自分の以前のブログで日本の明治の産業革命遺産が世界文化遺産に登録されるか、韓国の妨害活動が功を奏するかは日韓歴史認識問題の今後の動向を大きく左右することを記事にした。その点で7月のユネスコの決定に注目していたのだが、意外なことに日本の「不戦勝」になってしまった。
あれほど、朴槿恵大統領や韓国外相が登録阻止に向けて関係国にロビー活動をしていたのに、日韓国交正常化50周年にあたる本日22日直前になって韓国側が立場を一変させて日本側の登録を容認する態度を見せた。今月12日には韓国外相がドイツ外相に日本の世界遺産登録反対に協力を求めて10日も経っていないのにこの豹変だ。
本日テレビの報道番組では、この軟化をいろろと分析していた。韓国が頼りにする中国経済の失速や国内財閥企業の不振、Mersの感染拡大などで経済が危機的な状況に陥いりつつあること、反日に固執するあまり北朝鮮への対応が疎かになりこれを米国から厳しく叱責されたこと、日中がすでに首脳会談を2度も行いその関係修復が見られ、逆に韓国が孤立感を深め始めていること、など色々と背景があり、日本との関係改善が急務となったと指摘していた。
しかし、自分には他の理由もあるように思える。というのも先に挙げた背景はすでに1ヶ月以上も前から指摘されていたことだからだ。先のブログでも言及したのだが、韓国の反対ロビー活動がはかばかしくないことが原因しているのではないかと見ている。つまり、実際はユネスコの関係国が韓国側の阻止活動に同調せず、登録が韓国の意に反して決定しそうな雲行きだということだ。そうなると、韓国政府の重大な外交的敗北となり、ただでさえ支持率が下がっている朴槿恵政権にとって致命的な事態になる。おそらく、あれだけ登録阻止に奔走していた外相の辞任は避けられなかっただろう。
最悪の事態を避けるべく韓国側の方から日本政府にすり寄ってきたと考えられる。ただ、日本政府も「武士の情け」で「徴用工」について理解を示したようだ。自分としては、日本政府がわざわざ同調する必要があったのかと思うが、これに「強制」が付かないところが救いか。日韓政府の間でどんな取引があったかわからないが、その真相を知りたいところだ。
今後少しづつ日韓関係は改善が進んでいくとは思う。しかし、朴槿恵大統領の歴史認識からくる反日は、政策というよりも情念に近いものだから簡単には収束しないだろう。実際、慰安婦問題では少しも韓国が歩み寄ったという話は聞いていない。韓国経済が行き詰まって一層日本を頼ってくるのを気長に待つしかない?