eつれづれ管理者(66kV特高変電所、技術者)

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60Hzの高圧ケーブル交流耐圧試験の例

2016年08月19日 | eつれづれ


60Hz、CVT22sq*240m高圧ケーブルの交流耐圧試験実測例があったので50Hzでの計算を変更して入力して見る。リアクトル2台を使って3本一括で耐圧試験をしたもの。
ここは10,350V.10分間で終わりとするか各相、1本ずつやり10分*3回の30分でやるのか...印加して10分すればOK程度のどうでも良い話だ。
高圧ケーブル布設等はキズなど付けないように注意するが、特に端末処理は人が手を加えるヶ所で一番、弱くなるが昔と違い端末処理はプレハブキットなので取説みてシッカリやればパンクなどしない。


同じ仕様でtanδ値計算したものでIgr(対地抵抗分電流)は当然0でIc(対地静電容量成分電流)だけが流れるので平面図でもIgrの直下位置となる。


今度は高圧ケーブル絶縁抵抗値を10MΩのかなり低い数値を入力した場合のtanδ値例。
tanδ値は0.62となり若干角度がつき、位相角、力率変化し見えにくいがIgr(対地抵抗分電流)ポイントが右側に移動しているのが判る。
10,350V.10分間電圧かかり試験はOKデス...印加及び漏洩電流グラフ、資料より二次側充電電流比較+tanδ値での合否検証も説得にはベターであろう。


追伸:△◯sq.CVT3芯と記載しているのを見かけるがTはトリプレックスの3なので、これは不用、額面通り盗れば3.3芯となり意味が判らなくなる。
因みに下記を見ると2芯はCVDの様だ。

架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル
(CV : Crosslinked polyethylene PVC)
① デュプレックス型 (CVD):2本の芯線(熱源である導体)が独立して絶縁・保護されてい  るため、CVの2芯より許容電流が高い。
② トリプレックス型 (CVT):3本の芯線(熱源である導体)が独立して絶縁・保護されてい  るため、CVの3芯より許容電流が高い。
③ カドラレックス型 (CVQ):4本の芯線(熱源である導体)が独立して絶縁・保護されてい  るため、CVの4芯より許容電流が高い。


最後の発電機2.5kVAの意味は一般的に使用しているインバータ発電機25A出力、1台があればOKと言う事なので出来れば9、16Aインバータ発電機の他に25Aも必要。
短い静電容量の少ない高圧ケーブルにリアクトルを入れた場合、逆に電流が増大するのでダメ余計なことはしない。

△ネットより抜粋、一部補足したもの
ケーブルを交流で絶縁耐力試験する場合、ケーブルが長いと静電容量に比例した大きな充電電流が流れます。
その電流が試験用変圧器の容量を超過すると、過電流状態となって試験用変圧器が過熱し試験が出来ません(出来ませんは間違いで、無理して印加しているとプシュンと油中のコイルが簡単に焼けてパーになります)。この時ケーブルに流れる電流を見て見ますと試験電圧を基準とした場合、π/2[rad](90°)進み電流となっています。
リアクトルを並列に挿入しますとπ/2[rad](90°)遅れ電流が流れますので試験用変圧器には見かけ上相殺された電流(損失他、有るので100%の相殺では無い)しか流れませんが、実際のケーブルには正規の試験電圧が印加されており対地間電流も流れています。
従ってリアクトルの設置目的は長いケーブルや対地静電容量の大きい機器(高圧の発電機等)に対して絶縁耐力試験を実施する際に、試験機器を保護(定格30分で焼損防止)すると共に従来の機器で試験可能にするという事に尽きます。
直流耐圧試験器があれば、高圧ケーブル静電容量の交流透過電流(二次側充電電流)は考慮しなくとも良いので、長さは気にする必要が無くなるので重宝となるが印加電圧は、丸八真綿の2倍、2倍で20,750Vの電圧となる。
耐圧試験においては、これをやるための資格など必要としないので機器一式そろえPRしホンの知識があれば電気工事業者、誰でも出来る。
結果、自虐的、針金電気ヤの出番も無くなるが...。