グリーンブレーカーズ by 高木肥料店

農業の現場の おはなしなどなど。

問題のある土地に、新しい土を搬入するという技術。がある。

2016-09-16 00:55:42 | Weblog
問題のある土地に、新しい土を搬入するという技術。がある。

新しい土地の圃場では作物がよくできる」・・・これは良い営農成績
をあげておられる農家さんに共通の認識です。

土地の土壌の分析をしてみても、それははっきりと確認することが可能
あり、そのような土地でよく見受けられる特徴は

  全体的に土の養分が不足傾向にある 
  土の構成成分であるミネラルのバランスがとれている

ということになります。

そうなんです・・・あるミネラルが極端に不足したとした場合、対策と
してその不足したミネラルを補足していけばよいわけですから、 まあ
わかりやすい話ですよね〔ヒトで考えれば、痩せている方では とりあ
えず食べてもらえばよいわけですから
〕。

問題は、長年の耕作による影響

  全体的な土の養分が過剰傾向にある 
  養分のいくつかが過剰にあり、ミネラルのバランスがとれない

ときです。

たとえば、植物の生育に良いからといって、あるミネラルばかりを過剰
に、何回も・何年にもわたって施用すると、ミネラル間のバランスが崩
れ、それぞれのミネラルの間で反発がはじまる
ことがあるんです〔拮抗
作用
とよばれますよ
〕。
そうなんです、肥満と、それに伴う減量となると、これはとにかく対策
をとるのが大変なんです〔これは人の場合でも同じですよね〕。

そして、対処法です。まずは

  過剰になりすぎた特定のミネラルをやらない

という方法があります。ただし、この方法では、作物を作りながらとな
りますので、これに伴う技術もむずかしいし、時間もかかることになる。

そこで、もっともてっとりばやい方法として、昔から行われているのが、

山土などの、痩せている土 / 養分の少ない土を、問題の出た土地に
搬入する
という方法があります〔土を土壌改良剤として利用することに
なりますね〕。実際の農業の現場では、ハウス10アール当たりに数十
トンの痩せている山土を搬入したなんて話は、よくある
んですよ。

こういった、「田畑に新しい土を導入する」行為。これは 古来からあ
る農業技術で、“客土/きゃくど” 
とよばれてきました。土をお客さま
扱いして大事にしてきた と いうところなんでしょうね、きっと。


◎ そして・・・この技術が 除染にも使えるのではないか
  
と考察した回は ここら 。

51P4M6yKWYL__SL500_SS75_.jpg夢で終らせない農業起業」 「里地里山複合大汚染



土を取り除くのは・・・とても大変な作業になります。

2016-09-16 00:28:08 | Weblog

土を取り除くのは・・・とても大変な作業になります。

市場移転で問題となっている “土” の問題。その土をはぎ取るという
行為についての、当ブログの2011年8月分記事の再掲載となります。
放射線については当時もいまももちろんズブの素人なのですが、とにか
く [徐染作業がはじめられる直前の時点で]これから工事でてくるで
あろう大量の土の量についての考察となります。時節がら、よろしかっ
たらご参考に。

 ↓

『土を取り除くのは・・・とても大変な作業になります。』

“放射性物質:取り除くには…地道に土の表面はぐ”という ニュース
をみました


このニュースを聞いて最初に頭に浮かんだのが、大量にでる土のイメー
ジでした。

そうなんです、作物栽培指導という仕事がら一般的な農業における田畑
の土の入れ替えなどに立ち会うことも多いのですが・・・そのときに実
感するのが “剝ぎとる
土の量というものは、とにかく大量にでる”とい
うことなんです。
 
たとえば、

深さを 1センチ と すると

● 1メートル×1メートル の面積の土地の、土の量は 10キロ
● 1坪当たりの土の量は、33キロ

になります。

深さを 10センチ にすれば

● 1メートル×1メートル の面積の土地の、土の量は 100キロ
● 1坪当たりの、土の量は 330キロ

に なります。

同じように、
深さを15センチ にすれば

● 1メートル×1メートル の面積の土地の、土の量は 150キロ
● 1坪当たりの、土の量は 495キロ

と、なります。

試しに、あなたのお宅の庭の面積や家屋の坪数をかけてみてください。
土というものは、とにかく大量にでる”ということがわかります。

そのような現実の土の量を推測することで確実にいえること。それは、

 まず 人力だけでは、とても無理だ

ということ。“土の入れ替え”には
、当然のことながら〔ユンボや大型
ダンプといった〕重機がかかせない大掛かりな作業
になるということ。

そしてもうひとつ、

 とても時間がかかるだろう

ということです。


 除染作業について

 ● 大量に剥ぎ取る土が出るが、その保管先がみつかりにくい
 ● 使用された水の流れ着いた先で線量が数倍に高まる可能性がある

という2つの問題が報道されています。いわゆる除染作業が結果的に放
射性物質を周囲に広げるのではないかという点が懸念されているわけで
すね。・・・じつに、難しい問題だと思います。
そんなときに、おもいあたったのが、『客土』という農業の土壌改良法で
す。『出来の悪くなった土地に、新しい土を搬入する』という作業・・。
問題のある土地に新しい土を搬入することで、問題を“薄める”という
行為なのです。
問題が解決するわけではありませんが、〔汚染の程度の軽い土地ではと
くに〕とりあえずの現実的な対応策として使用できるケースもあるので
はないでしょうか〔“剥ぎ取る”よりも、よほど簡単なんです〕。

と、いうわけで非常手段として、そんな手もつかえるのではないか 
という 客土についての回は こちら 。

51P4M6yKWYL__SL500_SS75_.jpg
夢で終らせない農業起業」 「里地里山複合大汚染