粗忽な夕べの想い

落語の演目(粗忽長屋)とモーツアルトの歌曲(夕べの想い)を合成しただけで深い意味はありません

慰安婦像設置に賛成する日系人

2013-08-08 18:40:43 | 厄介な隣国

朝日新聞8日の国際面を読んで複雑な思いにさせられた。「慰安婦像、揺れる日系社会」の記事だ。先月30日ロサンゼルス郊外のグレンデール市では、強い日系人の抗議にも関わらず、韓国系のロビー活動によって、市公園に慰安婦像が設置されてしまった。朝日新聞によれば、その除幕式になんと日系人2名が参加して賛成の式辞を述べたということだ。

祖父母を日系人強制収容所でなくした男性は「日系も韓国系も同じ米国人」と語り、3世の女性は「歴史を否定する人とは違う見方をしているといいたくてここへ来たと」と述べている。また、二人は米政府に強制収容への謝罪と償いを求めて長年活動してきただけに、元慰安婦たちにも共感するするという。「謝罪と償いを重ねることは、被害者の癒しになる」と話した、ということだ。

どうもこの朝日の女性記者には除幕式に参加した二人の日系人に同情的な心情が多分に見られるのは自分の偏見だろうか。そもそもこの慰安婦問題の発端に朝日新聞の記事が大きく関係している。すなわち韓国での慰安婦強制連行説が朝日の記事によって世界に広められ、国連の人権委員会でも報告されるに至った。朝日の記事は捏造であったことは専門家の間では常識になっている。

しかしそれが、今度はアメリカの下院でも慰安婦非難の決議が採択されてしまう。現在米国内では旧日本軍による性奴隷といった誤った慰安婦認識が広く流布してしまった。しかし、朝日新聞はこの問題の深刻化には、なんら釈明もせず他人事のように扱っている。この朝日新聞米駐在の女性記者も「謝罪と償いを重ねることは、被害者の癒しになる」という日系人の言葉を借りて、韓国系側の見解を支持しているように思えてならない。

とはいっても、2007年の米下院での決議がマイク・ホンダらの日系議員の働きかけで成立したことは事実である。日系人のなかでは、慰安婦問題を戦時の強制性収容と同列に考える人も少なくないのだろう。それほどの認識はなくとも、記事のなかにあるように「この問題に付いて何の立場もとらない」(日系アメリカ人市民同盟)として、政治問題化を極度に嫌う空気もあるようだ。

米社会で過去の厳しい試練に耐えてきた日系人の従順さなのだろうか。しかし、今回グレンデール市の公聴会では従来の沈黙とは打って変わって激しく抗議する姿勢が目についた。朝日の記者は、日系人が抗議活動が盛り上がると、これに反発する運動が高まるのではないかと、これまた先の除幕式参加日系人の危惧を伝えている。「日系社会の分断」になるとも。

はたして本当にそうだろうか。こんな捏造といってよい少女像がみすみす作られるほど日系人全体がいつまでも日和見でありつづけるのか。いや自分自身は、日系人全体が理不尽な中傷に立ち上がって真実を叫ぶ姿を想像したい。そして朝日記者の「危惧」を吹き飛ばして欲しいのだが。


朝日新聞8月8日国際面記事