日本経済が、世界最高のエネルギー効率を実現している理由は、たった2つに纏めることが出来ます。
3大都市圏への人口集中度の高さと、大都市圏における旅客鉄道網の機能性の高さ、これだけのことなのです。 香港やシンガポール等の都市国家を除けば、全人口の50%を超える人々がたった3つの大都市圏に集まっているのは、日本だけなのです。
大都市圏への人口集中は、規模の経済、範囲の経済、集積の経済、密度の経済といった諸要因によって、勤労者の生産性を高めます。
だが、それではなぜ、欧米諸国は日本ほど顕著に人口の第集中を達成することが出来ないのでしょうか?
日本の大都市圏では今も健在の鉄道網による通勤通学が、鉄道網の衰退した欧米では国民の大部分にとって不可能に近いからです。
大都市中心でも自家用車で通わなければならないということになると、2つ大きな問題が出てきます。
1つは、自動車での通勤通学のエネルギー効率の悪さそのものなのです。
もう1つは、大都市の規模に比較的低い天井が出来てしまうことです。
鉄道で1人の人間を運ぶのに必要なエネルギーは、バスの3分の1、自家用車の6分の1に過ぎません。 すなわち、鉄道を使って通勤通学する人の比率が高いほど、交通に必要なエネルギーは少なくて済みます。
そして、鉄道は非常に規模の経済が顕著な交通機関なので、鉄道利用者が多ければ多いほど高頻度大量輸送でコストを下げることができ、欧米諸国では軒並み赤字経営の鉄道行もきちんと利益を上げながら経営が成り立っています。
更に、大都市圏で車しか通勤通学の手段がないということとになると、大都市圏自体の規模も限定され、ニューヨークは過去30~40年間、マンハッタンの就労人口は400万人という数字は変わらず、東京圏が国勢調査のたびに拡大しつづけているのとは「大違い。」です。
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