毎年春にギャラリーを借りて、書道教室の合同展覧会を開催している。
来年は早くも第二十回展。記念展とするべく皆、気合十分で、
早い人はもうすでに作品づくりの構想を始めている。
四年前からは、会期中の土日に、テーマを決めてギャラリートークも
行っていて、昨年は「木簡の魅力と楽しみ方」と題して、会員のKさんの歌との
コラボをやった。
Kさんは、一昨年体調を崩されて教室もお休みされていたのに、展覧会では
見事に復活、力強くスケールの大きい木簡臨書を出品。
その作品を見たとき、今ここに生きている喜びのような魂の波動を感じて、
生き生きとした音楽が聞こえてきた。
そうだ! Kさんの歌にのって木簡を即興で臨書したい! と思った。
Kさんは小学校の音楽の先生だったこともあり、シャンソンやクラシックの
声楽家でもある。書道教室でも自然と美しいソプラノで何か歌っておられる。
(変な書道教室でしょ?)
書風の違う木簡を、この木簡には♪サンタルチアで、これは♪春のうら~らの、
これはずいずいずっころばしで、と曲のイメージと合うものを二人で選んで、
それぞれリズムとタイミングの打ち合わせだけして、ほぼ即興。
その意外性と遊び心のパフォーマンスに、会場の方々からの笑顔のお返しが
嬉しかった。
書には、音楽が流れている。それは書き手のリズムであり呼吸、思想。
そして「表現」は、必ずどこかでつながっているんだと思う。
書と音楽、書と茶道、書と花、書と陶芸、書と織物、書と生活、書と人間・・・
たったひとつの「書」を通して、いろんな世界を知ることができるわけだ。