グリーンブレーカーズ by 高木肥料店

農業の現場の おはなしなどなど。

田植え直前の苗には “べんとう肥” を。

2020-03-27 15:07:05 | Weblog
田植え直前の苗には “べんとう肥” を。

水稲苗の活着をよくするのには 多木育苗用液肥がおすすめ
です。 田植えの10日前から前日にかけての施肥例としては

  ● 100倍液での 苗箱1箱あたり 500CC

の施用をおすすめしています。 冷水田や風当りの強い水田
などではとくに効果がありますので、ご使用くださいね。




写真は 小瓶の2リットル缶。 ちなみに前述の倍数で施用す
るとすると、約400箱の水稲苗箱分の量となります。


晴れ 関連記事といたしまして
  田植え時期のおはなしは ​こちら​。
  水田の施肥設計例についてのおはなしは ​こちら​。

51P4M6yKWYL__SL500_SS75_.jpg夢で終らせない農業起業「 本当は危ない有機野菜 





春先におこるカルシウム欠乏への対処法。

2020-03-26 11:22:38 | Weblog

春先におこるカルシウム欠乏への対処法。K
ハウストマト栽培に限らず、ハウスキュウリ栽培やハウスピーマン
栽培において、気温が急上昇したあとの作物に水分が不足した場合
にあらわれることが多い現象として


 トマト尻腐れ.jpg

 キュウリ先端枯れ.jpg

 果実の尻グサレ症や、より重い症状の先端部分の褐変症

などに代表される 作物のカルシウム欠乏の症状 があります。そ
して この症状が現われることの多い時期としてあげられるのが

  天候が不安定
  日照時間が次第に長くなってくる
  気温、ひいては地温が急激に上昇することが多い 

といった春先のハウス内が乾燥しやすい4月の時期というわけです。

ある程度の尻グサレ症の果実の発生はしかたのないものですが、障害
果量が多くなりすぎたり、また作物の先端部分に褐変症が現れるよう
であれば、もちろん対策が必要になります。

ということで、対策としてまず考えられるのは

 ハウス内の土を乾燥しすぎないこと

が、大切になります。その方法ですが

  かん水の量を〔冬場よりも〕じょじょに増やしていく
  内カーテンを上げ下げして日射量を調整する
  遮光資材を利用する
  気温上昇による水の蒸散を避けるために、充分に換気をする

といった、こまめなハウス管理が なによりの乾燥防止対策となり、
ひいては カルシウムの欠乏症状の予防対策 となります。

また、気温の上昇とともに果実の太り具合もすこしづつ早くなって
くるわけですから、冬場よりも収穫の間隔をいくぶん短縮すること
も必要になってくるころでもありますね。

といったわけで、なんだか冬場よりも手がかかることになる春先の
ハウス管理です。 けれど厳寒期のなかで果実を成らしてきた“疲
れ”がみえる作物にとっては、栽培者の存在がなによりのお薬・・・
これからのハウス作終盤にかけての良品多収穫のためにも、ここは
こまめな管理をお願いいたします。

なんたって作物は、栽培者にとっての金のなる木 なのですものね。


晴れ ハウス内の高温は、作物の花粉の品質や受粉にも影響します。
  35度を超えたときに受粉した果実は、奇形果や果実の肥大
  不良を招くともいわれていますよ。また受粉に活躍しくれる
  昆虫たちにとっても高温は大敵です。

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春先のハウスは温度管理に気をつける時期に。

2020-03-21 16:14:09 | Weblog
春先のハウスは温度管理に気をつける時期に。

たとえば本日。早朝は5度で、日中は20度超えといった温度変化が
つづきます。ということで、何かと忙しい年度末のハウスの温度管理
の回となります。




収穫がはじまるまでの「栄養生長の時期」から、その後の「体づくり
をしながら花も確実に結実させていく時期」を経て 順調に収穫が続
けられているハウストマト栽培ですが・・・厳寒期をすぎて春先とな
ったいま、あらたな生育管理が要求される時期
にはいってきました。

そうなんです、春先には気温の変化によりハウス内が急激な高温時に
なることが往々にしてある。その 

 高温時における栽培管理が必要になる時期がきた

というわけなのです。

その管理方法ですが、晴天下の日中では、日増しに強くなる太陽の光
がもたらすハウス内の高温化を軽減するために

  ハウスの上部や側面のビニールを開放して換気をおこなう
  強すぎる日差しには、内側のカーテンを遮光目的で使用する
  温度上昇に伴う土壌の急激な乾燥を防止するためにかん水する

といった対策が要求されることになります。

それでいて、夜間に冷え込めば厳冬期とおなじような低温対策もとら
ねばならないのですから、低温にさえ注意すればよかった厳冬期より
も、栽培管理にはむしろ手がかかる
ことにもなります。

物事を成し遂げる過程で いちばん苦しい正念場」を“胸突き八丁”
といいますが、長期間にわたる栽培において 栽培者さんと栽培され
る作物にとっては、いまがその時期にあたる といえるでしょう。

しかし夜間の低温の心配がなくなる時期は、もうすぐ。

それまでのあいだは、細心の注意を払って対応していただきたいなと、
そう願っております。なんといっても、「栽培期間の全体を通して、
一定量の良品を順調に出荷し続けていく
」ことが、まだ先の長いこの
作型の作物にとっての最善の対応策であるのですから。

ということで今回は、終盤にさしかかったハウス栽培における春先の
温度管理についてのご報告でした。次回は、春先の果実に出やすい微
量要素欠乏とその対策についてとなります。


晴れ “ハウスのビニールを開けて換気をすることをうっかり忘れて
  ハウス内の作物を高温障害にあわせてしまった”という事故が
  おこりやすいのも、春先のこの時期です。・・・入学とか卒業
  とか、税金の申告とか、なにかと行事の多い年度末にはとくに
  注意が必要になります〔早場米地帯では、イネの育苗とか田植
  の本田の準備なんかもありますから、とにかく春先はてんやわ
  んやの状態で・・・そんなときに起こりやすいのがハウスの閉
  め切り事故だというわけです
〕。
  ちなみに激しい高温障害にあうと、作物の先端部が枯れてしま
  い、数回分の収穫がなくなってしまいます。

51P4M6yKWYL__SL500_SS75_.jpg夢で終らせない農業起業」「里地里山複合大汚染




早期イナ作の肥料設計について。

2020-03-19 16:16:50 | Weblog
早期イナ作の肥料設計について。
イネの植えられる田んぼでは、その田とその田に植えられるイネ
にあわせて、与える肥料の量がきめられます。 

そうなんです、肥料を与えるだけ与えたとしたら、たとえば生育
が栄養生長にはしりすぎてしまうことで早めに倒伏してしまい収
穫が皆無になる場合や、イモチ病などの病害が多発したりするこ
とになってしまいがちになりますから。また環境の面からいって
も、イネの必要とする以上の成分を与えてしまえば、あまった肥
料分は排水に乗って、あるいは地下水に溶けて河川や海に流れ込
み、いずれヒトや生物たちへの悪影響 をおよぼすことになってし
まいますから、注意しなければなりません。

ということで、まずは与えすぎには注意しなければなりません。

そこでイネが無駄なく吸える肥料の量をみきわめて、田植え前の
水田に必要最小限の施肥していくわけですが・・・この作業を
「田んぼの設計をたてる」といいます。
具体的には、田んぼの土の性質やイネの品種、毎年の生育状況・
栽培環境にあわせて肥料の種類や量をきめていきます。

イネしか作らない田と、たとえば前作で野菜をつくったり、ある
いは飼料作をつくっていた田んぼ、あるいは家畜農家で毎年家畜
ふんが多量にはいる田では与えられる肥料の量や種類はちがいま
すし、また耕土の浅い深いといった差でも、田の水のあったかい
ところと冷たいところでも肥料の効き方はちがってきますからね。

具体的には、水田のある場所の栽培環境に、土の性質、これに例
年のイネの生育状況など  

 日照不足・冷水かんがい・整備田・秋落ち田・谷間
 酸性土壌・砂質土・腐食が少ない・漏水しやすい
 活着不良・分けつ遅延・軟弱徒長・熟期遅延・倒伏

といった項目をチェックし、それぞれの田への適当な施肥量を、
いくつかある施肥設計のひな型のなかから検討していきます。

ちなみに当店の基本的な設計例は、当地の代表的な栽培品種で
あるコシヒカリ用では、 側条施肥機使用の場合の3タイプと
側条施肥機を使用しない場合の つぎの6つとなっております。



と、このようなかんじです。 よろしかったら、ご参考に。


晴れ 昼間は暖かい感じですが、まだまだ最低気温が10度に
  とどくことが少ない宮崎県海岸部。本年の田植えの最盛
  期は 3月の25日から4月05日くらいってかんじみ
  たいです。

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田植えは「虫のしらせ」で。

2020-03-17 16:46:20 | Weblog
田植えは「虫のしらせ」で。

3月15日の日曜からぼちぼちとはじまった田植え。しかしその後の
寒の戻りと無茶な強風で、月曜からの田植はストップがかかったかん
じの宮崎県中央海岸部です。さて、そんななかのいつから田植えにか
かろうか・・・という問い合わせですが・・・・
そうですね、今年も温度が高めに推移したので苗が伸び気味に育って
いるという状況下でもありますが、予報を見ると最低気温は9度以下。
23日になってようやく11度に回復するみたいなので、保温用の水
が豊富にあるとか 風が当たらないといった 条件の良い水田での田
植え以外はもうすこし待ったほうがよさそうだと思います。
ということで定番の回ですが、よろしかったら。ちなみにうちの廻り
では くだんのキリギリスくんたちは17日現在いまだ未確認です。

 ↓

『収穫時のおコメの値段を考えれば早く田植をしたほうがよいのだが、
 田植えの時期が早過ぎると霜害を受ける可能性があり、そうなれば
 肝心のおコメの収穫時期や収穫量に影響を受けることにもなりかね
 ない・・・。はてさて、毎年毎年大きく変動する気象のなかで、田
 植えの時期を判断するのは、なかなかにむづかしいことであるな』

というところまでが、前回までのおはなしでした。そして今回は、そ
のような田植えの時期を決定する判断材料についてのおはなしとなり
ます。

そして そのはなしの結論ですが・・・

 その判断材料のひとつとして昆虫の存在

を利用するという手があります。

というのも、昆虫は気温の上昇とともに生命活動を開始するという性
質があるからです。たとえば日本に住む昆虫は〔もちろん種類によっ
て差はありますが
〕おおむね

 5度から10度でうごきだす〔姿をみせる

という性質がある。そんな虫たちの存在を田植えの時期の判断に活用
すればよい・・
つまり、水田のまわりに、ある種の昆虫が姿をみせてくれたら、それ
を田植えを開始しても良い時期だと判断するというわけです。

より具体的にいうならば、わたくしの判定材料に使う昆虫は、モンシ
ロチョウとキリギリスであり、たとえば

  田畑にモンシロチョウが舞い始めている
  予想より早く、孵化したてのキリギリスが田のまわりの草にいた

となると、田植えを急いでも霜害の心配はない・・・というふうに
気象を予想して、田植えを開始するするわけです。はんたいに、暖か
いように感じられたとしても

  越冬していたモンシロチョウの、舞う姿が見受けられない
  田のまわりの草に、孵化したてのキリギリスの姿がない

ということであれば、田植えの時期を先延ばしにします。

いじょう私論ではありますが、経営的に重要な意味を持つ早期水稲の
田植の時期を決定するには「虫のしらせ」を利用していますよという
おはなしでした。
 

晴れ 付け加えまして・・・キリギリスの餌となるカラスノエンドウが
  目立ち繁茂しはじめてから、キリギリスが孵化してまいります。
  ということで、このカラスノエンドウも、よき判断材料だといえ
  そうです[そうそうタケノコの育ちで判断される農家さんもおら
  れるようで
]。

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