年はあまり食害がない甘夏
にも出始めている。
通常だと荒天時は収穫作業をしないが、今年は被害拡大を防ぐため、
雪や雨の中、収穫を急ぐ農家も多い。農家のひとりは「ヒヨドリは1
千羽ほどの集団で移動し、熟れた果実だけを狙ってくる。人間に勝ち
目はなく、諦めるしかない」と話していた。


そしても最後に ヒヨドリ対策です。

危険がないと判断した特定の畑から襲ってくるヒヨドリに 最も効果
的だった対策、それは狙いをつけられる前に〔野菜に〕張るパスライ
トやパオパオにでした。

ヒヨドリの群れが大群となりつつある地域では、よろしかったら早め
に ためされてみてください。


◎ 葉物野菜が安いと少ないくせに、葉物野菜が高くなってくると、
  とたんに大群で やってくるヒヨドリたち。なんとも頭の痛い
  問題であります。
  
  
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電動農業機械の実用化による農業振興を。

2013-01-22 23:35:49 | Weblog
電動農業機械の実用化による農業振興を。

前回は、ガソリンスタンドの廃業が“ガソリン難民”と“ガソリン難民
キャンプ
”を生みつつある現状をお伝えしました。そして、今回はその
解決策を考えることになるのですが・・・対策として〔誰が考えたって〕
まずいちばんに思い浮かぶのは、太陽光発電ですよね。

そう、

 太陽光発電を用いた電動農業機械の実用化による農業振興

です。

と書いても、一般の方々は 電動農業機械の実用化には時間がかか
るのではないかと考えられる方も多いと思いますが、じつはですね、
電動軽自動車用などに使われるモーターと電池を改良して搭載した、
最大で中型トラクター並みの13馬力の力が出せる電動トラクター

などは、すでに試作され実用段階にはいっているのです。

そんな農業機械の代表ともいえる 電動トラクターが こちら 。


 対策ひとつとして.jpg


気になるその性能ですが、利点としては

  燃料費はディーゼルエンジンの1/2から1/3
  排気ガスがでないため、ハウス内の作業に適している
  電動化で騒音や振動が抑えられるため機械操作が簡単

という点が挙げられていますよ。問題点としては

  1回の充電〔3~5時間〕で1時間程度の作業性能
  試作車では、ガソリン車の制作費が2倍

といった点が改良すべき点とされているようですが・・・この問題
点は、電動トラクターが量産されさえすれば解決できる気がします。

そして量産されるために必要となるのが・・・これもまた誰が考え
たって、まずいちばんに思い浮かぶのが

 エコカー補助金ならぬ エコ農業機械補助金

ですよねっ。

といったわけで今回は、近い将来にガソリン入手が困難になるであ
ろう日本の中山間地の農業振興を図るには、政策としてエコ農業機
械補助金を創設するのがいちばんの対策になる
というお話しでした。

発電用の太陽光パネルに、充電スタンドのある中山間地の農地で
働く、さまざまな農業用機械
」というのが、近未来の日本の農山村
の風景となったら素敵ですよね。そんなレゴ・ブロックが あれば
子どもたちにも受けそうです。


◎ 小さなものから大きなものまで、さまざま用途の機械が必要と
  なるのが、農業です。そういった意味では、日本の内需を拡大
  させる起爆剤
にもなりえるのではないかとも思えるんですよね、
  農業機械の電気化というのは。

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獣害を防止するために、田を起こそう。

2013-01-22 16:03:10 | Weblog
獣害を防止するために、田を起こそう。

こんなに ひと気のあるところなのに・・・・と思われるような
場所で、動物を目撃するケースがおおくなってきました。かくい
うわたくしも、先日の日曜日に、町に程近い田んぼでサルの群れ
に遭遇したばかりです。というわけでそんな動物たちの引き起こ
す獣害とその獣害対策についての話となります。よろしかったら。

 ↓

鳥獣による農作物の被害が、拡大しつづけています。農水省発表に
よる最近の具体的な被害状況の推移は・・・つぎのように。

 鳥獣による平成20年度の農作物被害

 被害金額が199億円で前年度に比べ14億円(対前年比8%)増加、
 被害面積が10万haで前年度に比べ9千ha(対前年比10%)増加、
 被害量が49万tで前年度に比べ8万4千t(対前年比21%)増加し
 ています。
 主要な獣種別の被害金額については、シカが58億円で前年度
 に比べ11億円(対前年比24%)増加、イノシシが54億円で前
 年度に比べ4億円(対前年比7%)増加、サルが15億円で前年
 度に比べ6千万円(対前年比4%)減少しています。


 鳥獣による平成21年度の農作物被害

 被害金額が 213億円で前年度に比べ14億円(対前年比7%)増加、
 被害面積が10万5千haで前年度に比べ5千ha(対前年比5%)増加、
 被害量が62万tで前年度に比べ12万9千t(対前年比26%)増加して
 います。
 主要な獣種別の被害金額については、シカが71億円で前年度
 に比べ12億円(対前年比21%)増加、イノシシが56億円で前
 年度に比べ2億円(対前年比4%)増加、サルが16億円で前年
 度に比べ1億円(対前年比7%)増加しています。


そしてこの獣害を呼び寄せているの一番の原因は、 ひこばえ に
あると、最近では いわれはじめました。

ひこばえとは、収穫後の作物の切り株や根元から生えてくる若芽
こと。とくにイネ刈り後の水田に残っている切り株から生えてくる
ヒコバエが要注意です。栽培しているお米や野菜とちがって、放置
されているひこばえなら、動物が食べてもさほど気にならない。

こういった 心のすき間に、動物達が忍び寄る のです。

ちなみに

 10ヘクタールの田んぼのヒコバエなら、
 100頭のシカを ひと月養えるほどの餌となる


というデータがあります〔1ヘクタールでは10頭・10aで1頭の割り
になりますよ〕。ひこばえの放置は、ある意味で動物の餌付けをしている
ものと考えなければなりません。

そんなひこばえが生えてくるのを防止するには、収穫後のこまめな
耕運が効果的
です。田を起すことで、株を土中にすきこみ、ひこば
えが生えてくるのを予防するわけですね。

そうすることで、動物たちが集落に近づかないようにする。

いじょう、獣害被害の多い集落では、こういった農業の基本的な作業を部
落をあげて励行することが、なによりの獣害予防方法となるというおはな
しでした。


◎ バインダーで刈られた長いままのワラの場合は、大雨などで
  田から流出すれば、排水路を詰まらせることにもなりかねません。
  水害を予防するという観点からも、田起しは重要になります。

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ガソリンスタンド廃業と、農山村の危機。

2013-01-21 19:06:50 | Weblog
ガソリンスタンド廃業と、農山村の危機。

日本全体におけるガソリンを中心とした「燃料油」の需要の減少、そ
して改正消防法に基づく規制強化のために、全国でガソリンスタンド
が減少しています〔全国の給油所数は94年度末の約6万カ所から
11年度末には約3万8000カ所に減少
〕。

そのスタンド減少の影響をとくに受けているのが 中山間地域です。

実際のところ、近所にあったガソリンスタンドが廃業したために、

  マイカーの給油に支障がでている
  農作業用の燃料の補給が不便になってしまった

などといった話しは、これまでにも聞いていました。けれど こういっ
た傾向が昨年からは加速しはじめ〔近所だけではなく〕地域内のガソリ
ンスタンドも廃業するために

  バイクしかもっていないので、燃料が買えない
  暖房用の灯油を買うのも、ひと苦労だ

などといった、生活そのものを見直さざるを得ないような深刻な話しさ
えも、耳にするようになったのです。

そして、ご存知の方も多いように、日本の農業における中山間地は、

  耕地面積の43%     農業産出額の39%  
  総農家数の43%     農業集落数の52%

を占めているという現状があるのです。

だから思うんですよね、 ガソリンスタンドの廃業問題っていうのは、
つまりは、 日本の農山村の危機をよぶもの なのだと。


 のののの 非常事態 給油.jpg


ちなみに農業県の例として、宮崎県内のスタンド減少の現状ですが、

 1980 2010 2011 2012 ・ 年
  919  586  569  540 ・ 箇所

ということで、実際に約4割も減少〔山間部地帯が多い〕していること
になっております。改正消防法については こちら 。


◎ 一部の農業書によっては批判の対象となることの多いJAでは
  ありますが・・・こういった〔ガソリン過疎などの〕現実の危機
  に直面したときには、頼りになる存在だとおもうんですよね、生
  産現場にいる身としては。実際問題としてJAのガソリンスタン
  ドの存在に、助けられている方も多いことだろうと思いますよ。

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大型機械を使った農業は、山国・日本に向いているのだろうか。

2013-01-21 15:00:50 | Weblog
大型機械を使った農業は、山国・日本に向いているのだろうか。

次回関連で、2010年の記事の再掲載です。

 ↓

ずらっと並んだ大型コンバインが見渡す限りの黄金色に染まった小麦、
あるいは見渡す限りの熟れた大豆を収穫する風景
を、テレビなどでご
覧になったことはありませんか。農業問題を取り扱った番組で流され
ることの多いお馴染みの光景ともいえます。

この映像イメージは、主として米国の平原地帯での農業の姿です。い
わゆる大平原での、大型機械を使った単一作物を栽培する農業におけ
る収穫風景ですね。
そしてこの画面で想像されるこういった農業のイメージが、いまや多
くの日本人の頭の中で想像される理想の農業にあたるのでは
ないでし
ょうか。

しかし実際のところは、こういった農業を、そのまま日本にあては
めるわけにはまいりません。なんといっても地形の問題があるからです。

日本は、その国土に占める平野の面積といえばわずかに約25%、残
りの70%近くが山間部という地形
です。そう、日本は島国であると
同時に、なんといっても山国
であるために農地面積が少ないとい特徴
があるのです。ただでさえ少ない平野では、人口増加や都市化にとも
なう開発が行われ、結果として、日本の国土のうちの農地面積は国土
面積38万平方キロメートルのうちのわずか13・5%にしかなりません。
米国の39・4%やオーストラリアの59・3%とは、比べるべくもなさそ
うです。

では広大すぎる米国やオーストラリアではなく、山国であるスイスや、
スイスほどではないにしても山がありそうなドイツやフランスを含む
EUと比較
ではどうでしょう。

EU全体の農地面積の割合は、日本と同じく30%程度ではないかと
思ってしまいそうになりますが、じつはEU全体の国土面積に占める
耕地の割合は65・5%
もあります。
では同じ島国である英国はどうでしょう。しかしです。英国にいたっ
ては、国土面積に占める耕地の割合は69・6%もある。こちらも日本
よりもはるかに広いのです。
具体的に耕地面積を比較してみると、ドイツは日本の3・6倍の17
01万ヘクタール、フランスは6・3倍の2943万ヘクタール、前
述の島国にであるはずのイギリスでは、3・6倍の1696万へクタ
ールにもなります。

・・・・。

ここまで各国と比較して日本の農業のおかれている地形の特殊事情を
ご説明しました。
そのうえで思うのですが・・・このような地形の日本では、大型機械
農業を柱とした〔一般的に強い農業だと考えられている〕農業政策を推
し進めるのは現実的に無理がある
・・・と、そう思われてならないの
です。不定期に つづく。


◎ 山国であるからこそ、日本にはいろいろな形の農業がいると
  おもうんですよ。

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