沖縄の女性殺害事件に端を発した反基地騒動は本当に目に余る。沖縄に基地があることが犯罪の原因だと決めつけ、在沖米軍に常規を逸したヘイトスピーチを繰り広げている。そして、今やそんな運動の「親玉」に昇格した翁長雄志沖縄県知事がそれを煽って自ら憎悪を増幅させるような挙に出る。これでは沖縄が殺伐とした異常空間になるのも致し方ない。
そもそも、女性を殺害した米国人は2年前に米海兵隊対を退役して、今や日本人の妻と暮らす沖縄県民である。新聞では軍属などと書いているが、もはや米軍に監督下にある人間ではない。基地で営業する民間会社の会社員にすぎない。勤務外の犯罪で当然日本の警察に逮捕されに日本の裁判で裁かれる。いわゆる地位協定による特権などあろうはずもない。
それを基地があることが問題だ、地位協定を見直すべきだと翁長知事が盛んに吹聴し、対面した安倍首相にも訴えているのは非常にピントがずれている話だ。早い話がやっていることは政治利用でしかない。日頃「沖縄に新基地をつくらせない」と、馬鹿の一つ覚えにように言っている知事の政治的プロパガンダのために都合良く利用しようとしている。
そこには、無惨な死に見舞われた女性への厳粛な哀悼の気持ちなどさらさらない。自分の政治的野望を実現するための格好の武器にしようとしている。被害者の遺族は事件での取材を自粛するよう求めているようだ。これ以上若い女性の死を反基地運動などに政治利用されることを憂慮しているのだ。しかし、翁長知事を始め地元マスコミや左翼プロ市民活動家たちが、無理矢理ひとつの方向に沖縄そして日本の世論を誘導しようとするのは由々しき事態だ。
そして、翁長知事はこの余勢を買って安倍首相に対して知事がオバマ大統領に沖縄基地問題で直接対話できるように求めた。政府側がこの要請を断ったようだが、当然といえば当然だ。こうした二国間の外交問題は政府間、最終的には政府首脳同士で決めるものだ。それを一介の地方の知事がしゃしゃりでるなどあり得ない話だ。
たとえば、北方領土問題で北海道知事が安倍首相に対してプーチン大統領に面会して地元の現状を訴えたいなどと要請するようなものだ。こんな話、安倍首相が受け入れることはないし、プーチン大統領が応じるはずもない。
まさに翁長知事の「悪のり」といってよいのだが、この言動をメディアがまるで政治家の良心のように囃し立てるのが異常といえる。しかしそこは安倍首相の方が翁長知事やメディアより上手だ。サミットで訪日するオバマ大統領とは予定を前倒しして会談を設けるようだ。そして、この会談では沖縄の事件を取り上げ大統領に基地問題の改善を求めるという。外交は政府の専権事項だということを早速誇示する結果になった。
沖縄の今後でいえば、6月に行われる県議会選挙と7月の参議院選挙の動向が注目される。今の沖縄の雰囲気では反基地を唱える翁長知事や左翼性力に有利に働きそうである。いわゆる辺野古への移設を容認する保守勢力の苦戦が予想されるが、少なくとも現状維持が果たされれば保守勢力の事実上の勝利とも考えてよい。知事のさらなる悪のりなど見たくない。
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