今から30年以上前20代一時失業し、短期のアルバイトをしていた時に、3歳下で沖縄出身の仕事仲間がいた。再就職後もよく一緒に飲みにいったりしたが、夏休みには彼の帰郷に合わせて自分も同行で初めて沖縄を訪れた。数日間彼の実家でお世話になった。
沖縄が日本に復帰して約7年後であったが、彼を含む若者たちの日常の関心や興味が本土の人間と変わりがないということを実感した。芸能界のこととか彼らの方が熟知していたし、近くにあったスナックでも店の女の子が最新のヒット曲をプロ顔負けの迫力で熱唱していた。その後、安室奈美恵などの沖縄のスターが日本の芸能界を席巻したが、既に当時からその素地が出来ていたのではないか。
若者たちは時代の流れに即応する。もはや復帰という言葉が嘘のようにそこは日本であった。短い滞在だから、沖縄の若者の心の底まで窺い知ることはできないが。旅行中は那覇市内の他、近くの離島にも行ってきた。その海岸は若者が圧倒的に多く、夜民宿で隣部屋の2人組と意気投合し、挙げ句はそのさらに隣に宿泊していた女子高校生2人組にナンパを企てたが結果は見るも無惨だった。
沖縄の彼に、田舎へ帰って仕事をする気はないのか、と聞いたら「沖縄には仕事がないからな」と言っていた。事実彼の父親は、観光地をバイクで移動しながらアイスクリームを販売する仕事をしていて、収入的には厳しいようだった。復帰後7年、沖縄は観光以外に産業が貧弱だった。だから、米軍基地関連の雇用は重要なウエイトを占めていた。
その依存体質は今も続いている。しかし、最近はIT企業を中心に、本土からの企業進出も活発で沖縄の経済はデフレに苦しむ本土と比べて好調のようだ。これには日本政府の地域振興策で沖縄への財政支出が効果的に働いていることも考えられる。おまけにこの南国の気候と豊かな自然、これまたシルバー層の移住も増えてきている。事実沖縄県は、首都圏を除けば、転入増で人口が唯一増えている。
沖縄についての報道では米軍基地が県内を牛耳っていて、県民がその横暴に苦しんでいるという負の部分ばかりに焦点があたっている。昨日も政府が辺野古埋立て申請を県土木事務所に提出したことが、大きくニュースになった。沖縄県民の総意を無視した、沖縄は相変わらず本土から差別されている、などと盛んに報じているが果たしてどうか。一部特定の見解ばかりが取り上げられていて、現実とは乖離しているような気がする。特に若い世代ほど違う感覚なのではないか。
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