美しい街並みで「九州の小京都」とも呼ばれる人吉温泉。500年の歴史があり、夏はアユ釣りや川下りを楽しむ客でにぎわう。
約30軒の宿泊施設の多くは浸水し、数寄屋造りの和風建築で国登録有形文化財に指定されている1934(昭和9)年創業の「人吉旅館」も、1階天井まで水没した。
社長の堀尾謙次朗さん(63)は4日早朝、前夜から雨が降り続く中、球磨川の水かさが普通でないことに気付いた。
「このままでは危ない」。宿泊客を急いで起こし、午前7時ごろ、従業員らと共に高台の高校に車を走らせた。
浸水被害を受けた人吉旅館で、スコップで泥をかき出す地元の高校生ら。
柱時計は7時35分すぎを指したまま止まっていた=8日、熊本県人吉市
体育館で一夜を明かし、水が引いた5日昼に旅館へ戻ると、1階は柱を残し壁や建具などが全て流出。
室内には大量の泥がたまり、ロビーの柱時計は7時35分すぎを指して止まっていた。「あと一歩遅ければ巻き込まれていた」と振り返る。
球磨川は「暴れ川」の異名もあり、これまでも氾濫を繰り返した。
人吉旅館も被害を受けたが、そのたびに再建。65年の大洪水にも耐えた。
ただ、今回は新型コロナの影響で5月末まで1カ月以上休業し、ようやく売り上げが前年の4割まで回復したばかりだった。
既に多額の融資を受けており、金銭的余裕はない。「どれだけ資金が必要なのか検討もつかない」とうなだれる。
全国からSNSで応援の声が届き、地元の高校生らが片付けのボランティアに来てくれるのが心の支えだ。
9日も朝から10人以上が参加し、スコップで泥をかき出すなどしてくれた。
おかみの里美さん(62)は大正ガラスの窓がある自慢の廊下で、「もう涙は枯れた。
何とか以前の姿を再現し、時間はかかっても営業を再開させたい」と決意を込めた。
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新型コロナウイルスでマスクしてのヘドロ除去は、想像を絶する作業だ。
しかもベタベタで重い、若いパワーで無いと無理。
もう梅雨明けも、近いがあけた途端に夏の猛暑では厳しい現実だ。
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折角、ボランティアが入っても結局、最後は重機により取り壊し...この風景は多く見てきた話も多い様だ。
ヘドロの臭いも酷く、まともに居られない状況だ。